小濱道博の攻略!2015年介護報酬改定

小濱道博の攻略!2015年介護報酬改定(通所介護)

 小濱介護経営事務所代表の小濱道博氏によるケアニュースオリジナル連載(毎月15日更新予定)が今回よりスタートいたします。2015年制度改定をサービス別に経営の視点から解説いただきます。初回のテーマは「通所介護」です。

Ⅰ 経営面からみた改定のポイント

1.基本報酬

 今回の報酬改定において、通所介護の基本報酬は一律5%前後の減額です。なかでも、小規模型報酬では改定前は通常規模型報酬に比して17%増額されていた経費相当分が、5%圧縮されて12%増額となった事で基本報酬の減額と併せて約9%の減額となりました。このため、もともとスケールメリットが効かない小規模型の経営は、より一層厳しいものとなりました。

2.送迎減算

 従来の同一建物減算が高齢者住宅などから通う利用者に適用されることに変更はありません。今回の改定で新たに、対象が高齢者住宅、戸建てに関わらず、事業所が送迎しない場合の送迎減算が創設されました。同一建物減算と送迎減算の双方が対象となるケースについては同一建物減算が優先されて送迎減算の適用はありません。但し、要支援者には送迎減算がありませんので、従来通り同一建物減算が適用となります。対象事業所にとって減収の影響は大きく、業務の効率化が急務となります。

3.個別機能訓練加算

 個別機能訓練加算の算定要件に3ヶ月ごとの利用者の家庭訪問が必須となりました。新規で個別機能訓練加算を算定する場合、計画策定前に利用者の居宅を訪問して、興味関心チェックシートと居宅訪問チェックシートを活用したアセスメントが必要となりました。3月27日の通知「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について」において、個別機能訓練加算ⅠとⅡが明確に区分され、加算Ⅰはグループ訓練で目標は身体機能の向上。加算Ⅱは個別訓練で目標はADLの維持改善であることが明確になりました。個別機能訓練計画書や通所介護計画書の様式例(ひな形)が提示され、事業所が使用している計画書と項目に相違がある場合は、今後の実地指導で指導項目となる可能性があります。

4.認知症加算と中重度者ケア体制加算

 認知症加算は認知症の利用者のみ算定。中重度者ケア体制加算はすべての利用者への算定となります。看介護職員を規程より2名多く配置するなど算定のハードルは高く、収支計算の部分では収益増に貢献する加算ではありません。しかし、今後は認知症や重度者への対応は避けては通れない経営課題で有るため、加算算定の有無は必要なポイントです。その取り組みにおいて、これらの加算で経費の一部を補填するという考えは正しい判断と言えます。

5.延長加算

 延長加算が5時間まで可能となりました。これにより、最長で14時間のお預かりサービスの提供が可能となり、規制が強化されたお泊まりサービスに変わる新たなレスパイト型サービスの誕生が期待されます。

6.小規模デイの地域密着型への移行と介護報酬への影響

 2016年4月より届け出定員が18人以下の事業所は、通所介護の許認可から、市町村の許認可である地域密着型通所介護に移行されます。同時に通所介護の基本報酬体系から小規模型が消滅し、小規模型の報酬は地域密着型通所介護の報酬となります。小規模型と通常規模型の基本報酬を比較した場合、小規模型は各区分において12%高い設定となっています。地域密着型通所介護の報酬では従来の一ヶ月の平均利用者数という算定基準がないため、平均利用者数が300人超の事業者でも定員が18人以下であれば、現在の小規模型の報酬を算定できることとなります。【図1】定員が30人前後で一日の利用者数が18人以下の事業所はあえて地域密着型通所介護の移行を検討することも必要です。

Ⅱ 収益維持・改善のため、事業者が取るべき対応(新加算の算定など)

 小規模型と通常規模型とは対応が異なります。小規模型は加算による収入増と算定要件での人件費増を勘案した収支計算が重要です。多くの場合、人件費が収入を上回ります。そのため加算に頼る事が出来ず、経費の見直し、特に職員配置の見直しによる業務の効率化が主な対策となります。通常規模以上のサテライト型への移行を選択した場合、許認可は通所介護に一本化され、介護報酬は通常規模型となり12%の減収となりますのでご注意下さい。

 通常規模型以上は、もともとスケールメリットにより収支差率は高く【図2】、加算算定による収支改善も可能です。5%ダウンは通常の場合、その影響は最小限と言えます。今後は、スケールメリットを活かした事業規模の拡大や新規サービスへの参入による多角経営化による経営のリスク分散を図るべきです。また、デイケアの社会参加支援加算算定などによるデイケア終了者の受け皿として、医療系サービスとの連携も視野に入れるべきです。

Ⅲ 次期改定の方向性

 2018年の介護報酬改定は6年に一度の介護報酬、診療報酬の同時改定となります。すでに3年後を見据えた議論はスタートしています。社会保障審議会給付費分科会での今後の課題として、機能訓練とリハビリテーションの機能分類の見直しとその評価方法。訪問・通所サービスの一体的提供や総合的評価の検討が示されています。また、提供サービスの質の評価や中重度高齢者・認知症高齢者への対応が加算に反映される改定となるでしょう。3年後を見据えた対策としては、より専門的な結果の出る機能訓練の提供と、利用者増を基盤とした事業規模の拡大策が重要となります。自分の事業所の強みを活かした経営を心がけて下さい。

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