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日福協 選択制の実施状況、調査結果を公表

日福協 選択制の実施状況、調査結果を公表

 日本福祉用具供給協会(略称=日福協、小野木孝二理事長)は今年3月、「福祉用具選択制の実施状況に関する調査報告書」をまとめた。2024年4月から一部の種目・種類で導入された福祉用具貸与・購入の選択制について、実際に対象となった利用者を調査した。調査は適切な選択制の運用が図られているかとともに、半年後の用具の利用状況なども確認。貸与を選んだ3割強は身体状況の変化などで利用を中断し、販売と比較して費用負担が小さく済んだ群だった。また販売後に利用しなくなっているケースもみられた。

 前回の介護報酬改定で導入された福祉用具の選択制は、比較的廉価な①歩行補助杖(松葉づえ除く)②歩行器(歩行車除く)③固定用スロープ――について、利用者が貸与か特定販売を選択できる仕組み。

 同協会は、24年5月に選択制の対象福祉用具の利用を開始した利用者と担当の福祉用具専門相談員へのアンケートで調査を行った。介護保険の福祉用具サービスの新規利用者に限定し、既存利用者の追加や交換のケースは対象外とした。

貸与選択の3割強が返却

 利用開始時と半年後のモニタリング時ともに回答が得られた500人分の調査結果では、貸与を選択した利用者370人のうち、半年後のモニタリングで貸与継続を選んだのが241人、販売へ切り替えたのは7人だった。残りの122人は対象用具含む貸与が全て中止となった利用者。「死亡や入院を含む身体状況の変化によるものが多く、貸与を選択したことで適切な福祉用具の交換などができたことに加え、利用者の費用負担が販売に比較して少なかったといえる」と同調査では分析する。

 一方、販売を選択した利用者130人のうち、半年後に継続利用を確認したのは111人。身体状況の変化や入院・入所、死亡などで利用していなかったのは17人だった。この17人について、同調査では費用負担の面などから「貸与にすべきだった群」として整理。また「17人のうち9人が販売を選択した理由として『現在の身体状況が長く続き、長期の利用を見込んだから』と回答しており、福祉用具の長期利用を見込むことの困難さが確認された」と課題を挙げている。

提案のために収集・提供した情報

 選択制の対象用具を提供する際、福祉用具専門相談員やケアマネジャーには貸与か特定販売のいずれかを利用者が選択できることに加え、それぞれのメリット・デメリットや、利用者の選択にあたって必要な情報を提供することが運営基準などで定められている。

 提案にあたって収集した情報(複数回答)については、「貸与と販売それぞれの利用者負担額の情報」86.7%、「状態像の変化に関する情報(ケアマネ)」83.8%、「生活環境等の変化に関する情報(本人・家族)」82.5%などが多く8割を超えている。ケアマネ以外の「状態像の変化に関する情報」の入手先は、リハビリ専門職が26.5%、医師14.1%、看護師8.2%などだった。

専門相談員の提案「貸与」8割弱

 福祉用具専門相談員の提案内容は全548件中、貸与が77.4%、販売が22.6%。貸与が8割近くを占めた。貸与を提案した理由(複数回答)は「長期利用と予測できないから」が52.8%と最多。次いで「長期利用にはならない見込みがあるから」43.4%と、疾病などによる状態変化の可能性が見込まれる場合には、借り換えや利用中止が容易な貸与を提案していることが伺える。「一定頻度のモニタリングを必要とするから」も32.8%あった。

 一方で、販売を提案する理由では「現在の身体状況が長く続き、長期利用が見込まれるから」66.9%、「販売金額が安く、利用者の負担が大きくないから」62.1%が多くを占めた。

 利用者が貸与を選択した割合は歩行器92.4%、多点杖78.1%、固定用スロープ69.4%、単点杖58.3%。種目・種類で差はあるが、いずれも貸与を選択した割合が販売を上回っている。

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