インタビュー

福祉用具専門相談員の役割を見える化・発信する研究大会

福祉用具専門相談員の役割を見える化・発信する研究大会

厚生労働省・福祉用具住宅改修指導官 長倉寿子氏

一例一例の積み上げが職能を高める

 まずは「第2回福祉用具専門相談員研究大会」開催を心よりお祝い申し上げる。昨年はコロナ禍で残念ながら延期されたが、本年度は、「新型コロナウイルス感染症に対応する取り組み」のテーマでも多くの発表が予定されていて、1年以上続くこの困難の中でも利用者を支えるために積み上げてきた経験や実践が報告されるのだと期待している。一昨年に開催された第1回大会も会場参加させていただいたが、待ちに待った福祉用具専門相談員の研究大会ということで大いに盛り上がったことが思い出される。それぞれの発表に関心を持って聞きながら、こうした一例一例の積み上げが、福祉用具専門相談員の職能を高め、さらに利用者や家族を支える質の向上に繋がっていくのだと感じた。

 今回のプログラム集をみると、個別事例の発表に限らず、多数を対象とした調査報告があり、さらに内容のバリエーションが広がっている印象を受けた。こうしたデータの蓄積や共有、そして比較、分析といったプロセスが専門性を引き上げるために非常に有用と考える。今後は、積み上げた実績から利用者の生活機能や環境など、総合的な視点から仮説に基づき検証するなどの報告も増えてくると、制度に対する提言などさらに福祉用具専門相談員の役割が明確になるのではないだろうか。

積極的なカンファレンス参加を

 「地域、多職種連携の取り組み」が発表テーマの一つに設定されていて、その発表にも注目している。まさしく2021年度介護報酬改定では居宅介護支援の退院・退所加算の要件として、在宅で福祉用具貸与の利用が見込まれる場合に、必要に応じて福祉用具専門相談員などがカンファレンスに参加することが明記された。

 これは退院時の環境から在宅生活で使用される福祉用具を含む環境整備が欠かせないからこそ、その提供を担う福祉用具専門相談員が参画することが重要ということである。カンファレンスに参加することで、多職種から学ぶこともあるだろうし、福祉用具専門相談員の視点から情報発信や提案できる機会にもなるだろう。ぜひ積極的に参加していただきたい。

 さらに多職種の連携を深めるためには「共通言語」を持つことが鍵となる。アセスメントのための代表的な指標や評価スケールも理解し、活用できること。このような共通言語の引き出しが多いほど他職種との意思疎通は円滑になり、利用者の変化もより客観的に把握できるだろう。

 また、今回の改正は、医療機関で勤務するセラピストにとっても、退院後の生活や在宅の環境をこれまで以上に意識し、生活機能の向上といった視点から医療と介護の連携を強化するきっかけになるとよいと考える。このようなことから、今後、ケアマネジャーなどの他職種との共同発表や福祉用具専門相談員が他の学会等で発表する機会に繋がること、他職種の本研究大会への参加者が増えることも期待している。

 福祉用具専門相談員に限った話ではないが、「自分たちが実践していること」を「見える化」して発信することは、特にこの介護分野では重要と考える。普段の業務における貸与計画書や訪問時の記録、モニタリングシートなどで「実際に対応した内容」を客観的に明文化することが、福祉用具専門相談員の役割や職能を発信する手段の一歩となる。この研究大会の開催や参加もまさしくその役割を担っているのだと考える。「福祉用具活用の更なる深化」「根拠に基づいた福祉用具の活用」を推進する、この第2回福祉用具専門相談員研究大会が盛会となるよう祈念している。(談)

(シルバー産業新聞2021年6月10日号)

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