インタビュー・座談会
「ケアマネジメントと介護経営の未来を考える大会に」
第22回日本介護経営学会学術大会が11月15日(日)、東京都内で開催される。大会長を務める国際医療福祉大学大学院の石山麗子教授に、見どころや狙いを聞いた。
今回の学術大会では、「これからの介護経営を支えるケアマネジメントの力 見えにくい価値をどう可視化するか」をテーマに掲げています。日本介護経営学会ですので、ケアマネジメントの質をどう高めるかだけではなく、それを介護経営とどう結び付けて考えるかが大きなテーマです。
「経営」というと、収益を上げることをイメージされるかもしれません。しかし、介護経営はそれだけではありません。限られた人材や資源の中で、質の高い介護サービスを持続可能な形で提供していく。そのために、人やサービス、地域資源をどうつなぎ、どう配分していくかを考えるのが介護経営だと思います。ケアマネジメントは、その中核にある機能です。
利用者や家族だけでなく、医療、介護サービス、地域住民、他法人など、さまざまな人や組織をつなぎ、調整する。そうした実践自体が、介護事業所の「経営の網を張る」ことにもつながっていると考えています。地域にどのようなニーズがあるのか、どのような支援が不足しているのか。ケアマネジャーは、そうしたことを見つけるアンテナにもなり得ます。
これは、直接的に売上を生むわけではありません。しかし、一つの事業所だけですべてを抱え込むのではなく、地域のさまざまな資源とつながることで、限られた人材でも支援を継続できる。結果として、それが事業所の経営や介護保険制度全体の持続可能性を下支えしていくことにもつながります。
「経営」というと、収益を上げることをイメージされるかもしれません。しかし、介護経営はそれだけではありません。限られた人材や資源の中で、質の高い介護サービスを持続可能な形で提供していく。そのために、人やサービス、地域資源をどうつなぎ、どう配分していくかを考えるのが介護経営だと思います。ケアマネジメントは、その中核にある機能です。
利用者や家族だけでなく、医療、介護サービス、地域住民、他法人など、さまざまな人や組織をつなぎ、調整する。そうした実践自体が、介護事業所の「経営の網を張る」ことにもつながっていると考えています。地域にどのようなニーズがあるのか、どのような支援が不足しているのか。ケアマネジャーは、そうしたことを見つけるアンテナにもなり得ます。
これは、直接的に売上を生むわけではありません。しかし、一つの事業所だけですべてを抱え込むのではなく、地域のさまざまな資源とつながることで、限られた人材でも支援を継続できる。結果として、それが事業所の経営や介護保険制度全体の持続可能性を下支えしていくことにもつながります。
ケアマネジメントの「見えにくい価値」を可視化
一方で、現状ではケアマネジャーが多くのシャドーワークを抱えています。「何とかこの利用者を守りたい」「見てしまった以上、そのままにはできない」といった思いから、制度上明確に位置付けられていない業務までを担っているケースが多くあります。
厚生労働省は2024年12月に、ケアマネジャーの業務を法定業務とそれ以外の業務に整理しました。大事なのは、こうしたシャドーワークを単純に「いくらの価値があるか」と金銭換算するのではなく、なぜその業務が発生しているのかを分析することです。
地域に必要な支援が不足しているために発生しているのか。それとも、ケアマネジャーが個人で抱え込んでしまっているのか。そこを整理し、地域課題として捉えるべきものは、地域包括支援センターや事業所などが共有し、地域全体で新しい仕組みをつくっていくことが重要です。
誰かが犠牲になりながら利用者を支えるのではなく、利用者も、家族も、ケアマネジャーも、他の支援者も困らないようにする。そこにケアマネジメントの「見えにくい価値」があり、私はそれが介護経営にとっても重要な価値だと考えています。
そのためには、生産性向上も必要です。ただし、生産性向上は、単にケアマネジャーを楽にするための効率化ではありません。DXなどを活用した方がむしろ質が高まる部分、個々のケアマネジャーがそれぞれ行っている業務のうち、共通化・組織化できる部分を整理していく。そうして生み出した時間や力を、地域との連携や利用者への支援など、本来ケアマネジメントが果たすべき機能に振り向けていくことが大切です。
厚生労働省は2024年12月に、ケアマネジャーの業務を法定業務とそれ以外の業務に整理しました。大事なのは、こうしたシャドーワークを単純に「いくらの価値があるか」と金銭換算するのではなく、なぜその業務が発生しているのかを分析することです。
地域に必要な支援が不足しているために発生しているのか。それとも、ケアマネジャーが個人で抱え込んでしまっているのか。そこを整理し、地域課題として捉えるべきものは、地域包括支援センターや事業所などが共有し、地域全体で新しい仕組みをつくっていくことが重要です。
誰かが犠牲になりながら利用者を支えるのではなく、利用者も、家族も、ケアマネジャーも、他の支援者も困らないようにする。そこにケアマネジメントの「見えにくい価値」があり、私はそれが介護経営にとっても重要な価値だと考えています。
そのためには、生産性向上も必要です。ただし、生産性向上は、単にケアマネジャーを楽にするための効率化ではありません。DXなどを活用した方がむしろ質が高まる部分、個々のケアマネジャーがそれぞれ行っている業務のうち、共通化・組織化できる部分を整理していく。そうして生み出した時間や力を、地域との連携や利用者への支援など、本来ケアマネジメントが果たすべき機能に振り向けていくことが大切です。
10年後を見据え何を変え、何を残すのか
今、ケアマネジャーは大きな岐路に立っています。年齢構成を見ると若い世代が少なく、50代、60代が増えています。このままでは、10年後にケアマネジャーがどれだけいるのか、今の仕組みが維持できるのかという問題に直面します。
ケアマネジャーの仕事には、利用者に感謝されること、信頼関係を築けること、多職種と一緒に支援できることなど、大きな魅力があります。一方で、夜間や休日にも電話が入り、常に携帯電話を気にしなければならない仕事です。時代が変わり、魅力と労働実態が相反する状況も出てきています。「研修時間を短くしよう」「書類を減らそう」ということだけで、本当に魅力ある専門職になるのでしょうか。今の自分たちの行動が、10年後にどうつながるかも考えなければなりません。それは一つの介護事業所の経営だけではなく、介護保険制度全体に関わる問題です。
今回の学術大会では、まず厚生労働省の介護支援専門官から、制度改正や介護報酬をめぐる最新の動向について直接話を聞くことができます。報酬改定などの議論についていけていないと感じているケアマネジャーにとっても、現在何が議論されているのかを知る機会になります。
そのうえで、単独型居宅介護支援事業所の経営、生産性向上、高齢者のQOL、地域の社会資源や民間サービスの活用、ケアに関わる人たちのウェルビーイングなど、さまざまな角度からケアマネジメントの価値を見ていきます。一つの答えを示すというより、異なる視点からケアマネジメントを見ることで、その価値を複眼的に捉えていきます。10年後を見据え、今、何を変え、何を残していくべきなのか。介護経営とケアマネジメントの未来を考える大会にしたいと思っています。(談)
ケアマネジャーの仕事には、利用者に感謝されること、信頼関係を築けること、多職種と一緒に支援できることなど、大きな魅力があります。一方で、夜間や休日にも電話が入り、常に携帯電話を気にしなければならない仕事です。時代が変わり、魅力と労働実態が相反する状況も出てきています。「研修時間を短くしよう」「書類を減らそう」ということだけで、本当に魅力ある専門職になるのでしょうか。今の自分たちの行動が、10年後にどうつながるかも考えなければなりません。それは一つの介護事業所の経営だけではなく、介護保険制度全体に関わる問題です。
今回の学術大会では、まず厚生労働省の介護支援専門官から、制度改正や介護報酬をめぐる最新の動向について直接話を聞くことができます。報酬改定などの議論についていけていないと感じているケアマネジャーにとっても、現在何が議論されているのかを知る機会になります。
そのうえで、単独型居宅介護支援事業所の経営、生産性向上、高齢者のQOL、地域の社会資源や民間サービスの活用、ケアに関わる人たちのウェルビーイングなど、さまざまな角度からケアマネジメントの価値を見ていきます。一つの答えを示すというより、異なる視点からケアマネジメントを見ることで、その価値を複眼的に捉えていきます。10年後を見据え、今、何を変え、何を残していくべきなのか。介護経営とケアマネジメントの未来を考える大会にしたいと思っています。(談)
第22回日本介護経営学会学術大会 開催概要
【開催日時・会場】2026年11月15日(日)、大塚商会 会議室(東京都千代田区)
【開催形式】会場参加+WEB同時配信(Zoomウェビナー)
【参加費】会員2,000円、学生会員1,000円、一般3,000円(※会場・WEBとも)
【プログラム】
1. 自由論題報告・協賛企業の動画上映
2. 大会長講演とシンポジウム
【大会長講演】石山麗子氏
【講演1】中長期ビジョン・今期改正からみたケアマネジメントの価値と可能性
【講演2】単独型の居宅介護支援事業所におけるケアマネジメントの価値と経営
【講演3】高齢者のQOL向上、生産性向上の観点から
【講演4】社会資源活用と高齢者のQOL向上、高齢者市場とケアマネジメントの観点から
【講演5】ケアにかかわるすべての人の well-beingの実現
3. 総合討論 大会長、シンポジウム登壇者と会場によるディスカッション
4. 総評 田中滋氏(本学会会長/埼玉県立大学理事長)
【問合せ】同大会運営事務局:TEL03-6684-5806、FAX03-6694-4971、Eメール:info@bmltc.jp(担当: 宮崎)
【ウェブサイト】https://kaigokeieigakkai.jp/past-activity/congress/22th_academic_conference_info/
(シルバー産業新聞2026年10月10日号)
【開催形式】会場参加+WEB同時配信(Zoomウェビナー)
【参加費】会員2,000円、学生会員1,000円、一般3,000円(※会場・WEBとも)
【プログラム】
1. 自由論題報告・協賛企業の動画上映
2. 大会長講演とシンポジウム
【大会長講演】石山麗子氏
【講演1】中長期ビジョン・今期改正からみたケアマネジメントの価値と可能性
【講演2】単独型の居宅介護支援事業所におけるケアマネジメントの価値と経営
【講演3】高齢者のQOL向上、生産性向上の観点から
【講演4】社会資源活用と高齢者のQOL向上、高齢者市場とケアマネジメントの観点から
【講演5】ケアにかかわるすべての人の well-beingの実現
3. 総合討論 大会長、シンポジウム登壇者と会場によるディスカッション
4. 総評 田中滋氏(本学会会長/埼玉県立大学理事長)
【問合せ】同大会運営事務局:TEL03-6684-5806、FAX03-6694-4971、Eメール:info@bmltc.jp(担当: 宮崎)
【ウェブサイト】https://kaigokeieigakkai.jp/past-activity/congress/22th_academic_conference_info/
(シルバー産業新聞2026年10月10日号)


