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24年度報酬改定 基本報酬 サービスで明暗
厚生労働省は1月22日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、今年4月(一部サービスは6月)に改定される介護報酬の案を示した。全体の改定率はプラス1.59%だが、基本報酬の増減率をサービス別にみると、4%プラスの老健(在宅強化型)から▲2%超のマイナスとなった訪問介護まで大きな差がある。居宅介護支援は基本報酬の引き上げに加え、逓減性も緩和される一方で、同一建物減算が導入される。
特養・老健 赤字経営の施設報酬増へ
改定前後の基本報酬を比較すると、特養は2.8%(表の区分・条件の場合、以下同)、老健で1.0~4.1%の引き上げとなった。それぞれ今年度の介護事業経営実態調査で、特養の収支差率は▲1.0%、老健▲1.1%と介護保険が始まって以来、初の赤字と経営状況が悪化していた。
老健は在宅復帰・在宅療養支援機能が高い在宅強化型は4.1%増に対し、その他型は1.0%増と類型によって差がある。同じ「多床室・要介護3」の条件でも、在宅強化型が在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定した場合の1065単位に対し、その他型は889単位とさらに報酬上のメリハリが付けられた。あわせて、類型を分ける「在宅復帰・在宅療養支援等指標」も、入所前後や退所前後の訪問指導割合の基準を引き上げるなどの見直しを図る。
老健は在宅復帰・在宅療養支援機能が高い在宅強化型は4.1%増に対し、その他型は1.0%増と類型によって差がある。同じ「多床室・要介護3」の条件でも、在宅強化型が在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定した場合の1065単位に対し、その他型は889単位とさらに報酬上のメリハリが付けられた。あわせて、類型を分ける「在宅復帰・在宅療養支援等指標」も、入所前後や退所前後の訪問指導割合の基準を引き上げるなどの見直しを図る。
訪問介護、定期巡回は報酬引き下げ
基本報酬増の施設とは対照的に、介護事業経営実態調査で比較的安定した収支差率だった訪問介護や定期巡回サービス、夜間対応型訪問介護では基本報酬が引き下げられる結果となった。ヘルパーの求人倍率は15倍を超えており、特に人材確保が困難な状況での引き下げに不満や驚きの声もあがっている。これに対し、厚労省は6月に一本化する介護職員等処遇改善加算において「高い加算率に設定している」と強調する。これらのサービスで最上位(Ⅰ)の加算率は24.5%となる。
居宅介護支援 報酬増に加え逓減制緩和も
居宅介護支援は0.9%のプラス。あわせて逓減制も緩和する。現行では、ケアマネジャー1人当たりのケアプラン取扱件数が40件以上の場合に、基本報酬の逓減制が適用されるが、改定後は要件を設けず一律に「45件以上」へと緩和される。
さらに事務職員を配置して、ケアプランデータ連携システムを活用する場合は、居宅介護支援費(Ⅱ)として逓減制の適用が「50件以上」まで緩和される。さらに介護予防ケアプランの取扱件数も、現行は2分の1でカウントするところを、「3分の1」へと緩和される。
さらに事務職員を配置して、ケアプランデータ連携システムを活用する場合は、居宅介護支援費(Ⅱ)として逓減制の適用が「50件以上」まで緩和される。さらに介護予防ケアプランの取扱件数も、現行は2分の1でカウントするところを、「3分の1」へと緩和される。
指定受けての「介護予防支援」472単位
法改正で、4月から居宅介護支援事業所も直接、市町村の指定を受けて提供できるようになる。これに伴い、介護予防支援は、「地域包括支援センターが行う場合」442単位、「指定居宅介護支援事業所が行う場合」472単位の2区分に。また、指定居宅介護支援事業所の区分に限り、特別地域加算などの対象とする。
一方で、同一建物居住者へのサービスに対し、今回初めて減算(基本報酬▲5%)が設けられた。▽居宅介護支援事業所と同一か隣接敷地内の建物、または同一建物に住む利用者▽居宅介護支援事業所の利用者が1月あたり20人以上住む建物(右記以外)で暮らす利用者――が対象となる。
