ニュース
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 変化に柔軟な訪問介護サービス
東京都三鷹市で、2023年3月にオープンした「いるてと」*(前川武嗣代表)は、地域に密着した訪問介護を24時間提供し、医療処置等が必要な看取り期の対応まで幅広いサービスを提供している。また、4月からの訪問介護報酬引き下げの影響では、加算の取得などで経営の安定化を図り、訪問現場でのIT化にも期待を寄せている。柔軟なサービスを可能にする「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(以下、定期巡回)の取組みについて、代表の前川氏に話を聞いた。
――定期巡回の魅力について教えて下さい。
24時間サービスを提供できるのはもちろんだが、訪問介護と大きく異なるのは、訪問する時間やケア内容を介護職の見立てで行えることだと感じている。例えば、退院支援の場合、最初に当方に依頼してもらえれば、まずは訪問して、その人の生活リズムをモニタリングしながら、必要なタイミングに必要な内容を、必要な時間だけ支援することができる。“事件は現場で起きている”という有名なフレーズがあるが、ケアプランに固定化されずに、介護職のリアルタイムな見立てで現場の支援を実践できることが、とても有難く、やり甲斐に繋がっている。利用者からは、スピーディに対応してもらえるという声をいただいている。
例えば、お風呂の時間をご本人の体調や希望を優先して決める。食事の時間も生活のリズムを大事にして、食欲に繋がるよう最適時間で調整する。こんなに時間はいらない、となれば時間を減らすこともできる。こうしていろいろ試して、予定を立てるが、様態の変化や生活のリズムの変化などで、その都度、柔軟に対応できる。
また、ヘルパーは、体調不良で気になる人がいたら、決まった時間だけでなく、朝ごはん食べたかな、と昼に覗いてみることができる。買物行けない人だから、近くを通るついでに買物をして届けよう、ということもできる。より利用者本意の介護ができる。介護職も自分の気づきが実行できるので、専門職としての満足度が高い。私は施設も訪問も現場を経験したが、ある意味、やっとたどり着いた満足感だ。
24時間サービスを提供できるのはもちろんだが、訪問介護と大きく異なるのは、訪問する時間やケア内容を介護職の見立てで行えることだと感じている。例えば、退院支援の場合、最初に当方に依頼してもらえれば、まずは訪問して、その人の生活リズムをモニタリングしながら、必要なタイミングに必要な内容を、必要な時間だけ支援することができる。“事件は現場で起きている”という有名なフレーズがあるが、ケアプランに固定化されずに、介護職のリアルタイムな見立てで現場の支援を実践できることが、とても有難く、やり甲斐に繋がっている。利用者からは、スピーディに対応してもらえるという声をいただいている。
例えば、お風呂の時間をご本人の体調や希望を優先して決める。食事の時間も生活のリズムを大事にして、食欲に繋がるよう最適時間で調整する。こんなに時間はいらない、となれば時間を減らすこともできる。こうしていろいろ試して、予定を立てるが、様態の変化や生活のリズムの変化などで、その都度、柔軟に対応できる。
また、ヘルパーは、体調不良で気になる人がいたら、決まった時間だけでなく、朝ごはん食べたかな、と昼に覗いてみることができる。買物行けない人だから、近くを通るついでに買物をして届けよう、ということもできる。より利用者本意の介護ができる。介護職も自分の気づきが実行できるので、専門職としての満足度が高い。私は施設も訪問も現場を経験したが、ある意味、やっとたどり着いた満足感だ。
――ヘルパーさんの労働環境はどうですか。
