インタビュー

福祉用具の安全な利用を推進したい 日本福祉用具供給協会 小野木孝二理事長

福祉用具の安全な利用を推進したい 日本福祉用具供給協会 小野木孝二理事長

 コロナ禍で1年延期の第2回福祉用具専門相談員研究大会がいよいよ、6月21日に東京・一ツ橋の日本教育会館で会場とオンラインの両方で開催する。福祉用具ニーズのますますの広がりの中で、福祉用具専門相談員の専門性の向上、多職種との情報ネットワークの構築、科学的エビデンスの構築を進める大会をめざす。1年延びたことで、感染対策など、福祉用具専門相談員のコロナ対応もテーマに加えた。OTやPT、ケアマネジャーら関係職種の人たちにも参考になる研究大会になればと願っている。特別講演は蒲原基道元厚生労働事務次官を予定する。老健局長も歴任し、今後の福祉用具レンタルの在り方に言及していただけるだろう。

 オンラインは全国どこからでも参加してもらえる。専用回線を使って視聴トラブルなどがないようにした。参加登録した人にパスワードを渡して見逃し配信ができるようにするほか、後日、当日の事例集を送付する。オンラインは、アフターコロナになっても有用だ。

5つのテーマ

 研究大会は5テーマ。日々の取組の成功事例が集った。「福祉用具利用効果の追求」(北島栄二座長)9演題、「地域、多職種連携の取組」(小島操座長)7演題、「事業所としての取組」(澤田篤・水越良行座長)3演題と、第2回からの新テーマとして、「経験3年未満相談員の福祉用具導入事例」(同上)4演題、「新型コロナウイルス感染症に対応する取組」(加島守座長)の発表があり、座長が講評する。福祉用具の有効活用事例や人材育成など、現場での経験を踏まえた成功事例が集まった。ぜひ多くの福祉用具専門相談員に参加していただき、現場の経験を共有する学びの場としてほしい。

経験3年までの導入事例

 独居のALSの利用者を介護サービスとインフォーマルサービスを使って支援した、特養入所者の80代女性がリフトを導入して在宅復帰した、ノルディックポールの活用で脳梗塞後遺症の利用者の歩行姿勢を安定させたなど、これらは経験3年未満の発表事例。

 ケアマネジャーの信頼も高まる。福祉用具専門相談員にとってケアマネジャーの信頼を得ることは最も大切なことであり、新人にとっても研究大会がその足がかりになる。

不断の日々の研修

 21年改定は、福祉用具専門相談員の退院時カンファレンスの参加や入浴の環境整備など専門職としてスキルアップが求められる改定になった。関連する演題が多いので注目している。福祉用具専門相談員はふだんから自己研鑽に取り組む努力義務があり、日本福祉用具供給協会やふくせんでは様々な研修を実施している。多職種連携を進めるための必要な知識の修得や、住宅改修を担う幅広いスキルを身につける必要がある。

手前にある住宅改修

 特に、療養環境を一人ひとりの心身状況にあわせて生活しやすくする住宅改修は、福祉用具レンタルの手前にある重要なサービスだ。しかし、専門職能団体がなく、福祉用具業界がそこを担っている。福祉用具がしっかり使われるために、住宅改修が大切なことは言うまでもない。福祉用具専門相談員は、住環境整備についても提案力を高めてもらいたい。研究大会でそうした発表もあるだろう。

SDGsと福祉用具

 持続可能な社会をめざすSDGsの潮流の中で、福祉用具レンタルはこれを先取りしている。弊社トーカイで、レンタルによって年間約5000トンの廃棄物削減につながっている試算をした。販売とレンタルとによる廃棄物量の差を、レンタルの平均利用月数(たとえば13~18カ月)と、レンタル耐用年数(たとえば5~7年間)との差で算出した。当社1社の数字だ。レンタルの拡大によって、SDGsへの貢献度はさらに高まると思う。

次期改定へ課題に向き合う

 改定論議の中で今後の課題として、福祉用具の安全性の確保、貸与と販売の種目の在り方が上げられた。

 福祉用具の安全性の確保は、現状では福祉用具専門相談員個々の力量に依存している。そこで、安全に関わる事例やリスクに関する情報を、すべての専門相談員が共有できるようにしたい。今年度の国の老健事業では、日福協において、「福祉用具の利用安全の推進のための調査研究」に応募している。その成果も踏まえて、福祉用具の安全な利用を推進していきたい。

 福祉用具レンタル制度は、利用者の心身状況や利用環境の変化に柔軟に対応できる。購入にしてしまうと心身状況の変化に対応できない用具を使い続け、自立支援になるどころか、重度化のおそれがある。財政面でも、軽度者がレンタルと購入をした場合、それぞれの費用や利用者負担の違いをはっきりさせ、レンタル制度のメリットを示していきたい。

LIFEでエビデンス示す

 国の科学的介護情報システム「LIFE」への対応の準備を進めている。福祉用具レンタルは加算がつかないが、国が求める事例を集める。福祉用具の有用性をエビデンスをもって示していきたい。特に軽度者の福祉用具の有効性を明らかにできればと思う。

川柳コンテスト応募5千件超

 本研究大会と並んで、福祉用具の普及・向上をめざす「10月1日は福祉用具の日」の取組があり、全国各地でイベントが開催されている。「福祉用具の日」推進協議会では、20周年を迎えたのを記念して、「福祉用具川柳コンテスト」を実施した。3月末締めで、応募総数は5715件(有効応募5572件)に及んだ。今後審査し、最優秀賞には10万円を進呈する。発表・式典は11月11日「介護の日」。国際福祉機器展(HCR)2021の2日目にあたる。

 これだけ多くの応募があったのは、福祉用具がより身近な存在になっている証左だと思う。どのような川柳が寄せられたのか、楽しみにしている。

(シルバー産業新聞2021年6月10日号)

関連する記事