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8月から費用負担見直し 応能負担強まる

8月から費用負担見直し 応能負担強まる

 2015年8月1日から介護保険法等の一部改正により、利用者の費用負担の見直しが施行される。①所得160万円以上2割負担②現役並み所得者の高額介護サービス費負担上限4万4,400円③施設の居住費・食費補てん(補足給付)に単身1,000万円、夫婦2,000万円の資産要件④特養相部屋居住費市町村民税課税者は負担1日840円――の4項目。厚労省は、先の自治体への通知やリーフレット類の作成に続き、6月22日に日本介護支援専門員協会に利用者との相談や申請手続きの支援協力を依頼する文書を老健局長名で発出した。

160万円以上の所得者は2割負担に

 65歳以上の人(第1号被保険者)で、合計所得金額が160万円以上の人(年金収入のみの場合、単身者で年収280万円以上、2人以上世帯で346万円以上)の利用料は、1割負担から2割負担に引き上げられる。

 8月1日以降のサービス利用から適用される。前年の所得が確定する6~7月に要介護認定者を対象に、各市区町村から、1割か2割かの負担割合が記された「負担割合証」が交付される。国は利用者に対し、介護サービス利用時に、介護保険被保険者証と2枚一緒にサービス事業者や施設に提出することを求めている。

高額介護サービス費の負担上限4万4400円に引き上げ

高額介護サービス費の負担限度額の上限額が、現役並み所得相当の人がいる世帯では月々3万7200円から4万4400円に引き上げられる。同一世帯内に課税所得145万円以上の65歳以上の人がいる場合が対象となる。

 ただし、世帯内に65歳以上の人が1人の場合、その人の収入が383万円未満、2人以上いる場合、それらの人の収入合計が520万円未満であれば、あらかじめ市区町村に申請すれば、負担上限額は3万7,200円となる。8月1日以降に利用したサービスの負担分から適用。

補足給付に単身者1000万円、夫婦2000万円の資産要件追加

 介護保険3施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)やショートステイを利用する人の食費・部屋代については、低所得者は負担軽減をしているが、今回在宅で暮らす人や保険料を負担する人との公平性をさらに高めるため、一定以上の預貯金等の資産を持つ人等は自身で負担するよう基準を見直した。

 配偶者が市区町村民税を課税されている場合(世帯が同じかどうかは問わない)や預貯金等の金額が配偶者のいる人で合計2000万円、配偶者のいない人で1000万円を超える場合は対象外となる。旧措置入所者については資産要件の追加はない。所得を勘案する配偶者の範囲については、事実上離婚状態にある場合や長期の別居の場合も配偶者の所得を勘案するが、DV防止法における暴力のあった場合や行方不明の場合などに準ずる特段の事情がある場合は、配偶者の所得は勘案しない。

 預貯金等には、資産性があり、換金性が高く、価格評価が容易なものが対象となる。預貯金(普通・定期)、有価証券(株式・国債・地方債・社債など)、金・銀(積立購入を含む)や、購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属、投資信託、タンス預金(現金)が含まれるが、生命保険、自動車、腕時計、宝石など時価評価額の把握が難しい貴金属や絵画・骨董品、家財などは含まれない。



 また、負債(借入金・住宅ローンなど)は、預貯金等から差し引いて計算する(借用証書などで確認)。預貯金等及び配偶者の所得については、市区町村の窓口への申請が必要で、「介護保険負担限度額認定申請書」とともに、通帳の写し等(申請日の直近2カ月以内の写し等)価格評価を確認できる書類と保険者が預貯金等に係る金融機関調査を行うための同意書の添付(必ず押印が必要)が求められる(家族や施設職員等本人以外の申請代行は可能)。

 預貯金の申告を拒んだり、申告はするが通帳の写し等の添付を拒んだり、同意書の添付を拒む申請者については、適正な審査を行うことができず、他の申請者との公平性を考慮すれば不支給とせざるを得ず、不支給との決定にいたらないよう申請者に対して十分な趣旨説明が必要である。

 市区町村(保険者)は必要に応じて銀行等に支給申請者・不正受給が疑われる者・申請者等の配偶者(内縁関係のものも含む)についての口座情報の照会を行い、不正に負担軽減を受けたことが判明すると、市町村の判断により、それまでに受けた負担軽減額に加え、最大2倍の加算金(負担軽減額と併せ最大3倍の額)の納付を求められることがある。また、特に悪質な場合は、保険者の判断で刑事罰を問うことも可能としている。なお、利用負担軽減のない第4段階の人でも、次の要件すべてに該当する人は、市町村に申請することで、第3段階の負担軽減を受けることができる。

・2人以上の世帯の人
・世帯の年間収入から施設の利用者負担の見込み額を除いた額が80万円以下
・世帯の現金、預貯金等の 合計が450万円以下
・世帯が居住用の家屋、生活のための資産以外に資産を有していない
・介護保険料を滞納していない

特養の相部屋入所者室料負担840円に

 特別養護老人ホームやショートステイの相部屋(多床室)の入所者で、食費・部屋代の負担軽減を受けていない人のうち、市区町村民税課税世帯の人は室料相当を負担する。

 これまで、相部屋の部屋代のうち、光熱水費については、入所者負担で、室料相当の額については、介護保険からの給付の対象となっていたが、自宅で暮らす人や個室入所者は自身で室料相当も含めた部屋代を負担していることから、相部屋の場合にも部屋代の全体を入所者の自己負担とすることを原則とするもの。

 低所得の人の相部屋の居住費の基準となる額(基準費用額)は、1日370円(2015年4月時点)から840円に変更となる。具体的な部屋代の負担額については、施設と入所者等の契約事項となるので、個別に施設への確認が必要。8月1日以降の部屋代負担が見直しの対象となる。

(シルバー産業新聞2015年7月10日号)

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