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田村憲久厚労大臣宛に介護報酬の引き上げ等を要望
介護保険ホットライン実行委員会、同企画委員会の共同代表らは、10月1日、参議院会館にて「介護報酬改定についての要望書」を田村憲久厚労大臣宛に提出した。提出者は市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰の小竹雅子氏、介護事業者の小島美里氏、弁護士の大江京子氏ら6人。厚労省老健局からは担当の職員らが出席して質問に回答した。
介護保険ホットラインは、介護保険の利用者や介護現場で働く人からの相談を受ける電話相談窓口で、その企画委員の一人、小島美里氏は、訪問介護員の年齢が、約半数が65歳以上となっている現状をあげ、人手不足が危機的な状況にあると述べた。次期介護報酬改定において、訪問介護員の安全確保と労働条件の改善、若年者の訪問介護員への就労促進を強く求め、介護報酬の引き上げ等を要望した。
要望書の内容は①ホームヘルパーの不安定雇用の改善②基本報酬の引き上げによるホームヘルパーの待遇改善③ホームヘルパー資格を初任者研修に統一④「生活援助」の月あたりの利用回数制限の撤廃⑤ホームヘルパーのPCR検査を公費で対応⑥「生活援助」と「身体介護」の一体化――の6項目。
要望書の内容は①ホームヘルパーの不安定雇用の改善②基本報酬の引き上げによるホームヘルパーの待遇改善③ホームヘルパー資格を初任者研修に統一④「生活援助」の月あたりの利用回数制限の撤廃⑤ホームヘルパーのPCR検査を公費で対応⑥「生活援助」と「身体介護」の一体化――の6項目。
要望の説明概要と、厚労省の回答の概要は以下の通り。
①ホームヘルパーの不安定雇用の改善
ホームヘルパーの労働形態の多くを占める「登録型ヘルパー」の労働形態は違法な状態で放置されているが、これを改善して欲しい。
厚労省の回答→移動時間等へ賃金が支払われないという問題は、平成16年と同21年に厚生労働省労働基準局より、訪問介護労働者の法定労働条件の確保のためにという通達を出してきた。介護保険法に基づき、労働時間に該当しうるものについては、今後も周知していく。
②基本報酬の引き上げによるホームヘルパーの待遇改善
介護職員の賃金は全職種の平均賃金より月額9万円も低く、これが人手不足の原因を作っている。他産業レベルにすべきであり、そのためには、事業所間格差が生じる加算報酬ではなく、基本報酬の引き上げが抜本的な改善に不可欠だ。
厚労省の回答→処遇改善は介護報酬改定の中で加算という形で行ってきた。基本報酬に組込むと労働者の賃金改善に必ずしも当てられないことを懸念している。現在のところ、基本報酬での検討はしておらず、加算の取得をして頂き、多職種と遜色ない賃金水準が実現できるように取り組んでいく。
③ホームヘルパー資格を初任者研修に統一
「介護職員初任者研修」の修了がホームヘルパーの資格要件であり、総合事業などの生活援助中心型のヘルパー(「生活援助従事者研修」「入門的研修」)では現場は支えられない。この資格制度を廃止し、さらに感染症対策の「臨時的取扱い」におる無資格者の訪問介護の提供は早急に中止することを求める。
厚労省の回答→介護福祉士等に関しては身体介護を中心に担う、生活援助については人材の裾野を広げて人材を確保するとし、後者はその質の確保から平成30年度より創設した。入門からステップアップする支援も行っている。質の確保をしつつ人材の確保に努めていきたい。
④「生活援助」の月あたりの利用回数制限の撤廃
生活援助は在宅介護に必要不可欠。第7期の改定で月当たりの利用回数に制限がかけられたが、事後調査では、あらかじめ回数を減らしたケアプランが増えているほか、適切な支援につながらない、施設入所につながる、代替策がない、などの声が市区町村の調査からも出ている。担当者会議など現場の判断を尊重し、次期改定では利用制限と事前届け出制の撤廃を求める。
厚労省の回答→介護保険は自立支援・重度化防止の観点から適切なサービスを提供する制度であり、統計的にみて通常よりかけ離れている回数をケアプランに位置付ける場合は、ケアマネから市町村に届け出て、地域ケア会議で検討し、必要に応じてケアプラン全体の再検討を促すことが必要だと考える。サービスの利用制限を行うものではない。自治体にも周知しているが、今日の意見については介護給付費分科会で議論していく。
⑤ホームヘルパーのPCR検査を公費で対応
