生き活きケア

生き活きケア(107)デイサービス「DAYS BLG!」

生き活きケア(107)デイサービス「DAYS BLG!」

 「DAYS BLG!」(以下BLG!)は「町田市つながりの開」(前田隆行理事長)が運営するデイサービス。利用者自らが主役として再び生活者となれるよう、就労を始めとするさまざまな社会参加の場を提供している。

「行政、企業、地域を巻き込んだ地域 で支える環境づくりが大切」と前田氏

「行政、企業、地域を巻き込んだ地域 で支える環境づくりが大切」と前田氏

本人の意志を聴く

 同事業所では利用者のことをメンバーと呼ぶ。午前中、メンバーがBLG!のテーブルに集まると、まずはじめに1日のスケジュールを決める。活動内容は企業での就労、学童への紙芝居の読み聞かせ、食事の買出し、デイサービス内の掃除などさまざま。職員が指示をするのではなく、個々が何をやりたいのか意志を聴くことを基本とし、メンバー同士で話し合って予定を立てる。 「人間が生活をする上で、生きづらい、生活しにくいと感じるのは、自らの意志とは関係なく望まない生活を余儀なくされるから」と前田氏。メンバーの意志を実現させることが支援の原点だと話す。

就労活動で社会参加支援

 BLG!の支援する就労活動は、デイの利用時間のうち午前中の約1時間を使う。現在の主な就労内容は▽ホンダディーラーでの洗車▽コクヨの商品企画▽三菱鉛筆でのボールペン組▽保険代理店でのボールペン袋詰め▽学校給食向けの野菜の皮むき――などで、月2,000~3,000円の報酬も得る。 このような取り組みを行うきっかけは、前田氏が以前勤めていたデイサービスできいた「働くのであれば、対価が欲しい」との利用者の声だった。前田氏は自らNPOを立ち上げ、現在の事業をはじめた。 メンバーの1人である奥公一さん(75歳、要介護3)は64歳のときに前頭側頭型認知症を発症し、判断力の低下等症状がでてきた。発症後は家にいることが多く、外出の際は一緒に住む妻と2人で出かけるようにしていた。

 しかし、生活を続けるなかで、社会との関わりがだんだんと薄れていることを感じ、生きる目的がなくなってしまったそうだ。 そんなときにBLG!に入り、就労や地域活動を体験。「ここにきたことで第2の人生を歩み始め、まるで生まれ変わったようだった」と奥さん。報酬を受け取ることで、自分が役に立っていると感じることができるという。

認知症でもできることを伝える

 活動の一つの紙芝居は絵が得意なメンバーが手作りし、学童など地域の子供達へ披露する。認知症とはなにか、認知症でもできることなど、自身の体験もふまえて語りかけ、最後に自分たちが実は認知症であることを明かす。

 子供のうちから認知症の症状、行動を理解してもらうことで、認知症当事者にとって生活しやすい地域・社会づくりとしての意義もあるという。

 「紙芝居や就労を通して、自ら進んで社会と繋がっていくことが大切。認められることや役に立っているという気持ちが生きがいにもなる」と奥さんは話す。報酬は孫が遊びに来たときのお菓子などに使うそうだ。

 BLG!では男性のメンバーが約90%以上と圧倒的に多いのも特徴。「男性にとって、仕事というのは地域と肩を並べるコミュニティの1つ。定年、または認知症が原因で仕事を手放さざるを得なかった人たちの、再び働きたいという想いや、生活を楽しみたいという意志を叶える機会を与え続けたい」と前田氏は語った。
「活動を通して認知症当事者 も過ごしやすい地域になって 欲しい」と奥公一さん

「活動を通して認知症当事者 も過ごしやすい地域になって 欲しい」と奥公一さん

 (シルバー産業新聞2016年3月10日号)

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