インタビュー・座談会

ふくせん 期待される役割は確実に増している

ふくせん 期待される役割は確実に増している

 今般の改定で、退院・退所時のカンファレンスに福祉用具専門相談員が参加することが明記された。制度創設時と比べ、我々に期待される役割は確実に増してきている。

 一方で、今回の改定の議論では、財務省から歩行器や手すりなどの比較的廉価な福祉用具について、貸与から販売に切り替えることの検討が提案され、介護給付費分科会の審議報告で、「今後検討を進める」とされた。貸与によって、適時・適切な福祉用具が過不足なく提供されることで、ご利用者の生活が維持されていることを知る者としては、受け入れがたい提案だと思っている。確かに財政だけの側面で見れば、財務省が言うように貸与が販売に比べて割高なのはその通りかもしれない。ただ、我々は単に「物」を届けているのではなく、職能として「効果・効能」を届けている事実を履き違えないで欲しい。そのために、日々、質を高める努力をしてきているし、ご利用者からその対価をいただいている。

 また、貸与の場合は、モニタリングと併せて、安全・安心に福祉用具が使えるよう定期的な同一商品の入れ替えやメンテナンスも行っている。ご利用者の状況に合わせて、福祉用具の機能が最大限発揮されるよう責任を持って仕事をしているのである。今年度の老健調査研究事業では、こうした実態を調べて、貸与の特性を明らかにしたいと考えている。

 介護保険では科学的介護を推進していくために、4月からLIFEの本格運用が始まっている。当然ながら、福祉用具専門相談員の我々も科学的介護と向き合っていかなければならない。

 そのための第一歩として、昨年度の老健調査研究事業では、福祉用具サービス計画書に記載されている項目やその内容に関するデータ収集・分析を行い、質の評価を行うための調査研究を行った。その結果、多くの事業所で「ふくせん様式」が使われている実態が分かった一方で、自由記述が主となっている現行の様式ではデータベースの構築が難しく、客観的な質の評価が困難であることが明らかになった。こうした結果を踏まえ、今後、記載内容のコード化なども検討し、データの収集・分析を可能にしていきたいと考えている。

 また、2年前より「福祉用具専門相談員研究大会」を日本福祉用具供給協会との共催で開催している。こうした取組みも科学的介護を進めていく上で大きな役割を果たしていくはずだ。来年の「第3回福祉用具専門相談員研究大会」は6月16日に東京・ニッショーホールで予定している。テーマは、「福祉用具の未来につながる専門性の追求~PDCAサイクルの推進は福祉用具の適合が鍵~」とした。この中でLIFEに取組む事例なども発表されるのではないかと期待している。

 昨年度はコロナ禍により、協会としての活動も大きく制限を受けた。そうした中でも会員メリットが享受できるように、オンラインによるサービスの充実に注力してきた。

 2月には、YouTube「ふくせんチャンネル」を開設し、新型コロナウイルスの影響で研修会や展示会の開催が難しい中、福祉用具に関する情報を届ける仕組みを構築したほか、オンライン研修が受けられる環境も整えた。今年度はすでに全国17カ所、23回の開催実績があり、ブロッ活動において必要不可欠な中核事業として定着している。

 また、我々が力を注いでいるのが、資格取得後3年以上の実務経験者を対象にした「更新研修」だ。感染症や災害への対応力強化、LIFEの本格運用、最先端テクノロジーを搭載した福祉用具の登場など、介護保険制度の中で適切に仕事をしていくためには、少なくとも3年に1度は最新の知識をアップデートする場が必要になる。そこをカバーするのが「更新研修」だ。現在、この「更新研修」をオンラインで受けられるように準備を進めている。また、更新研修の制度化についても、引き続き国に対して働きかけていく。

(シルバー産業新聞2021年10月10日号)

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