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認定ケアマネジャーの会、ケアプラン点検を独自に調査

認定ケアマネジャーの会、ケアプラン点検を独自に調査

 認定ケアマネジャーの会はこの度、「より効果的なケアプラン点検に向けた現状と課題 」と題する報告書をまとめた。

 調査は、同会の会員・非会員1138件に調査票を送付し、683件より回答があった。実施期間は2022年9月9日から同30日。調査項目については、先行調査である「AIを活用した効果的・効率的なケアプラン点検の方策に関する研究」(22年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業。NTTデータ経営研究所)の調査項目と重ね、先行調査の点検者(主に保険者)とケアマネジャーの意見を比較した。同会の調査はケアマネジャーの視点からケアプラン点検を調査した点が注目される。

 「ケアプラン点検」は、06年度に介護給付等費用適正化事業の一環として位置づけられ、その方法については度々議論されてきた。先行調査では、2021年度全国実態調査に回答した保険者から9つの保険者を選定し、ヒアリング調査を実施した。「ケアプラン点検支援マニュアル」やケアプラン点検項目の改定、ケアプラン点検支援ツールの開発などを目的とし、AIを活用したケアプラン点検の支援の実装化も視野に入れている。遠藤征也氏や石山麗子氏ほか6名が委員を務め、昨年の9月から検討会が開かれ、3月に報告書がまとめられている。

ケアマネジャーの意見
 今回のケアマネジャーの調査では、①基本情報に関する10項目、ケアプラン点検の準備に関する6項目、ケアプラン点検の当日に関する8項目、ケアプラン点検の終了後に関する5項目を調査した。以下は調査の一部。

 ケアプラン点検を実施している地域は81.3%。ケアプラン点検を受けた人は58・9%。点検の総数は1から3事例が76.4%。通達期間はおおむね1か月前が72.6%。準備書類は、居宅サービス計画書第1表~第3表が9割を超えており、次にアセスメント、モニタリング記録が約8割。準備についての負担感ありの回答は約8割。実施方法は、書面と面談が79.6%。ケアプラン点検者は行政事務職員が54.7%と最も多かった。

 ケアプラン点検実施直後の印象としては、気づきを得ることができた56.7%、緊張した39.8%、学びがあった39.3%、高圧的に感じた19.7%、指摘ばかりされた13.7%。「点検者によって指導内容が異なる」「出来ていない事を探しているように思える」という意見や、実施後については、「点検後の回答に時間がかかりすぎている」「終了後に経過報告を求められた」のは26.4%、「求められなかった」が71.6%となっている。

ケアプラン点検の目的や達成感に相違
 点検の目的について先行調査と比較すると、先行調査では、介護給付費の適正化(91.5%)、ケアマネジャーの資質向上(87.4%)、自立支援に資するケアプラン作成に向けた支援(82.2%)だったのに対して、 ケアマネジャーは、ケアマネジメントスキルの向上(64.4%)、ケアプラン内容の改善(39.3%)、事業所全体のレベルアップ(30.8%)とかなり異なっていた。

 また目的の達成度については、点検者等の8割がケアプラン点検の効果を得ていると回答しているが、ケアマネジャーは、期待通りからやや期待通りは47.1%で、双方の期待値に乖離がみられている。

 ケアマネが望んでいるのは、ケアマネジメントの一連のプロセスへの評価で、実際、介護給付費適正化事業でも、ケアマネジメントの一連のプロセスを評価するものであるとしているが、その評価がしてもらえなかったという回答も少なくなかった。点検時に否定的な発言が多かった(28.3%)、利用者のニーズが伝わらなかった(21.7%)で、ケアプラン点検を今後受けたくないは34.4%だった。

点検者間のバラツキは課題
 国の先行調査によると、実施する点検者は、知識やスキルの不足がある、人員の不足がある、時間の確保が困難である等の課題があり、6割以上が負担を感じていた。また、点検者等によって点検対象者の選別方法や、点検する書類、点検方法や内容が異なることも明らかとなった。また、点検の結果や効果は、指標が明示されていないことから、点検後のフォローやフィードバックも点検者等によって様々だった。

 点検者に専門的な知識やスキルをもった人材が不足している点で、ケアマネ調査でも、点検者等の職種は、主任ケアマネジャーや職能団体の専門職が良いという回答が多く挙げられた。

ケアマネが点検に求めること
 ケアマネは、ケアマネジメントプロセスの経緯を保険者との間で共有し、対話による意見交換によって実践に生かしたいという希望をもち、そういう場合に、点検に意味を見出していることも分かった。さらに、利用者の本人らしさや個別性などの尊厳を土台とした自立支援を思考できた時や、点検者との間で、地域課題や地域の社会資源の共有による関係構築につながった場合に、点検の意義を感じていることも分かった。

 しかし、実際の点検では、ケアマネジメントプロセス以外の指摘や、意図が分からない質問、給付抑制を目的とした改善提案をされることもあり、こうした場合には点検の意義に疑義を感じているのも分かった。

 ケアマネは、一方的な指摘ではなく、ケアマネジメントプロセスへの助言による実勢への良い効果を期待しているため、現在のケアプラン点検では、自立支援に資するケアマネジメントを明確にすることは困難であると結論付けている。先行調査でも「自立支援に資するケアプランについても学術的なコンセンサスが得られてない現状に留意する必要がある」としている点を挙げている。

今後のケアプラン点検への要望
 今回の調査により、同会では、ケアプラン点検は「双方向のコミュニケーションによるケアマネジメントプロセスの振り返りによって、利用者の尊厳、その人らしい暮らしの共有、意欲を踏まえた自立支援の検討、地域の抱える課題や点検結果の共有ができる仕組みを構築する必要がある」とまとめた。そして、次の6つの改善提案を示した。

 ①ケアプラン点検実施前にケアプラン点検の目的の共有化ができる仕組みを講じる。②ケアプラン点検にかかる準備負担の軽減を図る。③点検者の姿勢の在り方や専門職を含めた点検者等の体制を図る必要がある。④効果的なケアプラン点検のためには、点検者による質問を一方的に行うのではなく、ケアマネジャーとコミュニケーションを図りながら双方向で確認することを求める。⑤ケアプラン点検における指導内容や指摘事項について根拠ある説明が必要である。⑥保険者は点検結果のフィードバックおよび点検内容について、地域全体で研修を行なう必要がある。

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