未来のケアマネジャー

「身近で信頼できる大人」 としてのケアマネジャー

「身近で信頼できる大人」 としてのケアマネジャー

 ケアマネジャーの地域での活躍は目覚ましい。要介護高齢者の地域での生活支援はもとより、そのプロセスを通じて、家族にも目を向けている。家族といっても老々介護、遠距離介護、仕事と介護の両立支援、障害のある(疑われる)子への支援など、配慮の対象は多岐にわたる。最近、「ヤングケアラー」という言葉があちこちから聞こえてくる(表1)。

 厚生労働省が実施した調査(注2)では、ヤングケアラーと思われる子どもがいる学校は34.1%にのぼる。「思われる」という表現から、子どもにとって身近な存在である学校であっても家庭の様子は把握しづらく、ヤングケアラーを発見することに苦慮していることがうかがい知れる。ケアラーは、ケアを必要とする人に対になって存在する。ケアを必要とする要介護者の自宅を訪問するケアマネジャーには、一層期待がかかる。
 ヤングケアラーを「発見」し、必要に応じて他機関につなげられるか。高齢領域を専門とする職種であっても、子どもにとって何が問題となるのか、最小限の知識を備え、子どもの立場にたって状況を捉える視点を持つことも必要になりそうだ。

ヤングケアラーへの支援

 介護保険最新情報Vol.1070で「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」(注1) が周知された。ケアラー支援における機関・職種とは、教育機関はもとより保健医療福祉等の領域である。マニュアル作成が行われた事業には、文部科学省、厚労省の両省が出席した。まさに省庁横断の大きな横串がさされた。
 ケアマネジャーが日頃「本人」という言うときには、要介護高齢者を指すが、このマニュアルでの「本人」はヤングケアラーである。もちろん今後もケアマネジャーの立ち位置は変わらないが、ヤングケアラー支援を行う際には、ヤングケアラーの立場にたって思いや考えをめぐらせる視点も求められる。

 筆者がこのマニュアルの作成委員会に出席させていただき感じたのは「子どもの権利」という言葉が飛び交ったことである。ヤングケアラーの支援は、子どもの権利条約を基点として考える。実際に遭遇した時、子どもにとって何が問題となるのかの判断基準は、ここが出発点だ。となれば、高齢領域の専門職にも子どもの権利への理解は求められる。でなければ、判断は個人の感覚に委ねられ、問題はあるのに気づけない、問題の取り違えをする恐れもある。そこで、このマニュアルでは、まず「子どもの権利条約」のうち、ヤングケアラーとの関連が深いものについてピックアップし、解説が挿入されることになった(表2)。
 他世代のケアラーへの配慮と異なる点は特に子どもには、遊ぶ権利、教育を受ける権利があることだ。家族に代わって働くなど、一般に年齢にそぐわない重い役割を担っている場合もある。ケアラーの実態調査では、健康状態が「よくない・あまりよくない」、遅刻や早退を「たまにする・よくする」と回答する割合が、世話をしている家族がいない人よりも2倍前後高いこと、「自由に使える時間がほしい」、「自分の話を聞いてほしい」という回答も目立った。

 ケアマネジャーは多忙を極めているが、もし該当しそうな子どもがいるなら、身近で信頼できる大人として、子どもに目をかけ、声に耳を向けて欲しい。そのことが子どもたちの未来へとつながる。
注1)トーマツ.2021年度子ども・子育て支援推進調査研究事業.多機関・多職種連携による
ヤングケアラー支援マニュアル~ケアを担う子どもを地域で支えるために~
注2)日本総合研究所.2021年度子ども・子育て支援推進調査研究事業.ヤングケアラーの実
態に関する調査研究報告書
(シルバー産業新聞2022年6月10日)

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