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福祉用具あり化方検討会再開 予防貸与のモニタリング実施時期を明確化など

福祉用具あり化方検討会再開 予防貸与のモニタリング実施時期を明確化など

 厚生労働省は7月20日、中断していた「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」(座長=野口晴子・早稲田大学政治経済学術院教授)を再開した。これまでの議論の整理を踏まえ、①福祉用具貸与・販売に関する安全な利用の促進、サービスの質の向上等への対応②福祉用具貸与・販売に係る適正化の方策③福祉用具貸与・特定福祉用具販売の現状と課題を踏まえたあり方の検討――の3点について、今後の対応方針案や具体的な検討内容を議論した。

 ①②のテーマでは、厚労省から今後の具体的な対応方針案が提示された。安全性の観点からは、2021年度の調査研究事業で作成した「福祉用具貸与事業所向けの事故報告様式案」の活用や、同じく22年度の調査研究事業で作成した「利用安全に関する手引き」を、市町村や福祉用具貸与事業所に周知徹底し、事故防止に向けた体制整備を図っていく案を提示。また、福祉用具の事故やヒヤリ・ハット情報を共有し、業界全体に対して効果的に発信する方法を検討していく考えも示された。これらの対応案は、当日、出席した委員から了承された。

 質の向上と適正化の観点については、▽福祉用具専門相談員の指定講習のカリキュラムの見直し▽「介護保険における福祉用具選定の判断基準」(ガイドライン)の見直し▽介護予防福祉用具貸与のモニタリング実施時期の明確化▽自治体向け福祉用具・住宅改修の点検マニュアルの作成――などの案が示され、委員から大きな反対意見はなかった。

 一方、③貸与・販売のあり方については、選択制の導入を検討するにあたって、賛成の意見と慎重な対応を求める意見に分かれた。

 これまでの議論の整理では、選択制の対象は「比較的廉価で、利用者の状況を踏まえて判断された、ある程度中長期の利用が実態上見受けられる用具」とされてきたが、この日は、厚労省からスロープ、歩行器、歩行補助杖、手すりの4種目について、貸与価格の平均が、希望小売価格の平均を超える月数である「利用者負担額における分岐」が示された。さらに、この分岐月数と平均貸与期間を比べたところ、「歩行器」「歩行補助つえ全般」については、利用者負担額の分岐よりも平均貸与期間が長く(固定用スロープはほぼ同等)、また、それらの用具は、「他と比較すると廉価である」との考え方が示された。

 検討会の終了時、野口座長から次回は「廉価な福祉用具」に絞って議論する考えが説明された。次回の検討会は8月28日を予定。
(シルバー産業新聞2023年8月10日号)

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