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埼玉県 在宅介護従事者をハラスメントから守る

埼玉県 在宅介護従事者をハラスメントから守る

 埼玉県は在宅医療や介護サービスにおける職員の安全を確保するため、昨年9月の補正予算に2億円を計上し、相談窓口の設置や費用補助など介護職員ハラスメント対策推進事業を開始した。

 内容は①訪問介護等における複数人訪問費用の補助②専用相談窓口の設置③安全対策の取組に対する費用の補助④在宅医療、介護等従事者の安全啓発の実施――の4事業。

 専用窓口「埼玉県介護・障害福祉事業所等暴力・ハラスメント相談センター」は、昨年12月に開設。対象者は県内の介護や障害福祉の事業所等に勤務する職員で、利用者・利用者家族からのハラスメント等への対応法について、電話もしくはウェブで相談できる。

 事業開始の12月から1月18日までの相談件数は約20件。幅広いサービス事業所からの相談が寄せられ、そのほとんどが精神的暴力に関する相談だという。

 高齢者福祉課介護人材担当の龍前航一郎主幹は「相談者はすでに地域包括支援センターなどにも助けを求めていることが多い。地域連携を強めた上で、悩みを抱える介護職員を守っていかなければならない」と強調する。

利用者家族による訪問医殺害事件受け、職員守る事業強化

 今回の事業実施には、昨年1月に埼玉県ふじみ野市で、患者家族が担当医である訪問診療医1人に散弾銃を発砲し死亡させたほか、6人の在宅医療関係者が標的となった立てこもり発砲事件が背景にある。

 「二度とこのような悲劇を起こさないためにも在宅医療・介護の現場の職員を守る事業を強化した」(龍前主幹)。
同県は相談窓口の他、訪問系サービスが安全対策を講じる際の費用を補助。通話録音装置等の購入経費と、警備会社による屋外用セキュリティサービスの導入経費が対象となる。 

 このほか、訪問介護員の安全を確保するため、複数人での訪問介護・看護を行った際、利用者やその家族等の同意を得られず介護報酬が算定できない場合の費用の9割を補助する。

ハラスメント「被害ある」5割

 事件を受け同県では、昨年3月から7月にかけて従業員の安全対策に関する研修を実施。在宅医療・介護従事者への暴力・ハラスメント対策や、警察への相談方法などについて啓発した。

 また、この際集計したアンケートでは、在宅医療・介護従事者の50.7%が「患者・利用者・家族などから暴力・ハラスメントを受けたことがある」と回答した(有効回答数665人)。

 龍前主幹は「助けを求めている人、ハラスメントを受けている自覚がない人も含めて全ての介護従事者が安全に働ける環境を作りたい」と話した。

 埼玉県介護・障害福祉事業所等暴力・ハラスメント相談センターへの連絡はTEL048・783・5263、またはQRまで。
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(シルバー産業新聞2023年2月10日号)

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