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芳香会 スマホ撮影の動画をマニュアルに

芳香会 スマホ撮影の動画をマニュアルに

 社会福祉法人芳香会(茨城県古河市、宇留野光子理事長)は1年前から、介護技術などのマニュアルを動画化する取り組みを始めている。同法人の青嵐荘特別養護老人ホームでは、すでに150本以上の動画を作成し、職員はパソコンやスマホからいつでも閲覧や確認ができる。動画のマニュアルは、外国人職員にもポイントが伝わりやすく、作成の手間も紙よりも削減されるため、サービスの質向上と業務効率化の両立に繋がるという。

150本以上の動画マニュアルを共有

 取組みのきっかけになった一つが外国人職員の増加だ。現在、同法人では外国人職員が来日予定者を含め40人以上となり、全職員の1割近くを占めている。出身国や在留資格もさまざまだ。青嵐荘の富張浩俊氏は、「(外国人職員が)日本語で書かれたマニュアルを見て、その内容を理解するのは容易ではありません」と説明する。また、日本人の職員でも捉え方が人それぞれだったり、そもそもせっかく作ったマニュアルが読まれているのかどうかもわからなかったりという現状にモヤモヤを抱えていたという。
 
 「今の中高生はスマホやタブレットで授業の動画をみて勉強しています。われわれの研修も、そうした方法に切り替えられないかと考えるようになりました」と富張氏。同法人が昨年導入した「soeasy buddy for KAIGO」(以下、同システム)は、スマホなどで撮影した動画マニュアルを簡単に法人や施設内で共有できる介護事業所向けのコミュニケーションツールだ。

 同法人が1年間で作成した動画マニュアルは150本以上に及ぶ。「介護技術だけでなく、腰痛予防のボディメカニクス、備品の使い方など、さまざまな動画マニュアルを共有しています。職員は必要な時にいつでもスマホやパソコンから見返すことができます」(富張氏)。動画マニュアルは短いもので30秒、長くても3分程度にまとめるようにしている。「長すぎると集中力が続かないし、必要な時にパッと確認できるよう短い方がよい」という提供元soeasy(東京都千代田区、飯尾慶介社長)の担当者のアドバイスに従った。「教える側も、短い動画でわかりやすく伝えるため、ケアの工程を整理してポイントは何かを改めて振り返るきっかけになっています」。

 動画作成の時間や手間は想定していたより少ないという。編集で文字を入れることもあるが、不要ならスマホで撮影したものをアップロードするだけだ。富張氏は「パソコンの操作を教えている時、メモ代わりに『ちょっと動画に撮らせてください』という職員が増えているのですが、それと同じ感覚です。新しい機器や設備を導入した時も、業者の方が実際に操作しながら説明するところを撮影して共有しています。説明を聞くために皆が集まったり、誰かが文字のマニュアルを起こしたりする必要はありません」(富張氏)。その手軽さから、施設内の各委員会も自主的に投稿するようになり、防災や感染対策など、介護技術に止まらないさまざまな動画マニュアルが日々蓄積されるようになった。
富張浩俊氏

富張浩俊氏

「活用される仕組み」 が不可欠

 導入に当たり、富張氏が力を入れたのが「しっかりと使われるための仕組みづくり」だ。新しいツールを入れても、職員に使われなければ効率化には繋がらない。青嵐荘では、「1日1回、同システムを確認する」というルールを設定した。同施設では、動画だけでなく、会議録や研修・行事報告なども同システムで共有している。「確認しない人がいては、結局は紙の資料も作って配るというムダをなくせません。全員が同システムを毎日確認するという裏付けがあって初めて効率化に繋がるのです」と活用されるための仕組みづくりの重要性を強調する。

 「同システムを使うようになり、オンライン会議など、さらにICTを活用できる素地が整いつつあると感じています。パソコンなどが得意ではない職員もいますが、仕事でこうしたツールに触れることをきっかけに、業務はもちろんプライベートでも便利なツールを上手く使いこなして、それぞれの生活に役立てて欲しいですね」(富張氏)。

 soeasyは1月31日、同製品の活用事例などを紹介するウェビナーを開催する。富張氏が登壇し、芳香会の取組みが発表される予定だ。申込みはこちらから。

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