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日本介護美容セラピスト協会 触れる力で表情明るく

日本介護美容セラピスト協会 触れる力で表情明るく

 高齢者のQOL向上を目的とした「介護美容」の取組みが広がっている。「ビューティタッチセラピー」の普及活動に力を入れるのは、日本介護美容セラピスト協会(大阪市、谷都美子代表理事)。1995年から高齢者施設での化粧療法に取り組んでおり、全国でセラピストの養成活動も行っている。

 セラピーの目的は、スキンケアやメーキャップを通じて肌に触れ、心身ともに健康を促進すること。身体を優しく撫でる「触れるケア」によって、幸せホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」の分泌を促し、ストレスや不安の緩和につなげる。施術コースは▽メーキャップ▽ハンド▽フェイシャル▽フットケア――の4種類。特にメーキャップ(化粧療法)は、ポジティブな感情が生まれ精神的健康度が上がることから「メンタルケアの魔法」とも呼ばれる。

 同協会運営の「ビューティタッチセラピスト認定基本講座」は、これまで約2600人が受講。エステティシャンや理学療法士、介護従事者など多岐にわたる。

30分で表情が変わる

 「施術後は声のトーンが全く違うんです」。そう語るのは、横浜市でデイサービスを運営する野沢美佐子さん。4年前、同じ事業所で働く娘さんと揃って資格を取得した。その日の体調などをみながら、希望する利用者へ15~20分程度の施術を行う。「マンツーマンで行う施術は、利用者とのコミュニケーションにもつながります」(野沢さん)。認知症の人や新規利用者の場合は時間をかけて、信頼関係を築いてから取り入れるそうだ。

 この日の取材では、同協会講師の佐川なつきさんが介護現場で最も行われているハンドセラピーを実演した。肩をほぐすことから始まり、消毒、化粧水、クリームの順で腕全体に塗り広げていく。静脈やリンパを流すようなイメージで、決して力を入れず、指先からゆっくりと優しく撫でさする。

 「今まで頑張ってきた手にご褒美をあげましょうね」と声をかけつつマッサージを続けていると、最初は緊張していた利用者も徐々に口数が増える。「肌の色が変わってきた」と自分で両手を見比べ驚く場面も。30分後、施術を終えた手はツヤツヤと輝き、血色がよくなったことが一目で分かる。利用者は「さっきまでとは全然違う。またやってほしい」と笑顔を浮かべた。

 野沢さんは「ハンドセラピー後にネイルをしてあげると、皆さん嬉しそうにずっと手を見ています。ご家族からも、明るい表情で帰ってきたと好評です」と説明。「高齢者の美容に対するこだわりは今後一層高まると考えます。デイの付加価値として展開していきたい」と語った。
 ビューティタッチセラピスト認定基本講座は介護の基礎からハンド、フェイシャル、メーキャップセラピーに関する知識・技術を学ぶ。36時間(6時間×6日)のカリキュラム修了後、筆記・実技試験で合格し資格を取得できる。

 受講料は、介護看護資格あり・現役就業の場合で4万6200円。7月の開講予定は鹿児島(7月1日~)、和歌山(7月8日~)、東京(7月12日~)、岡山(7月20日~)、大阪(7月23日~)。

 詳細は同協会ホームページ(QR)。

 問合せは同協会(TEL0120・551・334)まで。
(シルバー産業新聞2022年6月10日号)

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