正社員を3人雇用している。その他、パート職員が5人。利用者数は現在26人。社員は、早番、遅番、夜勤など施設介護のようなシフト勤務となる。パートの場合、訪問介護のような、基本的にサービス提供時間のみに対する出来高払いとは異なり、施設介護などのような時間単位での勤務管理になる。ケアがない時間は他の業務を行い、必要に応じて訪問もできる。訪問介護のように、移動時間、待機時間の支払いの心配もなく、キャンセルが出てもヘルパーさんの給与には変化はない。書類作成などにも賃金が確保される仕組みだ。
社員もパートも、その殆どを、地元の方を採用できているため、自宅での勤務や直行直帰も認めている。これにより子育てや家事との両立も可能になり、安定して働けている。利用者との距離も近く、親身になれるので、やり甲斐を感じてくれている。年齢層は30代40代が中心だ。
――安定雇用できる要因は何ですか。
介護報酬が月々のまるめ報酬になっているのが大きいと思う。経営者目線だと、訪問介護はサービスの回数が報酬になるので、サービス量の管理を細かく行う必要があるが、定期巡回は利用者一人あたり月額の包括報酬。収益の点で細かなサービス量の管理をする必要はない。ヘルパー目線では、訪問介護だとサービスのキャンセルがあると、そのまま収入が減るが、時間管理で仕事をする定期巡回では、キャンセルがあっても他の方の訪問や、他の仕事があれば、シフトに入っていた収入は基本的に確保できるメリットがある。
――訪問介護と比べて利点は何ですか。
緊急コールに対応できる点は大きい。仮に通報システムから警告が発せられても、訪問介護では、勤務体制や制度上スピーディに出動することは難しいが、定期巡回なら、そもそも日頃から緊急コール対応しているので可能になる。さらに、これから国が進めようとしているICT機器(見守りシステム)などとの相性がいい。緊急対応を想定した体制を確保しているので、データを確認して訪問の必要性を判断したり、センサーの危険予知の警告を受けて訪問する必要性が判明したとしても、必要時にはすぐに駆け付けることもできるからだ。利用者から見ても、サービスは定額で受けられるので安心だし、定期的な訪問と緊急対応もしてもらえるのでお得だと思う。
――定期巡回の課題は何ですか。
訪問介護との併用ができないので、長く訪問でお世話になったヘルパーさんが変わるのは利用者には負担な場合もある。また、サービス量に関係なく定額なので、サービスをそれほど必要としない人にとっては割高になる場合もある。ただ、体調の変化を見越して、訪問回数などを調整できるし、緊急対応も受けられることから、もしもの時の備えとして定期巡回を選んでいる方もいる。
看護との連携が制度の条件だが、訪問看護が介護保険で入る場合、訪問看護側の報酬が低いため、定期巡回と組みたがらないケースもよくある。ただし、医療保険で訪問看護が入るケース(難病、看取り、退院直後など)は利用しやすいサービスである。医療、介護の報酬に左右される仕組みは問題だと感じる。
4月から訪問介護の基本報酬が下がり、減収になったが、これまで加算取得が進んでいなかったので、より上位加算を取ることで、当社は全体ではプラスになった。すでに加算を取得している事業所は減収だと聞いているが、当社の場合はまだ開設したばかりなので、加算取得で補えた形だ。しかし、基本報酬の引下げには不安が残るし、在宅介護、在宅医療がますます必要とされる近い将来においては、見直していただきたいと考えている。
――最近の事例を紹介してください。
やはり、最期まで自宅で過ごされ、お看取りもできた例を紹介したい。定期巡回の利用で、24時間対応でき、状態変化にとても柔軟で臨機応変な対応を得意とするこのサービスについて、地域の専門職やケアマネジャーさんに知って頂きたいと切に思う。
正社員を3人雇用している。その他、パート職員が5人。利用者数は現在26人。社員は、早番、遅番、夜勤など施設介護のようなシフト勤務となる。パートの場合、訪問介護のような、基本的にサービス提供時間のみに対する出来高払いとは異なり、施設介護などのような時間単位での勤務管理になる。ケアがない時間は他の業務を行い、必要に応じて訪問もできる。訪問介護のように、移動時間、待機時間の支払いの心配もなく、キャンセルが出てもヘルパーさんの給与には変化はない。書類作成などにも賃金が確保される仕組みだ。
