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広島県 アドバイザー派遣で地域課題分析 市町の高齢化率21%~52%

広島県 アドバイザー派遣で地域課題分析 市町の高齢化率21%~52%

 広島県(284万人、8479平方キロメートル)は今後、一層の高齢化と生産年齢人口(15~64歳)の減少が見込まれている。現在、市町別人口は、広島市(119万人)が全体の42.0%、福山市(46万人)16.3%、呉市(22万人)8.0%、東広島市(19万人)6.8%、尾道市(13万人)4.9%、廿日市市(11万人)4.0%、三原市(9万人)3.4%。2040年には全人口252万人、高齢者人口は86万人(高齢化率34.1%)と予測される。生産年齢人口は15年166万人から40年には136万人と予測。

 写真左から、広島県健康福祉局の藤井浩氏主査、宮地みどり主査、伊東典代課長、村本明美主査。

病院 10万人あたり8.5施設

 保健福祉医療介護の連携を図る老人福祉圏域に一致する二次医療圏域は県内に7つ。15年の病院数は243施設で、人口10万人あたり8.5施設、全国の6.7施設を1.8上回る。一般診療所は2583施設で、人口10万人あたり90.8施設(全国79.5)。同じく、薬局57.0(全国45.9)、歯科診療所54.8(全国54.1)。医療関連施設が全国平均を上回る。

7期の特養整備率は6割台

 介護サービス基盤の確保が大きな課題。40年に85以上人口がピークを迎え、介護サービスの需要がさらに高まる中、供給サイドである事業所・施設は人材不足や施設の老朽化が進行する。

 前期の第7期計画(18~20年)は、人材不足、建設費用の高騰、介護報酬の抑制などにより施設整備は計画を下回った。特養は計画の6割台の整備に止まり、さらに高齢者人口減少地域では施設の老朽化から施設自体の存廃が課題になる。中山間地域では、生産年齢人口が急速に減少、人材不足による運営が困難となる法人が増加している。高齢単独世帯の増加から様々な生活支援ニーズも増大している。

 「社会資源や人口状況の地域差は大きく、市町がそれぞれの課題に向けて主体的に取り組み、県は、広域的な調整や人材の確保・育成等の強化など市町を支援することが必要」と伊東典代医療介護保険課長。

 「アドバイザーを派遣して、市町が地域の実情に応じた持続可能な介護サービスの提供体制のあり方を検討するためのデータ分析、課題整理の支援を行う」と西山浩士主査。21年度までに府中市(高齢化率35.21%)、大崎上島町(46.64%)、竹原市(38.09%)、廿日市市(27.04%)でアドバイザー派遣が実施され、課題解決等への取組みが開始された。

 広島県の給付費(2019年度)は居宅1083億円、地域密着417億円、施設706億円。保険料(加重平均)は、第6期5796円、第7期5961円、第8期5985円(広島市6250円、県の最高・北広島町6803円、最低・大竹市4885円)。保険料徴収率は99.5%(普通徴収93.1%)⇔全国99.1%(普通徴収89.9%)。

全国平均上回る定期巡回・小規模多機能・介護医療院

 広島県で全国平均より利用が多いサービスは通所リハ(居宅受給者のうち同サービス受給者の割合、県18.5% ⇔全国14.5%)、短期入所生活介護(9.6%⇔7.4%)、定期巡回(4.5%⇔3.7%)、グループホーム(28.2% ⇔23.4%)、小規模多機能(21.2%⇔12.5%)、介護医療院(8.0%⇔4.1%)など。

 逆に広島が少ないサービスは訪問介護(県20.2% ⇔全国25.3%)、地域密着型通所介護(31.7% ⇔45.1%)、地域密着型特定施設(0.1%⇔0.9%)など。「地域の実情に応じた介護基盤の整備について検討していく必要がある」と、伊東課長。

 認定率は、県19.4%⇔全国18.9%。県の最高は神石高原町25.1%、最低は熊野町14.9%。認定率は13年3月末の19.8%をピークに、上昇傾向が収まっている。認定者数でみると、15年3月末15.3万人から21年3月末16.2万人となり、6年間で9000人増えた。要支援1、2と要介護1の認定率は、21年3月末で県1.98%⇔全国2.07%。また、2、3割負担者の割合は、広島が計8.9%⇔全国計9.0%とほぼ全国並み。

県の介護職員5.1万人 離職率は15年度をピークに

 県全体の介護職員数は、19年度5万1503人。15年度(4万6129人)=100として、112になる。事業所における介護職員の不足感は、15~19年の5年間で見ると、全国では18年度67.2%がピークで、県では17年度71.0%がピークだった。同じく介護関係の離職率は、全国では16年度16.7%、県では15年度17.6%がピークだった。介護人材の不足感は高止まりの一方、離職率の上昇は止まっている。40年の介護人材需要推計は6.6万人。これに対して、供給推計は5.5万人に止まり、需給ギャップは1.1万人に達する。その一方で、全23市町のうち2市5町で40年度の介護需要推計は19年度を下回っている。

 県では、人材不足に対してサービス向上や業務効率化をめざして介護ロボットやICTの導入に注力している。ICT活用は必須の状況にある。

介護の魅力発信「ふくしかいごネットひろしま」

 介護の魅力発信の「ふくしかいごネットひろしま」では、優良法人の認証を発信。標準的なスタンダード認証(249法人)と、3年間の正規職員の離職率が基準値を下回るなどのプラチナ認証(39法人)がある。25年には、950法人(県内の全法人約1600法人中)の認証をめざす。

 また職場改善をめざした経営層セミナーは860人が参加。学校へのPRや出前講座は約80校で5000人が参加した。「11月11日、介護の日」のイベントには1.12万人(19年度)が参加している。

 住民主体の「通いの場」などでは、「いきいき百歳体操」(おもりを使った筋力運動。ゆっくり声をだして背筋をのばして)、「しゃきしゃき百歳体操」(脳トレと有酸素運動の組み合わせ。例えば足踏みしながら野菜の名前を言う)、「かみかみ百歳体操」(しっかり口を動かせて栄養摂取、口は鍛えられる、発声運動「パタカラ」も)の3つの百歳体操などを行って、健康寿命の延伸を図る。

 県では、2015年度に組織改編を行い、医療と介護の一体的な取組みを進めている。引き続き、保健事業も含め、市町や関係団体との連携を強化していきたいとしている。
 「いきいき百歳体操を始めて変わったこと」①体力がついた②友達ができた③気持ちが明るくなった④出かける機会が増えた⑤おしゃべりが楽しくなった⑥楽に立ち上がれるようになった――など。(17年、神石高原町での参加者100人アンケート結果より)
(シルバー産業新聞2022年8月10日号)

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