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特養ながまち荘 防災士19人 住民や地域施設と緊急時を支える
社会福祉法人恩賜財団済生会支部山形済生会が運営する特別養護老人ホーム「ながまち荘」(山形市、峯田幸悦施設長)では、2013年より防災士の育成に取組んでいる。20年10月時点で19人が防災士の資格を取得している。管理職の他、ケアマネジャーや管理栄養士など幅広い職種が、介護と防災の知識を持つ職員として活躍している。
同施設管理課長で、山形県防災士会の事務局長を務める岩﨑勝也さんは「防災士の介護職員が災害発生時や訓練時のリーダーとして活動するとともに、防災士の活動を通じて、地域の介護施設や医療機関のほか、住民、行政や消防団との連携も強くなる」と説明する。
2月13日(土)に福島県沖で発生したマグニチュード7.3の地震で、山形県は震度4を記録した。同施設では震度4以上が発生したら、役職者が施設に電話を入れて被害状況を確認、震度5強もしくは停電時には全職員が施設に集まることとしている。
当日も、役職者20人弱が施設に集まった。岩﨑さんは「結果として何事もなく、済んでよかった。防災士の育成を通して、災害発生時に何をすべきかを自主的に考えて行動できる職員が増えている」と取組みを評価する。
峯田幸悦施設長が会長を務める山形県老人福祉施設協議会では、14年度より防災士を育成する施設を支援するため、1人当たり2万円を独自で助成し、同制度を活用して88人が資格取得。
資格を取得した職員は、山形県災害派遣福祉チーム(DWAT)への登録を依頼し、施設内外での活躍が期待されている。
当日も、役職者20人弱が施設に集まった。岩﨑さんは「結果として何事もなく、済んでよかった。防災士の育成を通して、災害発生時に何をすべきかを自主的に考えて行動できる職員が増えている」と取組みを評価する。
峯田幸悦施設長が会長を務める山形県老人福祉施設協議会では、14年度より防災士を育成する施設を支援するため、1人当たり2万円を独自で助成し、同制度を活用して88人が資格取得。
資格を取得した職員は、山形県災害派遣福祉チーム(DWAT)への登録を依頼し、施設内外での活躍が期待されている。
法人間連携を想定したBCP作成
4月からの介護報酬改定では、感染症や自然災害発生時のBCP作成を全サービスに義務付けた(3年間の経過措置)。同施設では、様々な状況に対応した事業継続計画を考えるため、山形県済生会として各施設の連携を視点に加えた法人全体としてのBCP作成に取組んでいる。
「自然災害の種類だけではなく『職員が集まれない場合』や『建物が壊れている場合』など、状況によって事業継続計画の内容が異なる。法人間連携により、事業継続性を実現していく」(峯田施設長)
BCPでは震災、風水害、感染症それぞれを想定した計画や、平時対策・点検の内容などを記載している。ハード面の点検では▽用水路に物が詰まり氾濫のリスクはないか▽外壁やフェンスの破損▽発電機などの設備を高所に移動する――などを挙げている。
また、ソフト面では▽施設から徒歩圏内に住む職員数▽派遣できる職員数▽受入れられる利用者数▽連絡網や備蓄▽職員の参集基準(震度5以上など)――を点検項目としている。
BCPは今年4月頃完成予定。
「自然災害の種類だけではなく『職員が集まれない場合』や『建物が壊れている場合』など、状況によって事業継続計画の内容が異なる。法人間連携により、事業継続性を実現していく」(峯田施設長)
BCPでは震災、風水害、感染症それぞれを想定した計画や、平時対策・点検の内容などを記載している。ハード面の点検では▽用水路に物が詰まり氾濫のリスクはないか▽外壁やフェンスの破損▽発電機などの設備を高所に移動する――などを挙げている。
また、ソフト面では▽施設から徒歩圏内に住む職員数▽派遣できる職員数▽受入れられる利用者数▽連絡網や備蓄▽職員の参集基準(震度5以上など)――を点検項目としている。
BCPは今年4月頃完成予定。
垂直避難用の施設確保
ながまち荘が最も懸念している大きな自然災害は、施設近くを流れる「馬見ヶ崎川(まみがさきがわ)」の氾濫で、0.5~3mの高さまで氾濫すると予想されている。
同施設は平屋建てで河川が氾濫した場合は、約500mはなれた同法人が運営する2階以上の高さがある病院へ避難する計画を立てていたが、実際に訓練をしてみると車6台を使っても数時間かかり、災害発生時の対応として困難があることが分かった。
そこで、施設の隣に100人程度の利用者が避難できるスペースを設けた、2階以上の建物の建設を来年度予定している。
峯田施設長は「事業継続はハード面が7割、ソフト面(人材など)が3割だと考えている。入居者の家となる施設が壊れてしまっては、生活を続けることができないため、ハード面を維持することが事業継続のためには必要だ」と強調する。
同施設は平屋建てで河川が氾濫した場合は、約500mはなれた同法人が運営する2階以上の高さがある病院へ避難する計画を立てていたが、実際に訓練をしてみると車6台を使っても数時間かかり、災害発生時の対応として困難があることが分かった。
そこで、施設の隣に100人程度の利用者が避難できるスペースを設けた、2階以上の建物の建設を来年度予定している。
峯田施設長は「事業継続はハード面が7割、ソフト面(人材など)が3割だと考えている。入居者の家となる施設が壊れてしまっては、生活を続けることができないため、ハード面を維持することが事業継続のためには必要だ」と強調する。
夜間の避難訓練や、地域施設との連携
災害時は住民など地域のサポートを得られることで、よりスムーズな対応につなげることができる。同施設では、01年より地域の住民から自主防災協力委員を募り、緊急時に地域と施設が相互に協力し合う関係を作っている。
福祉施設では、利用者の安全も考慮して夜間を想定した訓練を日中行っていることが多い。しかし峯田施設長は「災害は時間や日にちを選んでくれない。最も避難が困難とされる、夜間に地域と連携して訓練を行うことが重要だ」と強調する。
車いすやベッドの運搬方法を伝えるとともに、段差や歩きにくい場所も把握する。
また09年には山形県村山地区の特養で災害時応援協定を締結し、現在64施設が協定を結ぶなど、他施設間の連携にも力を入れる。
「事業継続や防災は施設単体で完結できない。様々なケースを想定して日ごろから地域と積極的に連携することが非常に重要。防災士を通じて山形県全体の取組みを強化し、今後は全国的な展開にもつなげていきたい」と峯田さんは語る。
(シルバー産業新聞2021年3月10日号)
福祉施設では、利用者の安全も考慮して夜間を想定した訓練を日中行っていることが多い。しかし峯田施設長は「災害は時間や日にちを選んでくれない。最も避難が困難とされる、夜間に地域と連携して訓練を行うことが重要だ」と強調する。
車いすやベッドの運搬方法を伝えるとともに、段差や歩きにくい場所も把握する。
また09年には山形県村山地区の特養で災害時応援協定を締結し、現在64施設が協定を結ぶなど、他施設間の連携にも力を入れる。
「事業継続や防災は施設単体で完結できない。様々なケースを想定して日ごろから地域と積極的に連携することが非常に重要。防災士を通じて山形県全体の取組みを強化し、今後は全国的な展開にもつなげていきたい」と峯田さんは語る。
(シルバー産業新聞2021年3月10日号)