一方で、同一建物居住者へのサービスに対し、今回初めて減算(基本報酬▲5%)が設けられた。▽居宅介護支援事業所と同一か隣接敷地内の建物、または同一建物に住む利用者▽居宅介護支援事業所の利用者が1月あたり20人以上住む建物(右記以外)で暮らす利用者――が対象となる。
訪問看護 「リハビリ専門職の訪問看護」に減算導入
訪問看護では、「理学療法士等による訪問」についてさらに適正化を図る。訪問看護に求められるサービスが提供されるようにする観点から、①前年度の理学療法士等による訪問回数が看護職員による訪問回数を超えている②緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算をいずれも算定していない――のうち、1つでも該当する場合、「理学療法士等による訪問」308単位/回から8単位/回を減算する。
予防では、この「8単位減算」事業所が、12カ月を超えて「理学療法士等による訪問」を算定する場合にはさらに15単位を減算する。
予防では、この「8単位減算」事業所が、12カ月を超えて「理学療法士等による訪問」を算定する場合にはさらに15単位を減算する。
大規模通リハ「通常規模」報酬も算定可に
訪問リハビリでは「利用者の状態像に応じた、より適切な評価を行う」として、介護と同一だった予防の報酬を引き下げ、メリハリを設けた。
通所リハビリでは現行、(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれている大規模型を一つに統合する。この結果、これまで(Ⅰ)を算定していた事業所は2.3%減となる。ただし、①リハビリテーションマネジメント加算の算定率が利用者全体の80%超②利用者に対するリハビリテーション専門職の配置が10対1以上――を満たす大規模型事業所は、通常規模型の基本報酬を算定できるようにする。
通所リハビリでは現行、(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれている大規模型を一つに統合する。この結果、これまで(Ⅰ)を算定していた事業所は2.3%減となる。ただし、①リハビリテーションマネジメント加算の算定率が利用者全体の80%超②利用者に対するリハビリテーション専門職の配置が10対1以上――を満たす大規模型事業所は、通常規模型の基本報酬を算定できるようにする。
連続「61日以降」は特養と同報酬
短期入所生活介護では、「連続して60日を超えて入所する利用者」の基本報酬を引き下げ、特養の基本報酬に揃える。施設入所と同等の利用形態とみなし、報酬上の均衡を図る。例えば単独型・要介護3の場合、30日までは787単位だが、31日~60日は757単位(長期利用者減算適用)、そして61日以降は特養と同じ732単位となる。予防も、30日超の利用者に対する減算を新設する。
そのほか、療養通所介護では、登録者以外の中重度者の緊急利用などに対応できるよう、短期利用型の区分を新設。1日につき1355単位に設定されている。定期巡回サービスでは、夜間対応型訪問介護との将来的な統合を見据え、「夜間にのみサービスを必要とする利用者」の報酬区分を新たに設ける(定額部分=989単位/月など)。
介護給付費分科会ではこれらの報酬案が了承され、社会保障審議会を通じて厚生労働大臣へ答申。その後パブリックコメントを経て、年度内に正式に告示される予定だ。
今改定のサービスごとの詳細は本紙7~9面のほか、本紙ニュースサイト「ケアニュース」(https://www.care-news.jp/useful/reward/zkgcz)にも掲載中。
(シルバー産業新聞2024年2月10日号)
そのほか、療養通所介護では、登録者以外の中重度者の緊急利用などに対応できるよう、短期利用型の区分を新設。1日につき1355単位に設定されている。定期巡回サービスでは、夜間対応型訪問介護との将来的な統合を見据え、「夜間にのみサービスを必要とする利用者」の報酬区分を新たに設ける(定額部分=989単位/月など)。
介護給付費分科会ではこれらの報酬案が了承され、社会保障審議会を通じて厚生労働大臣へ答申。その後パブリックコメントを経て、年度内に正式に告示される予定だ。
今改定のサービスごとの詳細は本紙7~9面のほか、本紙ニュースサイト「ケアニュース」(https://www.care-news.jp/useful/reward/zkgcz)にも掲載中。
(シルバー産業新聞2024年2月10日号)