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特定技能の外国人介護就労者 1年間で30倍に

特定技能の外国人介護就労者 1年間で30倍に

 2019年4月に創設された在留資格「特定技能」により日本で介護の仕事に就労する外国人は、20年3月時点で56人だったが、21年3月では1705人と約30倍になった。新型コロナで入国が困難な中、在留資格を特定技能に変更するケースも多いと見られる。

 介護の特定技能は技能試験と日本語の試験に合格することで、最長5年間介護の仕事に就労できる在留資格。外国人技能実習制度と異なるのが、特定技能では転職可能なことや夜勤ができること、雇用後すぐに配置要件に含められることなどがある。

 出入国在留管理庁の累計によると、介護の特定技能で在留する外国人は、20年3月時点で、ベトナム人と中国人が各3人、インドネシア人26人、フィリピン人24人の計56人だったのが、21年3月にはベトナム人870人、中国人125人、インドネシア人280人、フィリピン人184人まで増加。国籍も多様になり、ミャンマーやネパールなどが加わり累計1705人まで増加した。

在留資格の変更者増加傾向

 20年4月以降、新型コロナ感染症の影響で、159カ国からの入国が制限されており、現在入国可能なのは▽ベトナム▽中国▽韓国――等の8カ国に限られている。

 このような状況でも、特定技能の在留者が増えている背景には、在留資格を変更する国人が増加していると出入国管理庁担当者は説明する。特定技能への変更者は全産業で20年3月に2221人だったのが翌年にはその7倍の1万7299人まで増加した。

介護の技能試験合格者3倍に

 特定技能は各種技能試験に合格すれば、その職種に就労可能なのも特徴。介護の技能試験合格者の累計は20年3月で8090人だったのが翌年には1万3521人となった。自国で試験を受けた外国人も多くおり、入国制限が解除されれば、多くの外国人人材が就労することになる。

 また、技能試験および日本語試験の免除を受けて、在留資格を変更することも可能。対象となるのが▽「特定活動」でEPA介護福祉士候補者としての在留期間4年間の満了者のうち、直近の介護福祉士国家試験で一定の成績を収めた者▽「留学」での介護福祉士養成施設修了者▽介護分野の2号「技能実習」の修了者――となっている。

 EPAからは115人が特定技能へ変更している。また、技能実習については、2号技能実習の修了まで入国から3年かかるため、今後在留資格の変更者がさらに増えることが考えられるという。

ベトナム人が全体の6割を占める

 20年時点で、日本の在留外国人288万人のうちベトナム人は44万人で中国の77万人に次ぐ規模となっている。一方、特定技能全体では21年3月時点でベトナム人は約6割の約1万4000人で、次いで中国が2050人となっている。介護分野では1705人のうちベトナム人は約5割の870人で、次いでインドネシアが280人となっている。

(シルバー産業新聞2021年7月10日号)

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