社員もパートも、その殆どを、地元の方を採用できているため、自宅での勤務や直行直帰も認めている。これにより子育てや家事との両立も可能になり、安定して働けている。利用者との距離も近く、親身になれるので、やり甲斐を感じてくれている。年齢層は30代40代が中心だ。
――安定雇用できる要因は何ですか。
介護報酬が月々のまるめ報酬になっているのが大きいと思う。経営者目線だと、訪問介護はサービスの回数が報酬になるので、サービス量の管理を細かく行う必要があるが、定期巡回は利用者一人あたり月額の包括報酬。収益の点で細かなサービス量の管理をする必要はない。ヘルパー目線では、訪問介護だとサービスのキャンセルがあると、そのまま収入が減るが、時間管理で仕事をする定期巡回では、キャンセルがあっても他の方の訪問や、他の仕事があれば、シフトに入っていた収入は基本的に確保できるメリットがある。
――訪問介護と比べて利点は何ですか。
緊急コールに対応できる点は大きい。仮に通報システムから警告が発せられても、訪問介護では、勤務体制や制度上スピーディに出動することは難しいが、定期巡回なら、そもそも日頃から緊急コール対応しているので可能になる。さらに、これから国が進めようとしているICT機器(見守りシステム)などとの相性がいい。緊急対応を想定した体制を確保しているので、データを確認して訪問の必要性を判断したり、センサーの危険予知の警告を受けて訪問する必要性が判明したとしても、必要時にはすぐに駆け付けることもできるからだ。利用者から見ても、サービスは定額で受けられるので安心だし、定期的な訪問と緊急対応もしてもらえるのでお得だと思う。
――定期巡回の課題は何ですか。
訪問介護との併用ができないので、長く訪問でお世話になったヘルパーさんが変わるのは利用者には負担な場合もある。また、サービス量に関係なく定額なので、サービスをそれほど必要としない人にとっては割高になる場合もある。ただ、体調の変化を見越して、訪問回数などを調整できるし、緊急対応も受けられることから、もしもの時の備えとして定期巡回を選んでいる方もいる。
看護との連携が制度の条件だが、訪問看護が介護保険で入る場合、訪問看護側の報酬が低いため、定期巡回と組みたがらないケースもよくある。ただし、医療保険で訪問看護が入るケース(難病、看取り、退院直後など)は利用しやすいサービスである。医療、介護の報酬に左右される仕組みは問題だと感じる。
4月から訪問介護の基本報酬が下がり、減収になったが、これまで加算取得が進んでいなかったので、より上位加算を取ることで、当社は全体ではプラスになった。すでに加算を取得している事業所は減収だと聞いているが、当社の場合はまだ開設したばかりなので、加算取得で補えた形だ。しかし、基本報酬の引下げには不安が残るし、在宅介護、在宅医療がますます必要とされる近い将来においては、見直していただきたいと考えている。
――最近の事例を紹介してください。
やはり、最期まで自宅で過ごされ、お看取りもできた例を紹介したい。定期巡回の利用で、24時間対応でき、状態変化にとても柔軟で臨機応変な対応を得意とするこのサービスについて、地域の専門職やケアマネジャーさんに知って頂きたいと切に思う。
要介護1の時から看取りまで支援した93歳女性のケース
難聴で、糖尿病、認知症があり、要介護1の女性で、薬の飲み忘れが目立ってきたことから依頼がきた。当初は、服薬の確認のためだけで、朝、昼、夕の3回、薬を渡すだけの、1回5分ほどの訪問だった。食事、排泄、入浴などは自立していたが、買い物は難しいので、週1回程度買物代行をしていた。