ホームヘルパーは、コロナウイルスを持ち込むなと利用者からパワハラを受けることもある。ヘルパーと利用者の両方が感染しない検査体制を求める。
厚労省の回答→制度に基づき検査体制の整備を進めている。検査が必要な人に迅速かつスムーズに検査が受けられる体制と、感染拡大の防止から幅広い検査体制を整えるという、2つの観点から整備を進めている。検査体制や検査の精度、資源なども含めて状況を見ながら判断していく。
⑥「生活援助」と「身体介護」の一体化
身体介護と生活援助を分けていることで、現場には混乱が生じている。生活援助なのに身体介護でつけてもよい、と不適切なプランを立てるケアマネも実際いる。一体化して提供することによってスムーズな提供ができるため、就労上もシンプルな規定にして欲しい。
厚労省の回答→それぞれ中身が異なるので、一本化は難しいと考えている。
①ホームヘルパーの不安定雇用の改善
ホームヘルパーの労働形態の多くを占める「登録型ヘルパー」の労働形態は違法な状態で放置されているが、これを改善して欲しい。
厚労省の回答→移動時間等へ賃金が支払われないという問題は、平成16年と同21年に厚生労働省労働基準局より、訪問介護労働者の法定労働条件の確保のためにという通達を出してきた。介護保険法に基づき、労働時間に該当しうるものについては、今後も周知していく。
②基本報酬の引き上げによるホームヘルパーの待遇改善
介護職員の賃金は全職種の平均賃金より月額9万円も低く、これが人手不足の原因を作っている。他産業レベルにすべきであり、そのためには、事業所間格差が生じる加算報酬ではなく、基本報酬の引き上げが抜本的な改善に不可欠だ。
厚労省の回答→処遇改善は介護報酬改定の中で加算という形で行ってきた。基本報酬に組込むと労働者の賃金改善に必ずしも当てられないことを懸念している。現在のところ、基本報酬での検討はしておらず、加算の取得をして頂き、多職種と遜色ない賃金水準が実現できるように取り組んでいく。
③ホームヘルパー資格を初任者研修に統一
「介護職員初任者研修」の修了がホームヘルパーの資格要件であり、総合事業などの生活援助中心型のヘルパー(「生活援助従事者研修」「入門的研修」)では現場は支えられない。この資格制度を廃止し、さらに感染症対策の「臨時的取扱い」におる無資格者の訪問介護の提供は早急に中止することを求める。
厚労省の回答→介護福祉士等に関しては身体介護を中心に担う、生活援助については人材の裾野を広げて人材を確保するとし、後者はその質の確保から平成30年度より創設した。入門からステップアップする支援も行っている。質の確保をしつつ人材の確保に努めていきたい。
④「生活援助」の月あたりの利用回数制限の撤廃
生活援助は在宅介護に必要不可欠。第7期の改定で月当たりの利用回数に制限がかけられたが、事後調査では、あらかじめ回数を減らしたケアプランが増えているほか、適切な支援につながらない、施設入所につながる、代替策がない、などの声が市区町村の調査からも出ている。担当者会議など現場の判断を尊重し、次期改定では利用制限と事前届け出制の撤廃を求める。
厚労省の回答→介護保険は自立支援・重度化防止の観点から適切なサービスを提供する制度であり、統計的にみて通常よりかけ離れている回数をケアプランに位置付ける場合は、ケアマネから市町村に届け出て、地域ケア会議で検討し、必要に応じてケアプラン全体の再検討を促すことが必要だと考える。サービスの利用制限を行うものではない。自治体にも周知しているが、今日の意見については介護給付費分科会で議論していく。
⑤ホームヘルパーのPCR検査を公費で対応
ホームヘルパーは、コロナウイルスを持ち込むなと利用者からパワハラを受けることもある。ヘルパーと利用者の両方が感染しない検査体制を求める。
厚労省の回答→制度に基づき検査体制の整備を進めている。検査が必要な人に迅速かつスムーズに検査が受けられる体制と、感染拡大の防止から幅広い検査体制を整えるという、2つの観点から整備を進めている。検査体制や検査の精度、資源なども含めて状況を見ながら判断していく。
⑥「生活援助」と「身体介護」の一体化
身体介護と生活援助を分けていることで、現場には混乱が生じている。生活援助なのに身体介護でつけてもよい、と不適切なプランを立てるケアマネも実際いる。一体化して提供することによってスムーズな提供ができるため、就労上もシンプルな規定にして欲しい。
厚労省の回答→それぞれ中身が異なるので、一本化は難しいと考えている。