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岸田首相「ケアプランデータ連携、年度内に整備」
岸田文雄首相は5月19日、都内の通所介護事業所を視察し、深刻な人材不足などの課題について介護現場の職員と意見交換した。その後の記者会見で、岸田首相は「職員の負担軽減や介護サービスの質の向上のためにICTを活用するという視点が大変重要」と強調し、事業所同士がケアプランのやり取りをクラウド上で行うための「ケアプラン連携データシステム」を今年度中に整備すると説明した。
記者会見での岸田首相の発言
「本日、官と民が協力して地域の皆さんに介護サービスを提供する施設を視察させていただき、あわせて介護の現場でご努力いただいている皆さんのお話を聞かせていただきました。その中で、皆さんからとりわけ介護人材の確保をめぐる厳しい状況をお伺いいたしました。あわせてコロナ禍においてのご苦労など、現場の厳しい状況を聞かせていただきました。高齢化の進展により、今後、都市部を中心に介護を必要とされる方の増加が見込まれる中で、質の高い介護サービスを提供していくためには、介護現場で働く皆さんに生き生きと不安なく働いていただく、こうしたことが重要であると考えます。本年2月から介護職員の方々の収入を月9000円相当引き上げる取組を実施しておりますが、今後も、人材の職場への定着、さらには経験・技能の高度化につながる処遇改善の在り方、これを引き続き検討し続けていきたいと考えています。また、本日視察した現場でも活用されていましたが、ICT(情報通信技術)を介護の現場の皆さんの負担軽減、さらには介護サービスの質の向上という観点からも活用する、これは大変重要な視点ではないか、こうしたことも感じました。このため、現場で大きな負担となっていますケアプランデータの共有については、クラウドを活用して電子的に行うことができる基盤を今年度中に整備し、早期の全国展開を目指してまいりたいと思っています。引き続き、現場の声に耳を傾けながら、介護のあり様についても、政治の立場から何をしていかなければならないのか、取組を検討していきたいと考えます」
ケアプランデータ連携システムとは
居宅介護支援事業所と介護サービス事業所との間で交わされるケアプラン(1、2、6、7表)のデータ連携を目的とした全国共通の情報連携基盤。厚生労働省が今年度の当初予算で必要な費用を確保し、現在、国民健康保険中央会においてシステム開発を行っている。ケアプランのデータでのやり取りが進むことで、これまで持ち込みや郵送・FAX等に要していた時間や自動転記による実績データの手入力に割く時間の削減を目指す。