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沖縄県産業ケアマネら、企業の介護離職に警鐘

沖縄県産業ケアマネら、企業の介護離職に警鐘

 沖縄県内で「産業ケアマネ」や「ワークサポートケアマネジャー」として活動する有志らは、4月12日、「おきなわ仕事と介護両立サポート協同組合」を立ち上げた。メンバーは大城五月代表理事、中山哲郎副理事、中松光理事、松川浩也幹事の4人。

 沖縄県は、出生率が全国トップクラスだが、高齢化が進み、育児と介護のダブルケアを行う人口が全国で最も高い(内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」参照)

 県内でいち早く「産業ケアマネ」の資格をとった大城さんは、2021年の7月から8月にかけて、県内の企業と従業員を対象に「仕事と介護の両立に関するアンケート調査」を実施(沖縄県「中小企業基盤強化プロジェクト推進事業」)。県内の一般企業104 社、労働者300人から回答を得た。

 その結果、多くの企業が「大切な従業員の離職を防ぎたい」と思いながらも、対策を講じる知識や手段をもてず、「仕事と介護の両立支援 」 ができていない実態が分かった。また、労働者は、これまで積み上げてきたキャリアを家族の介護を理由に失う事の不安が強く、誰に相談したらよいか分からない状況もはっきりしたという。

 大城さんらは「離職してしまう前の段階で手を打つ必要がある。介護保険制度や働き方に精通している“産業ケアマネ”ら専門家が、企業と労働者の双方に支援していく必要性を強く感じている」と話す。

 具体的なサポート内容は、①企業における「仕事と介護の両立」にかかる実態把握調査②「仕事と介護の両立」に関する勉強会③個別相談会の実施、その他――としている。親の介護を考える時期は平均で40代くらいと言われているが、社員の今後5年間において家族介護をする可能性があるかどうか、また介護が始まった時、仕事と介護の両立が難しい場合の実態や課題を明らかにする。アンケートでは、介護保険制度を知らないという実態も分かり、「介護保険制度の基本的知識と活用法」等にも力を入れていくとしている。
「仕事と介護の両立に関するアンケート(従業員向け)の集計結果報告書」より一部紹介

◆身内の介護をしながら現在の勤務先で仕事を続けられるか(介護経験がない人への質問) 
 現在の勤務先で仕事を継続できると思っている割合は低く、半数が「できない」と考えている。「わからない」と答えた人と合わせると9割近くである。

◆仕事と介護の両立に役立つと思うサービス
 介護が必要となる前に介護保険制度の全体像について学びたい、相談できる仕組みや専門家の活用等が必要と答えた人は63%にものぼった。

*「産業ケアマネ」=一般社団法人日本単独居宅介護支援事業所協会の認定資格
*「ワークサポートケアマネジャー」=一般社団法人日本介護支援専門員協会」の認定資格。介護保険制度の知識をもつケアマネジャーが、介護休業制度等や企業側の制度理解、助成金活用方法等の幅広い知識を身につけ、「介護と仕事の両立」を支援して、介護離職防止の一助を担う

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