連載《プリズム》

プリズム(2026月8月10日号) 令和8年熊本地震

 7月28日午後4時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

 被災地では今も、介護現場の苦闘が続いている。厚生労働省によると、熊本県では高齢者関係施設873施設、障害児者関係施設401施設、医療施設91施設が被災した(8月4日12時30分時点)。この数字の一つ一つの先に、不安な日々を送る高齢者と、自らも被災しながら支援を絶やすまいと奮闘する職員がいる。
 被害を受けた施設の中には、リハビリ室や廊下にも寝床を設け、介護を続ける特別養護老人ホームもある。また、被災した職員が車中泊をしながら勤務を続けるケースも報じられている。こうした現場に猛暑が追い打ちをかける。停電で冷房が使えず、断水で水分補給や排泄、衛生管理に支障が出ている。「応援がほしい」という声が、現場の窮状と職員の疲弊を物語っている。支援が届かなければ、使命感に支えられている現場もやがては限界を迎える。
 介護・障害福祉事業者には、業務継続計画(BCP)の策定と訓練が義務づけられている。10年前にも大地震を経験した熊本では、その教訓を踏まえてBCPの策定や訓練が重ねられてきた。こうした平時からの備えが、厳しい災害下においても介護を途切れさせず、利用者の命と暮らしを守る力になっている。
 一方で、一つの施設や事業所が確保できる水や燃料、人員には限界がある。必要なのは、事業所ごとのBCPを、自治体や医療機関、地域の介護事業者が連携する「介護継続計画」へとつなげることだ。法人や業界団体の枠を越えた相互応援体制も欠かせない。現場の奮闘を孤立させず、支援する人たちを地域全体で支える仕組みへと発展させることが、災害から高齢者の命や暮らしを守る、より確かな備えとなる。

関連する記事

251216_ケアマネ過去問バナー_b
シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル