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東京都済生会向島病院 冷凍弁当「朝めしまえ」活用 患者・スタッフの満足度向上に繋げる

東京都済生会向島病院 冷凍弁当「朝めしまえ」活用 患者・スタッフの満足度向上に繋げる

 東京都済生会向島病院(東京都墨田区、塚田信廣院長)では、病院給食における課題の1つである「人材(財)確保」の解決を目指して、朝食用冷凍弁当(おかず)を活用し、患者・スタッフの満足度の維持・向上につなげている。同病院栄養管理科の平賀浩士科長に話を聞いた。

栄養管理科 平賀浩士科長

栄養管理科 平賀浩士科長

地域に根差し、あらゆる生活環境の人に分け隔てなく寄り添う医療を提供

 東京都済生会向島病院を運営する社会福祉法人恩賜財団済生会は、1911年に明治天皇の「恵まれない人々のために分け隔てなく無償で医療を提供し済生の道を広めるように」との済生勅語に基づいて創立された、国内最大の社会福祉法人。約6万4000人の職員が、40都道府県で保健・医療・福祉活動を展開している。

 東京都済生会向島病院は、墨田区向島地区で100年以上、地域の医療を支えてきた総合病院。内科や外科など17の診療科目、102の病床を備え、「かかりつけ病院」としての機能とともに、地域の診療所との病診連携や、介護事業所・施設との連携なども積極的に行っている。

 また、同病院では糖尿病患者の診療とサポートにも力を注いでいる。1982年からは、内科の中に〝糖尿病センター〞を設け、患者が糖尿病をコントロールしながら、合併症を防げるよう、自己管理の方法などを指導している。そこで大きな役割を果たしているのが、同病院の栄養管理科だ。「糖尿病は生活習慣によって合併症のリスクも変わってくる。糖尿病患者さんが生涯を健康に過ごしていただけるよう食事を通して支援させていただいている」と平賀浩士科長。同病院の栄養食事指導の約95%が糖尿病患者だという。また、状況によりソーシャルワーカーが介入し、地域のケアマネジャーや医師らとも連携し、患者が安心して地域で暮らせる支援を心掛けていると説明する。

 「昨今の介護報酬改定により、ケアマネジャーや施設側から栄養に関する情報を求められる機会が増えている」。地域包括ケアの中で、栄養に関する多職種連携が着実に進んでいることに、平賀科長は手応えを感じている。
 また、ユニークなのが、区内に「すみだ地域栄養ネットワーク」という、医療・介護・福祉・行政で働く管理栄養士や栄養士、調理師などがつながり、地域貢献に取り組んでいる会があること。勉強会や情報交換会をはじめ、地域住民に対し、食と栄養に関する情報発信なども行っている。「職場だけだと栄養士や調理師は数が少ないところもあり、孤独になりがち。人に悩みを話す機会を確保することも大事」。平賀科長は同ネットワークの会長も務める。

人手不足の中、給食の質を維持する仕組を検討

 東京都済生会向島病院の栄養管理科では、食事を通じて入院患者の治療が効果的に達成できるよう、患者の病状に合わせた食事の提供を行っている。現在、全国の病院では、およそ7割が給食業務を委託しているが、同病院はスタッフを雇用し、直営方式で食事を提供している。

 「治療に向けた食事なので、新しい職員が一通りの業務を行うまでに3~6カ月は必要。ただ、調理技術の習熟度には個人差があるので、イメージ通りいかないこともある」と平賀科長。さらに、経験を積んできた職員が離職する場合もある。慢性的な人手不足が続く中で、患者の食事に対する満足度を維持・向上させつつ、いかに病院経営にも貢献していくかが課題だと平賀科長は説明する。そのため、以前から、誰が担当しても給食業務の対応や、質の維持ができるような仕組みの構築を検討してきた。そうした時に、たまたま届いたDMで、ダスキンヘルスケアが提供する冷凍弁当「朝めしまえ」を知ることになった。

冷凍弁当「朝めしまえ」を導入

 冷凍弁当「朝めしまえ」は、調理されたおかずが全て容器に盛り付けられ、冷凍された状態で届く配食サービス。オーブンなどの過熱機材に「朝めしまえ」をセットするだけで、朝食の準備を進めることができ、作業時間の大幅な短縮が可能となる。弁当は全て使い捨て容器を使用し、トップシールが貼り付けけられているため、喫食まで一切、人の手に触れることがなく衛生的。

 献立数は、低カロリーメニューが13種類、200kcalのメニューが14種類の計27種類を揃える。食形態も普通食・きざみ食・ミキサー食などに対応。価格は1食250円。再加熱カートなど、高額設備は一切不要で、全体的なコストダウンにも寄与できる。

 チラシの案内を見た平賀科長は、「ダメで元々」の気持ちで連絡を入れ、導入検討の意思を伝えたところ、後日、試食の場が設けられることになった。冷凍弁当をオーブンで温めるだけの手軽さや、使い捨て容器による作業の大幅な軽減、新型コロナウイルスへの感染症防止などでも大きな可能性を感じたが、口に運んだ時に「自分たちが提供している味と大きく違う」という印象を受けた。そこで、ダスキンヘルスケアの担当者に、実際に病院で提供している食事を食べてもらい、味の改良を依頼したところ、後日、職員らも納得する美味しい味に仕上がり、導入を決めた。

コロナ禍で導入効果を最大限に発揮

 導入後のスタッフ・患者へのアンケートでは、「味が美味しい」「調理はオーブンで温めるだけなので、その間に他の作業を行える」「使い捨て食器のため、洗浄の省力化が可能」など、その評価は平賀科長の期待以上だった。そして、何よりも効果を発揮したのが、新型コロナウイルスの感染対策の部分だ。

 東京都済生会向島病院では、3階の病棟を全て感染症病床に置き換え、その対応にあたってきた。新型コロナの陽性患者や疑い患者に対して、感染防止の観点から、食事は全て使い捨て食器に移し替えて提供することになった。適温給食での提供のため、その作業を毎食限られたスタッフで配膳15分前に行い、お弁当屋さんの持ち帰り弁当のように袋詰めにして、配膳用カートにセットしていた(写真)。そこに「朝めしまえ」が導入されたことで、作業の負荷が大幅に軽減されることになり、スタッフからは大好評を得ている。
コロナ対応で袋詰で提供される食事

コロナ対応で袋詰で提供される食事

 平賀科長は「労務費込みで、『朝めしまえ』の値段を考えると、十分に許容範囲。何よりも調理・盛り付けなどにかかる負担が軽減されたことで、その分、患者さんと向き合える時間が確保できたのが最大のメリット」と評価している。

 「朝めしまえ」の問合せはダスキンヘルスケア(TEL03・5484・3640)または、メール(asameshimae@duskin-hc.co.jp)まで。

(シルバー産業新聞2021年11月10日号)

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