服薬を忘れないようにしてもらえないかと考え、お薬シートを用意し、朝昼夕と書いたシートを目立つ場所に貼って、そこに薬を貼りつけた。他の利用者で、このシートによって内服を自力でできた事例があったので導入してみようとなった。
すると、効果が出て、自力で内服できるようになった。その後は安否確認と薬のセットのため、朝だけ訪問することになった。買物は冷蔵庫の中を観ながら、好みのものを本人に確認したり、消費量を確認しながら行った。
しかし、半月ほど経つと、また忘れるようになった。薬は朝、夕の処方になったので、1日2回の訪問に切り替えて、数か月が経過した。すると、当社のヘルパーが、冷蔵庫内の食品の消費量が低下したことに気づき始めた。訪問看護からも体重の減少や、デイサービスからは食事摂取量の低下の報告もあった。
そこで僕らは、何なら食べてくれるのか?と考えて、いろいろ買って試した。摂取量を見ながら関わる中で、こちらでお皿に盛りつけて用意してみたりもした。冷蔵庫に保存してみても、召し上がらないことも増え、冷蔵庫から出して食べるように促すこともあったが、おもてなしの気持ちを大事にする方なので、「あなたが食べなさい」と逆に言われたりした。ならば一緒に食べてみようと、一緒に食べたこともあった。
服薬を忘れないようにしてもらえないかと考え、お薬シートを用意し、朝昼夕と書いたシートを目立つ場所に貼って、そこに薬を貼りつけた。他の利用者で、このシートによって内服を自力でできた事例があったので導入してみようとなった。
すると、効果が出て、自力で内服できるようになった。その後は安否確認と薬のセットのため、朝だけ訪問することになった。買物は冷蔵庫の中を観ながら、好みのものを本人に確認したり、消費量を確認しながら行った。
しかし、半月ほど経つと、また忘れるようになった。薬は朝、夕の処方になったので、1日2回の訪問に切り替えて、数か月が経過した。すると、当社のヘルパーが、冷蔵庫内の食品の消費量が低下したことに気づき始めた。訪問看護からも体重の減少や、デイサービスからは食事摂取量の低下の報告もあった。
そこで僕らは、何なら食べてくれるのか?と考えて、いろいろ買って試した。摂取量を見ながら関わる中で、こちらでお皿に盛りつけて用意してみたりもした。冷蔵庫に保存してみても、召し上がらないことも増え、冷蔵庫から出して食べるように促すこともあったが、おもてなしの気持ちを大事にする方なので、「あなたが食べなさい」と逆に言われたりした。ならば一緒に食べてみようと、一緒に食べたこともあった。
訪問時間は決まっていないので、食事時間をいろいろ変えて訪問し、とにかく食べてもらえる時間を探った。すると、ご飯を食べることが多い時間帯がわかってきたし、何をよく食べるかもわかってきて、体重も改善していった。
このように僕たちが訪問するサービス量も増えてきたので、要介護度の変更申請をケアマネジャーにお願いした。定期巡回は要介護度によって報酬が違う。事業者としては、提供するサービス量に見合った報酬はいただきたい。結果として要介護2になった。しばらく状態は安定し、ほっとしていたのも1か月ほどで、また食事量が低下。ずっと椅子に座っていることが多くなり、傾眠が増えてきた。そのうち、殆ど食べなくなった。お風呂も入らなくなり、横になっている時間が増えた。呼吸も苦しそうな時もある。そろそろ終末期を考える段階になり、ケアマネにも状況説明し、再度、要介護度の変更申請を依頼した。
さらに衰弱は進み、寝たきりになってきた。訪問看護など医療を手厚くするのか、定期巡回を継続して介護を手厚くするのか、医師からは回復の見込みはないと言われ、ご家族もケアマネジャーも迷われていた。
ケアマネジャーは、医療を手厚くする判断をされ、当社はこの土壇場にきてまさかの撤退になりかけた。しかし、ご本人が夜間にトイレに行こうとして倒れこみ、僕らがトイレケアをしたことを報告すると、ケアマネは、介護を手厚くするべきだと感じたようで、当社は継続となった。
