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ファミタウン八王子 配車アプリとデイ送迎車を使ったシニア送迎サービス

ファミタウン八王子 配車アプリとデイ送迎車を使ったシニア送迎サービス

 東京都八王子市でリハビリ型デイサービスを展開するファミタウン八王子では、配車アプリとデイの送迎車を使った、新しいシニア向け送迎サービスの実証事業を実施。デイサービスの送迎サービスが、免許を返納した高齢者の外出支援や過疎地の高齢者の移動確保につながる成果を残した。

 実証事業は、タクシーの配車アプリを手掛けるソニックスの送迎車両運行管理システムを使い、ファミタウン八王子が保有する送迎車両の空き時間を活用して、通所介護利用者や近隣の高齢者の買い物などの外出支援を実施。5月24日から7月末までサービス提供を行い、延べ120人の高齢者がサービスを利用した。

 最大の特長は、「おでかケア便」という配車アプリを用いることで、送迎車の空き時間をうまく活用し、市内20カ所の目的地を効率よく送迎していく点。送迎は社会福祉士などの資格を持つスタッフが担当し、利用者の自宅と病院、スーパーなどの目的地を無駄なく送迎していく。

 利用の流れは、スマートフォンにアプリをダウンロードし、名前や自宅住所、電話番号などを登録する。その後は、利用日の前日までに、送迎の希望時間と行先、目的地の滞在時間などを入力するだけとシンプル。あとはアプリが希望者と希望時間帯をもとに、最適のルートと時間を導き出し、施設側のスタッフがナビに従って車を運転、利用者を送迎していく流れ。

 「まずはどのくらいのニーズがあるのか知りたかったので、利用料は無料に設定しました」と管理者の斉藤祐介さん。当初は6月18日までの平日9時~17時の間で実証事業を実施したところ、評判を呼び、登録者は180人を超えた。

 さらに地域包括支援センターからの依頼もあり、サービスを7月末まで延長。対象者も事業所の利用者以外の高齢者にも拡大した。その結果、最終的には延べ120人が利用するなどの盛況ぶりだった。

 普段外出を嫌がっている利用者が、今回のサービスを使って、半日以上、外に出られたことや、危険だからと家族から外出を止められていた利用者が一人で通院できたりと、馴染みの関係があるデイサービス事業所だからできる送迎サービスの可能性を遺憾なく発揮した。また、新型コロナウイルスのワクチン接種のために利用された実績もあり、行政からも感謝されたと斉藤さん。「移動支援のニーズがあることは分かったので、サービスを継続できる形を探っていくのが次の段階」と、さらなる先を見据えている。

 「この仕組みが拡がっていけば、どこの地域でも、高齢者の人たちの移動を確保できるようになるかもしれない」と斉藤さん。最新のアプリとデイの送迎車両を使った新しいサービスに、免許を返納した高齢者の外出支援や過疎地の高齢者の移動確保の問題を解決する可能性を感じた。

(シルバー産業新聞2021年8月10日号)

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