インタビュー・座談会
スポーツ庁 鈴木大地長官インタビュー
年を重ねても、スポーツで生き活きと健康な生活を。そんなシニアの象徴とも言える「ねんりんピック」の富山大会が11月3日に幕を開ける。全国から1万人の選手が集結、しのぎを削る。勝敗を決めるだけではなく、競技を通じた交流も参加の大きなモチベーションに。2015年山口大会より共催のスポーツ庁では、楽しさや仲間づくりにつながるスポーツの普及に注力する。鈴木大地長官にスポーツの魅力と続けるコツを聞いた。
楽しみ、 歩くことが運動意欲に
――スポーツが生活全体に与える効果とは。
介護を必要としない期間、つまり「健康寿命」の延伸に現在国を挙げて取組んでいます。運動を続けることは、その最重要課題だと言えます。運動をしないと大腿部や臀部の筋肉が落ち、足が上がらなくなりますので、つまずいて転倒、骨折、そして介護状態に陥ってしまうことがあります。
スポーツ庁ではこれまでも、高齢者に焦点を当てた健康・体力づくり事業などは行ってきましたが、「寝たきりにならない」や医療費削減が主な目的でした。結果として重要な指標ですが、それに加えて楽しさや、地域での仲間づくりといった、心を豊かにする意味においてスポーツを続ける楽しさを伝えていきたいと考えています。高齢になると、病院がコミュニティの場になりがちですが、スポーツをコミュニティの場に転換していくことが理想です。
例えば、男性の健康寿命が73.21歳で全国トップ(16年厚生労働省調査)の山梨県では「無尽」と呼ばれる地域の互助会があります。月1回程度、特定のメンバーが食事会などで集まり、食事代とは別に積立てたお金を会の活動に充てています。定期的に参加するだけで生活にハリを感じる人も多いと聞きます。
そういった意味で、他の人と競い合ったり、チームで機能するスポーツは、定期的な集まりとしてはうってつけです。ねんりんピックに出場される人たちは、その辺りの魅力を日々体感されているのではないでしょうか。
介護を必要としない期間、つまり「健康寿命」の延伸に現在国を挙げて取組んでいます。運動を続けることは、その最重要課題だと言えます。運動をしないと大腿部や臀部の筋肉が落ち、足が上がらなくなりますので、つまずいて転倒、骨折、そして介護状態に陥ってしまうことがあります。
スポーツ庁ではこれまでも、高齢者に焦点を当てた健康・体力づくり事業などは行ってきましたが、「寝たきりにならない」や医療費削減が主な目的でした。結果として重要な指標ですが、それに加えて楽しさや、地域での仲間づくりといった、心を豊かにする意味においてスポーツを続ける楽しさを伝えていきたいと考えています。高齢になると、病院がコミュニティの場になりがちですが、スポーツをコミュニティの場に転換していくことが理想です。
例えば、男性の健康寿命が73.21歳で全国トップ(16年厚生労働省調査)の山梨県では「無尽」と呼ばれる地域の互助会があります。月1回程度、特定のメンバーが食事会などで集まり、食事代とは別に積立てたお金を会の活動に充てています。定期的に参加するだけで生活にハリを感じる人も多いと聞きます。
そういった意味で、他の人と競い合ったり、チームで機能するスポーツは、定期的な集まりとしてはうってつけです。ねんりんピックに出場される人たちは、その辺りの魅力を日々体感されているのではないでしょうか。
――スポーツ未経験者でも、運動を長く続けることができますか?
今までほとんど体を動かす習慣がないと、急にスポーツと言われても抵抗があるかと思います。そんな人は、まずは「歩く」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
例えば、買い物に行くのを車から徒歩に変えてみる、階段とエスカレーターがある時は階段を選ぶ、といったふうに普段の生活を大きく変える必要がなく、身近で手軽にはじめられます。車社会の地域こそ取り組むべきかと思います。
ちなみに、私も今の仕事に就いて車移動が多くなったので、数カ月で「これはまずい」と思い、それからは階段を使って登庁することにしました。毎日、職場の13階まで歩くことを日課にしています。たまにジョギングをするのですが、やっぱり筋力を保っている感じがして、違和感なく走れます。
何より、歩くことにも楽しさの要素が欠かせません。「美味しいものを食べに行く」や「歴史の名所を訪ねる」などの目的を果たす手段として、歩くことを選択する。スポーツ庁ではこうしたコンセプトで昨年度、「FUN+WALK」プロジェクトを立ち上げました。
歩くことを通じたさまざまなライフスタイルを啓発し、国民全体の健康増進をはかるものです。例えばねんりんピック開催の富山では、通勤時に気軽にウォーキングに取り組めるよう、スニーカーなど歩きやすい靴や服装で通勤・就業する「ウォークビズとやま県民運動」を展開しています。
身体の健康だけを求めるのではなく、趣味やコミュニケーションの手段として、歩くことやスポーツを日常生活に溶け込ませ、習慣化してほしいと思います。
今までほとんど体を動かす習慣がないと、急にスポーツと言われても抵抗があるかと思います。そんな人は、まずは「歩く」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
例えば、買い物に行くのを車から徒歩に変えてみる、階段とエスカレーターがある時は階段を選ぶ、といったふうに普段の生活を大きく変える必要がなく、身近で手軽にはじめられます。車社会の地域こそ取り組むべきかと思います。
ちなみに、私も今の仕事に就いて車移動が多くなったので、数カ月で「これはまずい」と思い、それからは階段を使って登庁することにしました。毎日、職場の13階まで歩くことを日課にしています。たまにジョギングをするのですが、やっぱり筋力を保っている感じがして、違和感なく走れます。
何より、歩くことにも楽しさの要素が欠かせません。「美味しいものを食べに行く」や「歴史の名所を訪ねる」などの目的を果たす手段として、歩くことを選択する。スポーツ庁ではこうしたコンセプトで昨年度、「FUN+WALK」プロジェクトを立ち上げました。
歩くことを通じたさまざまなライフスタイルを啓発し、国民全体の健康増進をはかるものです。例えばねんりんピック開催の富山では、通勤時に気軽にウォーキングに取り組めるよう、スニーカーなど歩きやすい靴や服装で通勤・就業する「ウォークビズとやま県民運動」を展開しています。
身体の健康だけを求めるのではなく、趣味やコミュニケーションの手段として、歩くことやスポーツを日常生活に溶け込ませ、習慣化してほしいと思います。
(すずき・だいち)
1988年ソウルオリンピック100m背泳ぎ金メダリスト。医学博士。2006年順天堂大学スポーツ健康科学部准教授、13年同大学同学部教授を経て、15年10月スポーツ庁長官に就任。公益財団法人日本オリンピック委員会理事、公益財団法人日本水泳連盟会長など歴任
1988年ソウルオリンピック100m背泳ぎ金メダリスト。医学博士。2006年順天堂大学スポーツ健康科学部准教授、13年同大学同学部教授を経て、15年10月スポーツ庁長官に就任。公益財団法人日本オリンピック委員会理事、公益財団法人日本水泳連盟会長など歴任
(ねんりんピック新聞2018in富山)