ニュース

山梨県 全国初のヤングケアラー支援計画

山梨県 全国初のヤングケアラー支援計画

 山梨県は2022年3月「やまなし子ども条例」の成立を受け、同年12月に全国で初めてヤングケアラー(以下「ケアラー」)に特化した支援計画を策定した。計画期間は22~24年度。①ケアラーへの理解の促進②支援する人材育成・研修体制の充実③ケアラー本人への支援の充実④ケアラー・家族を支える福祉サービスの充実や支援体制の構築・強化――を施策に掲げる。

 小学生・中学生・高校生を対象に行ったケアラーの自己認識調査では、「自身がヤングケアラーにあてはまる」と回答した割合は22年度で0.8%。「わからない」15.7%、「該当しない」82.3%だった。「わからない」と回答した中には、病気や障がいのある家族のこと、自分のために使える時間が少ないことなどで悩んでいる子も一定程度。同県ではこの部分も支援対象として着目する。

 子育て支援局子ども福祉課の芳賀主査は「2~3月に元ケアラーが学校で出前授業を行ったが、その後もケアラーに当てはまるかが『わからない』や、『答えたくない』とする子どもたちもいた」と説明。潜在的なケアラーに周囲が気づくしくみが必要だと話す。

 施策②の人材育成では「ヤングケアラー・コーディネーター」を養成。ケアラーの相談・支援、適切なサービス等へのつなぎ役として期待される。

 昨年度は10人を養成。基礎資格の有無は問わず、各市町村で推薦された人が全6回の講座(1回2時間程度)を受ける。講座には演習や事例検討も含まれる。「学校や地域、介護・福祉サービス事業所との連携も大切な役割の一つ」と芳賀氏。全市町村での配置を働きかけているところだ。24年度時点で60人の養成を目標としている。

 芳賀氏は、ケアラーを地域全体で支援する上で介護・福祉事業者、特に在宅訪問するケアマネジャーやヘルパーの協力は不可欠だと語る。「とはいえ、限られた時間でケアラーの状況把握まで深く入りこむのは難しい。期待するのは『ケアラーかもしれない』という気づきと、コーディネーターへのつなぎ」。今年度も各専門職に求められる役割について、昨年度に引き続き、職種別研修・多職種連携研修を通じて伝えていきたいと述べる。
芳賀栄彦主査

芳賀栄彦主査

SNSで身近な相談促す

 施策①の「理解の促進」では、21年度に啓発動画「山梨コネクトヤングケアラー」を公開。子どもたちがケアラーを理解し、相談場所を知るための啓発カードも作成し、県内全小中学校や子ども食堂などで配布している。

 同県調査によると、ケアラーを「聞いたこともあり内容も知っている」と回答する子どもの割合は、21年度15.3%→22年度55.4%と約40ポイント上昇。「みんなに理解してもらうことがまず大事。本格的に取組んで3年度目だが、機運が高まってきている実感はある」(芳賀氏)。

 相談窓口は対面に加え、24時間・365日の電話対応も。さらにLINEアプリに相談窓口を開設し、子どもがより相談しやすい環境を整えている。

山梨県 ヤングケアラー支援の推進
https://www.pref.yamanashi.jp/kodomo-fukushi/young-carer.html

(シルバー産業新聞2023年6月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル