ニュース
新潟県 施設サービス費全国最高額 介護予防、重度化防止で認定率維持
人口215万人を抱える新潟県。全国平均を上回るペースで高齢化が進展し、1人当たり施設サービス費は全国一となっている。同県の伊藤隆之高齢福祉保健課長は、県民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、「介護予防や重度化防止、介護人材の確保に注力していく」と話す。
高齢化率、25年時点で34.4%
本県の人口は、2015年時点の230万4264人から、25年には213万1156人に、さらに40年には181万4665人まで減少すると予測されている。その中で、65歳以上の高齢者の割合は増えていき、高齢化率は15年時点で29.7%(全国26.3%)だったのが、25年時点で34.4%(30.0%)、40年には39.2%(35.3%)と、全国平均を上回るペースで上昇していく。
また、市町村別で見ると、25年にはほとんどの市町村で高齢化率が3割に達する見込みで、中には50%を超える地域も出てくる。ただ、高齢者人口がすでに減少を始めている地域もあるので、地域の実情に応じた介護サービスの基盤整備や人材確保を進めていかなければいけない。
また、市町村別で見ると、25年にはほとんどの市町村で高齢化率が3割に達する見込みで、中には50%を超える地域も出てくる。ただ、高齢者人口がすでに減少を始めている地域もあるので、地域の実情に応じた介護サービスの基盤整備や人材確保を進めていかなければいけない。
施設サービス給付費全国1位
本県の要介護認定者の数は、20年時点で13万5336人(認定率18.8%)となっており、制度創設時と比較して2.4倍(全国2.7倍)に増加している。認定率については、10年前までは全国よりも1ポイント程度高い値で推移してきたが、ここ数年は横ばい傾向で、全国平均と同じ値にまでなってきた。こうした流れを維持していくために、第8期計画では、介護予防や重度化防止などに注力して、認定率を19.1%に留めることを目標に掲げている。
一方で、要介護認定者の構成比でみると、本県の場合、要介護1以上の認定者の割合が75.0%となっており、全国よりも3ポイント高く、比較的、重度者の割合が高い。また、1号被保険者1人当たりの給付費は、全国で8番目の高さになっており、施設サービスの1人当たり給付費で見れば、全国で最も高い値となっている(図)。一方、後期高齢者1人あたり医療費は全国で最も低い。2019年時点の全国平均は月額およそ8万円だが、本県はそれと比べて1万5000円低くなっている。
一方で、要介護認定者の構成比でみると、本県の場合、要介護1以上の認定者の割合が75.0%となっており、全国よりも3ポイント高く、比較的、重度者の割合が高い。また、1号被保険者1人当たりの給付費は、全国で8番目の高さになっており、施設サービスの1人当たり給付費で見れば、全国で最も高い値となっている(図)。一方、後期高齢者1人あたり医療費は全国で最も低い。2019年時点の全国平均は月額およそ8万円だが、本県はそれと比べて1万5000円低くなっている。
人材確保・定着に有効な複数法人連携
県民の方が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、取り組みを進めければならない課題は多岐にわたるが、特に大きな課題が、不足感が増大する介護人材の確保・定着の問題である。本県の場合、19年時点で介護職員の数は3万4120人となっており、前年度から345人増となっているが、25年には3万7785人必要と推計されている。そのため、19年から6年間のうちに3600人、毎年600人ずつのペースで介護人材を確保していかなければならない。ここを何とかしていくことが我々の命題だ。
そのために、県として注力したいのが介護ロボットやICTの普及である。介護職の業務負担が大きいという意見があることや、他産業と比べてICTなどのテクノロジーの活用が遅れている状況がある。働き方改革の一環として、ICTなどの導入を支援し、業務負担の軽減や人材定着の促進につなげていきたい。
また、複数法人の連携によって、人材確保や育成の課題を解決しようという現場の取組にも期待している。県内の十日町市・津南町(妻有地域)では、地域の複数の社会福祉法人が連携して、人材育成やサービスの質の向上に向けた取組などを行い、効果を発揮している事例がある。社会福祉連携推進法人の制度活用など、法人間の連携を促進していくことも、人材確保・定着に有効だと考えている。
そのために、県として注力したいのが介護ロボットやICTの普及である。介護職の業務負担が大きいという意見があることや、他産業と比べてICTなどのテクノロジーの活用が遅れている状況がある。働き方改革の一環として、ICTなどの導入を支援し、業務負担の軽減や人材定着の促進につなげていきたい。
また、複数法人の連携によって、人材確保や育成の課題を解決しようという現場の取組にも期待している。県内の十日町市・津南町(妻有地域)では、地域の複数の社会福祉法人が連携して、人材育成やサービスの質の向上に向けた取組などを行い、効果を発揮している事例がある。社会福祉連携推進法人の制度活用など、法人間の連携を促進していくことも、人材確保・定着に有効だと考えている。
「地域の茶の間」が県内に広がる
新潟県の第8期計画の基本理念は「住み慣れた地域で生活できる高齢者福祉の推進」としている。それに向けて、住民の社会参加や生きがいづくり、通いの場の拡大、介護予防・重度化防止などの取組を促進していく。
たとえば、県内には新潟市内で発祥の「地域の茶の間」が広がっている。子供からお年寄り、認知症や障がいのある人まで、誰もが気軽に集まって、自宅のお茶の間にいるように自由に過ごせる場がコンセプトとなっている。こうした「通いの場」が、すでに県内には2900カ所ほどあるが、さらに横展開していくために、運営している人々同士の交流の場を設け、悩みや課題などを共有できるように支援していく。
また、介護予防・日常生活支援総合事業における通所型サービスC(短期集中予防サービス、以下「通C」)強化のための事業にも取り組んでいる。運動・栄養改善・口腔機能向上の複合的なアプローチのための専門職を市町村に派遣して、伴走的に通Cの立ち上げや、ブラッシュアップなどを手伝い、新潟県版の通Cのモデルを作っていと考えている。
地域包括ケアシステムというのは、介護や医療の専門職、事業者、ボランティア、行政職員など、多くの人たちが連携することによって、地域の住民を支える仕組みになっている。その連携がうまくいくように、市町村と一緒になって支援していきたい。
たとえば、県内には新潟市内で発祥の「地域の茶の間」が広がっている。子供からお年寄り、認知症や障がいのある人まで、誰もが気軽に集まって、自宅のお茶の間にいるように自由に過ごせる場がコンセプトとなっている。こうした「通いの場」が、すでに県内には2900カ所ほどあるが、さらに横展開していくために、運営している人々同士の交流の場を設け、悩みや課題などを共有できるように支援していく。
また、介護予防・日常生活支援総合事業における通所型サービスC(短期集中予防サービス、以下「通C」)強化のための事業にも取り組んでいる。運動・栄養改善・口腔機能向上の複合的なアプローチのための専門職を市町村に派遣して、伴走的に通Cの立ち上げや、ブラッシュアップなどを手伝い、新潟県版の通Cのモデルを作っていと考えている。
地域包括ケアシステムというのは、介護や医療の専門職、事業者、ボランティア、行政職員など、多くの人たちが連携することによって、地域の住民を支える仕組みになっている。その連携がうまくいくように、市町村と一緒になって支援していきたい。
(シルバー産業新聞2022年7月10日号)