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災害用トイレをインテリアに 被災者が考案

災害用トイレをインテリアに 被災者が考案

 商品プロモーション、イベント企画等を手がけるドリームホールディングス(小濱洋一社長)は9月、関東大震災100年の節目に災害時の簡易トイレキットを収納したアートピース「sonae 備絵」を発売した。平時はリビングや共用スペース等のインテリアに。防災意識を高めることも期待できる。災害時・断水時にはフレームを外せば中身のキットをすぐに取り出し利用できる。

 前面のアートは、同プロジェクトに賛同したアーティスト、イラストレーターが描き下ろした16作品(2023年12月現在)。「復興」「再生」をイメージした3作品が含まれる。

 フレームの色は3種類から選べる。外寸は縦330mm×横330mm×奥行58mm。壁掛けのほか、卓上でも自立する。

 また、コンパクトに収納した簡易トイレキットは①凝固剤②畜便袋③ウェットティッシュ――が30セット。1人につき1日5回、約6日分の使用を想定する。便器に畜便袋を敷き、排泄後に凝固剤を入れて袋を結ぶ。便の場合はあらかじめ水をはっておく。凝固剤は特許取得済。

 価格は3万円~(税抜)。同社サイト(https://sonae-art.com/)より販売。 売上の一部を使い、全国の幼稚園・保育園へ同商品を寄贈する予定。
植物を自分の成長・発展にイメージした作品「UP」(Aki Ishibashi)

植物を自分の成長・発展にイメージした作品「UP」(Aki Ishibashi)

被災で直面したトイレ問題

 「sonae 備絵」を企画したのは同社ドリーム事業部の藤村彩央里さん(写真右)と石井琴子さん。ともに被災の経験から、防災への意識と備えの大切さを語る。

 熊本県益城町出身の藤村さんは16年4月の熊本地震で被災。車中泊、避難所生活では、排泄物で溢れたトイレを目の当たりにした。「自分自身、被災するまでトイレへの意識が低かった」と藤村さん。普段から防災用品をより身近に感じてもらいたいとの思いが、同商品のアイデアにつながったという。

 石井さんは17年7月の九州北部豪雨で特に降雨量が多かった福岡県朝倉市の出身。実家の1階は土木流ですべて埋まり、家族全員で1カ月の避難所生活を送った。「当時、自宅には缶詰があった程度。防災用品もほとんど置いていませんでした。災害に遭う前から、備えの大切さを意識してもらえるよう、商品を通じて発信していきたい」

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