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「ケア社会をつくる会」 利用者負担増「断固反対」訴え

「ケア社会をつくる会」 利用者負担増「断固反対」訴え

 社会学者の上野千鶴子氏や高齢社会をよくする女性の会、認知症の人と家族の会のメンバーらが中心となった「ケア社会をつくる会」は、11月21日に衆議院第二会館で院内集会を開催、次期介護報酬改定に向けて反対の声を上げた。会場では介護事業者、障害分野、医師など幅広い立場の約30人が参加。ライブ配信での同時視聴者数は1000人を超えた。

 冒頭、上野氏は「介護保険制度は改悪に改悪を重ねてきた。職員と利用者に寄り添った改定案にするために、一緒に戦いの声を上げていきましょう」と意気込んだ。

 続いて、有識者や職能団体代表らが、利用者負担増への反対や職員の処遇改善等、次期改定に向けた意見を発言した。

 渋谷介護サポートの服部万里子氏は、2割負担の対象拡大について「2倍の額を支払うことになれば、サービスを減らす人が必ず出てくる。40歳以上の人は保険料を支払う義務が発生しているにもかかわらず、いざというときにサービスが利用しづらいのは、詐欺としか言いようがない」と問題提起した。

 むつき庵の浜田きよ子氏は、厚労省が提案している福祉用具の「選択制」導入について、そのときの利用者に適した用具を使用しなければ、事故や怪我の原因となったり、要介護度が増してしまうと危険性を訴えた。

 また同会は、▽2割負担対象拡大など、利用者負担を増やさない▽老健施設等の多床室室料をとらない▽ケアマネジメントの10割給付の継続――など6つを記した要望書を岸田文雄首相らに提出予定。そのうちの一つである「介護保険の国負担増」について、上野氏は「2019年の消費税増税は社会保障の財源になるはずだった。結局他の税収減少の補填分となったが、介護に充てるお金がないとは言わせない」と強く主張。「報酬単価を引き上げると、上限に達しやすく利用時間が制限されてしまうため、税負担割合を上げるしか手段がない」と述べた。
(シルバー産業新聞2023年12月10日号)

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