そこからは、こまめに訪問して、時間に縛られずに適宜にケアをした。オムツの中に排泄することを最期まで拒む意思があった。トイレ、トイレと言って泣いて立ち上がり、やせ細った身体で、ふらふらしながらもトイレに行かれていた。
立ち上がることが出来なくなっても、なおトイレ、と床でもがいておられる。抱きかかえて介助しトイレに座ってもらうと、ちゃんと尿が出る。こんな痩せた状態で、ふらふらな状態でもなお、キレイでいたい。凛とした強さを感じて、僕はトイレで涙を流していた。排泄介助で涙を流すなんて初めてのことだった。
その後、起き上がるだけで意識が遠のくようになってしまい、申し訳ないがオムツに排泄していただいていた。呼吸も乱れ、最期のときが近づいてくるのを感じていた。呼吸が速く、浅くなり、いよいよかという夜に訪問した。そばにいて身体をさすっていたが、肩をぴくっと動かされた瞬間、僕は、「あ、ひとりになりたいのかな」と感じて、その時は退室した。夜中の0時30分だった。そして翌朝、スタッフが訪問した際に、呼吸停止し、穏やかな表情のご本人を発見した。
元気な時から、最期まで、旦那さんを看取った自宅で、ご自身も見事な最期を迎えられた。今でも優しい笑顔をよく思い出す。最期までケアできたのは、変化に柔軟な定期巡回があったからだと改めて思っている。
*「いるてと」…共にいる。輝る、いまを照らす。永遠(とわ)に未来へつなぐ、の意味。
このように僕たちが訪問するサービス量も増えてきたので、要介護度の変更申請をケアマネジャーにお願いした。定期巡回は要介護度によって報酬が違う。事業者としては、提供するサービス量に見合った報酬はいただきたい。結果として要介護2になった。しばらく状態は安定し、ほっとしていたのも1か月ほどで、また食事量が低下。ずっと椅子に座っていることが多くなり、傾眠が増えてきた。そのうち、殆ど食べなくなった。お風呂も入らなくなり、横になっている時間が増えた。呼吸も苦しそうな時もある。そろそろ終末期を考える段階になり、ケアマネにも状況説明し、再度、要介護度の変更申請を依頼した。
さらに衰弱は進み、寝たきりになってきた。訪問看護など医療を手厚くするのか、定期巡回を継続して介護を手厚くするのか、医師からは回復の見込みはないと言われ、ご家族もケアマネジャーも迷われていた。
ケアマネジャーは、医療を手厚くする判断をされ、当社はこの土壇場にきてまさかの撤退になりかけた。しかし、ご本人が夜間にトイレに行こうとして倒れこみ、僕らがトイレケアをしたことを報告すると、ケアマネは、介護を手厚くするべきだと感じたようで、当社は継続となった。
そこからは、こまめに訪問して、時間に縛られずに適宜にケアをした。オムツの中に排泄することを最期まで拒む意思があった。トイレ、トイレと言って泣いて立ち上がり、やせ細った身体で、ふらふらしながらもトイレに行かれていた。
立ち上がることが出来なくなっても、なおトイレ、と床でもがいておられる。抱きかかえて介助しトイレに座ってもらうと、ちゃんと尿が出る。こんな痩せた状態で、ふらふらな状態でもなお、キレイでいたい。凛とした強さを感じて、僕はトイレで涙を流していた。排泄介助で涙を流すなんて初めてのことだった。
その後、起き上がるだけで意識が遠のくようになってしまい、申し訳ないがオムツに排泄していただいていた。呼吸も乱れ、最期のときが近づいてくるのを感じていた。呼吸が速く、浅くなり、いよいよかという夜に訪問した。そばにいて身体をさすっていたが、肩をぴくっと動かされた瞬間、僕は、「あ、ひとりになりたいのかな」と感じて、その時は退室した。夜中の0時30分だった。そして翌朝、スタッフが訪問した際に、呼吸停止し、穏やかな表情のご本人を発見した。
元気な時から、最期まで、旦那さんを看取った自宅で、ご自身も見事な最期を迎えられた。今でも優しい笑顔をよく思い出す。最期までケアできたのは、変化に柔軟な定期巡回があったからだと改めて思っている。
*「いるてと」…共にいる。輝る、いまを照らす。永遠(とわ)に未来へつなぐ、の意味。