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ことりのはな(群馬県高崎市)画像解析で認知症高齢者を見守り

ことりのはな(群馬県高崎市)画像解析で認知症高齢者を見守り

 社会福祉法人正覚会の地域密着型特養「ことりのはな」では、赤外線カメラで利用者を見守るアルコ・イーエックスの「ペイシェントウォッチャー プラス」を導入して、利用者の転倒予防に努めている。

 社会福祉法人正覚会(群馬県高崎市、佐藤千鶴子理事長)が運営する地域密着型特養「ことりのはな」では今年4月の開設と同時にアルコ・イーエックス(茨城県ひたちなか市、木田文二社長)製の赤外線カメラ式見守り機器「ペイシェントウォッチャープラス(PW)」を全利用者分の21台導入した。
 「試験的に既存の特養で5カ月間利用したところ、転倒事故が85%も減少したことが決め手になった」と常務理事の佐藤毅然氏は話す。
 同施設では活用の対象者として、特に要介護3で、認知症自立度が3以上の利用者のリスク回避に役立っている。
 同製品は自動でベッドを認識し離床枠を設定。さらに、利用者の体型などに合わせて起床枠を個別設定する。設定した枠に沿って内蔵した赤外線カメラがベッド上での動きを解析し、起床や離床などを検知すると、スマホや管理画面に映像とアイコンで通知。利用者ごとに起床枠が設定可能なことで最適な頻度での通知が可能になる。
離床など検知すると自動で映像が 表示され、その場で確認できる

離床など検知すると自動で映像が 表示され、その場で確認できる

活動グラフや録画機能でより安心

 解析結果をもとに、睡眠時の活動をグラフ化する機能も搭載。「グラフから昼夜逆転現象の予測ができるようになった」と同氏。「逆転現象が起こると、日中の活動量が減るだけでなく、歩行時にバランスを崩す頻度が高くなるため、リスクの早期発見につなげられた」と話す。
 他にも、導入前は転倒転落時の状況の把握が困難で、再発防止策を立てるのに限界を感じていたそうだ。そこで、PWの録画機能により事故の直前からの映像を振り返ることで、要因が明確になり、再発防止につなげられるようになった。
 例えば、衣類をベッドの上で畳む習慣がある利用者が転倒したケースでは、衣類をたたむことが転倒の要因とは考えられなかった。しかし映像を確認すると掛け布団を畳もうと引っ張り上げた際に、布団を踏んでしまい、その勢いで転倒したことが分かった。
 「映像がたとえ利用者の普段の習慣の行為でも、アラートが鳴る限りは注視しておく必要があると、職員全員の戒めになった」と佐藤氏は振り返る。
活動グラフ

活動グラフ

看取りのサインを見逃さない

 同施設では同施設では同社のバイタルセンサーも導入し、看取り期の利用者に活用している。
 導入前に家族と最期の挨拶ができないまま亡くなった利用者がいた。「夜間帯に家族や看護師へ連絡が必要かどうかを判断するのは自信がいるもの。特に経験の少ない介護士には判断がつきにくい。そこで、あらかじめ通知する呼吸・心拍数を決めておき通知されたら必ず医師や看護師に連絡するよう取り決めた」と同氏。センサーの力を借りることで、利用者の最期に向けた準備を欠かすことがなくなった。

(シルバー産業新聞7月10日号)

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