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定期巡回で「24時間365日切れ目なく、在宅で支える」

定期巡回で「24時間365日切れ目なく、在宅で支える」

 千葉県君津市を拠点とするつばさグループのオールプロジェクト(津金澤寛社長)は介護保険制度創設時から、幅広く在宅介護サービスを提供し、地域の高齢者の暮らしを支えてきた。現在も、在宅サービスだけで16事業と広く展開する中、同社が最も力を入れるのが定期巡回・随時対応型訪問介護看護。「屋根の無い特養」を目指し、地域高齢者の在宅生活を支える。

「定期巡回は意外と効率的」

 同社は、訪問介護、通所介護、認知症対応型共同生活介護、居宅介護支援、福祉用具、住宅改修、サ高住、介護タクシーなど、在宅サービスを中心に展開している。全社の年商はおよそ6億円。中でも、特に力を注ぐのが定期巡回・随時対応型訪問介護看護だ。

 津金澤寛社長は、定期巡回サービスの長所について、「入居型施設のように高額の設備投資、維持管理費が不要な上に、自宅で暮らしたいという高齢者の希望を叶えることができ、かつ日々の状態や体調変化に合わせて、柔軟なサービスで安心した生活を支えられる」と力説する。「施設では『今日はAさんのおなかの調子が悪いみたいだから、普段より頻回に確認に行きましょう』とその日の状態に合わせて対応を変えている。こうした施設の当たり前を在宅で実践するには、あらかじめ提供時間が決まっている訪問型サービスでは難しいが、随時訪問もある定期巡回サービスなら可能になる」と強調する。

 手厚い分、人手がかかるというイメージを持たれがちな定期巡回サービスだが、訪問介護などとの兼務で効率的な人員配置ができる。「地域型の定期巡回事業所では安定経営のための定石といっていい」と津金澤社長。また、「〇分以上滞在しなければならないという縛りがないのもメリットだ。声掛けさえあれば、薬の飲み忘れなども激減し、生活が安定する人もいる」とも指摘する。「生活が安定すれば訪問回数は自然と減っていく。もちろん悪化時や不安定な時期は手厚く支えられる」という。退院直後の利用者には定期巡回サービスからスタートし、サービス量を確保。安定してきたら訪問介護に切り替えるケースなどもある。

 同社の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所つばさ」の利用者はおよそ50人で推移している。同社運営のサ高住入居の利用者もいるが、6割は地域の在宅利用者だ。同事業所単体の昨年度の経常利益は5000万円超と、安定した収益をあげている。「今後も定期巡回サービスで地域高齢者のニーズに柔軟に応え、在宅生活を支えていきたい」(津金澤社長)

認知症専門ケア加算、要件厳しく

 津金澤社長は全国定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会の副理事長も務める。次期改定に向けては、「前回改定で新設された認知症専門ケア加算の要件、特に研修受講要件のハードルが高く、算定率は非常に低調だ。認知症利用者への対応を充実させていくためにも、まずは取り組み始めやすいように要件の緩和を求めていきたい」と話す。また、介護保険部会が昨年にとりまとめた意見で「定期巡回サービスとの統合を検討する必要がある」とされた夜間対応型訪問介護については、「利用者の生活に大きな影響を及ぼさないよう、十分配慮されなければならない」と指摘する。

「一に職員、二に経営努力、三に折衝」

 業界の課題である人材確保。同社では外国人技能実習、特定技能、日本語学校からの学生アルバイトでの人材受け入れのほか、▽介護職員初任者研修▽介護職員実務者研修▽福祉用具専門相談員講習▽生活援助従事者研修▽技能実習生入国後研修(介護分野)▽同行援護従業者研修▽福祉有償運送運転者講習――など教育事業も手掛ける。

 同社の職員数は145人。「社会福祉というのは人を幸せにする仕事であり、その実現のための企業。この理念を根底に一緒に働く職員が夢や希望を持って働き続けてもらえるよう、まずは自らの経営努力でしっかりと収益をあげていかなければならない。その次に、我々だけでは解決が難しい課題に対しては、国や県、保険者としっかり向き合って折衝をしていく必要があるだろう」。
<法人概要>
 2000年設立。千葉県君津市を拠点に介護、教育、保育、飲食事業を展開する。同じくつばさグループの「社会福祉法人志真会」も君津市を拠点に、特養、地域密着型特養、地域包括支援センター、定期巡回サービスなどを運営。同グループの「つばさ不動産」「千葉福祉経営協同組合」等を含めると、グループ全体の年商は17億円。職員350人。
(シルバー産業新聞2023年5月10日号)

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