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「業務継続計画未実施減算」と経過措置 計画完成のための1年間

「業務継続計画未実施減算」と経過措置 計画完成のための1年間

 2024年介護報酬改定で「業務継続計画未実施減算」が新設された。同時に一定の条件・要件で、幅広い事業者に減算適用の1年間の経過措置が認められた。減算要件を説明するとともに、実効性のあるBCPにするためのポイントをまとめた。

 21年介護報酬改定で「業務継続計画(BCP)の策定」「研修」「訓練(シミュレーション)」の実施が義務付けられ、3年間の経過措置を経て、24年4月より「業務継続計画未実施減算」が新設される。減算額は▽施設・居住系サービスは所定単位数の3%▽その他のサービスは所定単位数の1%――相当の単位数となる。

 ただし、直ちに減算適用とはならず、一定の経過措置として発生前・発生時の対策マニュアルに相当する「感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備」と「非常災害対策計画」を策定している場合には、事態発生後の事業継続を見越した業務継続計画ができていなくても、25年3月31日までの1年間に限って減算しないこととされた。

 また、訪問系サービスと福祉用具貸与、居宅介護支援事業所は▽21年改定で感染症の指針策定が義務付けられて間もないこと▽非常災害対策計画は策定が求められていないこと――などを理由に、前提条件なしに1年間の経過措置が設けられた。

 さらに、居宅療養管理指導は▽みなし指定(医療機関の場合、指定申請をしなくても指定があるものとみなす取扱い)がほとんどを占めること▽業務継続計画の策定状況の実態把握が不足していること――などを理由に、27年改定まで3年間の経過措置が設けられた。(図表参照)

「事業所間連携での計画策定」「介護サービス情報公表の項目に追加」も

 市区町村などに対しても、1年間の経過措置期間中にすべてのサービス事業所で計画策定が行われるように▽(単独での対応でなく)事業所間の連携で計画策定を行ってよいことの周知▽小規模事業所の計画策定支援に引き続き取り組むこと――を求めた。

 また、介護サービス情報公表システムに登録すべき事項に業務継続計画に関する取組状況を追加するなど事業所への働きかけも強化する。

 県別の計画策定状況を公表することで指定権者の取組を促し、業務継続計画を策定済みの施設・事業所にも、地域特性に合わせた実効的な内容となるように継続的な指導を求めている。

備品備蓄「計画値」と「実態」の一致を

 策定状況は「感染症の予防及びまん延防止のための指針」は82.8%(23年改定検証)、「非常災害対策計画」は77.1%(20年老健事業)となっており、4月からの減算は大半の事業所で回避できる見通しが立っている。

 今後1年間の経過措置期間中に介護事業所に求められることは、事態発生前・発生時・発生後の対応の取り決めである業務継続計画の策定を完了することと共に、その内容に実効性をもたせるために「利用者と職員、避難者を含めた食料・飲用水、非常トイレなどの備蓄品の計画値の確保」「地域住民との避難訓練の実施」「関係機関担当者との日ごろからの関係づくり」などが求められるようになる。

(シルバー産業新聞2024年2月10日号)

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