コラム
介護相談のポイント/服部万里子 【ケアマネ・地域 2】
要介護になったとき、寄り添って相談に応じてくれるケアマネジャー、地域包括支援センターを知ってい ますか? 服部万里子さんから、介護について相談する方法を教わりました。
1.介護は突然やってくる
一人で悠々自適の生活をしていても(26.3%)、老夫婦仲良く暮らしていても(32.5%)、独身の子と暮らしても(19.8%)、孫の世話に追われていても(12.2%)、介護は脳梗塞や転倒骨折や脱水や熱中症や認知症などで突然やってきます(※1)。
そして風邪や盲腸のように治ることなく、「麻痺で歩行や起き上がりができない」「言葉が話せない」「判断や理解力が低下する」などの後遺症が継続し、生活の障害が出てきます。認知症の場合には「おかしいなあ」と感じているうちに出かけて帰れなくなったり(年間1万4000人)、近所から苦情が来たりします。
そして風邪や盲腸のように治ることなく、「麻痺で歩行や起き上がりができない」「言葉が話せない」「判断や理解力が低下する」などの後遺症が継続し、生活の障害が出てきます。認知症の場合には「おかしいなあ」と感じているうちに出かけて帰れなくなったり(年間1万4000人)、近所から苦情が来たりします。
※1:国民生活基礎調査2015年
2.まずは主治医に相談です
家族や周りの人は 一人で悩まずに、早めに「何が起きているか」「これからどうなるか」を知りたいものです。このときに向き合う相談相手は主治医です。救急で入院しても、肺炎や心臓疾患で入院しても、今は「次の病院を探してください」「ここは3カ月しかいられません」と言われます。
入院して病状が収まれば退院か転院です。どの病院も「治療が目的」ですので、介護やリハビリのために入院し続けることはできません。
状態を把握したら入院中は病医院の相談窓口です。自宅にいる場合には、地域包括支援センターが全国の相談窓口です。今までの生活を続けるためには何が必要かを相談しましょう。
入院して病状が収まれば退院か転院です。どの病院も「治療が目的」ですので、介護やリハビリのために入院し続けることはできません。
状態を把握したら入院中は病医院の相談窓口です。自宅にいる場合には、地域包括支援センターが全国の相談窓口です。今までの生活を続けるためには何が必要かを相談しましょう。
3.介護保険の要介護認定を受ける(無料)
リハビリや看護や介護や住宅の手すりや車いすなどが必要な状態であれば、入院中からお住まいの自治体に要介護認定の申請をします。用紙1枚書くだけです。独居でできない場合には地域包括支援センターが代行もしてくれます。
地域包括支援センターは住民票によりどこに相談するかが決まりますので、市町村の介護保険課か病医院の相談窓口で聞けばわかります。「要介護認定」が「要支援」であれば地域包括支援センター、「要介護1~5」であれば、退院に向けケアマネジャーが相談に応じます。
地域包括支援センターは住民票によりどこに相談するかが決まりますので、市町村の介護保険課か病医院の相談窓口で聞けばわかります。「要介護認定」が「要支援」であれば地域包括支援センター、「要介護1~5」であれば、退院に向けケアマネジャーが相談に応じます。
4.本人がどうしたいかが基本
日本の高齢者の世帯は独居が26%で、老夫婦世帯が3割です。家族といる人も3割以上です。でも、高齢になり介護が必要になっても生きるのは自分です。自分はどうしたいかが基本です。家族は介護の負担を考え、施設や有料老人ホームを考えても自分はどうしたいかです。グラフのように「自宅で暮らしたい」人は7割以上です。「何があれば自宅で暮らすことができるか」をケアマネジャーと相談しましょう。麻痺や歩行困難でも装具をつけリハビリをしたり、杖を使えば歩くことも可能かもしれません。和式トイレを洋式にすれば自分で排泄できるかもしれません。通院や買い物や入浴や一人でできないことをどうすれば良いか、相談しましょう。
自宅があれば家賃を払い続けないで良い人も多いでしょう。ご近所や友達が支えてくれる場合もあります。本人と家族の意見は異なります。まずは自己主張しましょう。その上でどうすることがベストか相談しましょう。病状の改善や生活の支障に関して自分はどのようにしたいかです。
自宅があれば家賃を払い続けないで良い人も多いでしょう。ご近所や友達が支えてくれる場合もあります。本人と家族の意見は異なります。まずは自己主張しましょう。その上でどうすることがベストか相談しましょう。病状の改善や生活の支障に関して自分はどのようにしたいかです。
5.介護は人の為ならず
親の介護、配偶者の介護、最後は自分自身の介護と、3回の介護と向き合うのが人生です。
愛し合っている夫婦でも一緒には死ねません。高齢になることは一人になることなのです。だから「どう生きたいか」は自分で決めましょう。そして患者の会や認知症の人と家族の会や介護者の会など、地域で同じ思いをしている人の集まりへの参加が勇気を与えてくれます。
愛し合っている夫婦でも一緒には死ねません。高齢になることは一人になることなのです。だから「どう生きたいか」は自分で決めましょう。そして患者の会や認知症の人と家族の会や介護者の会など、地域で同じ思いをしている人の集まりへの参加が勇気を与えてくれます。
6.今からできること
オーストラリアでは夫婦で「ちょいボラ」(ちょこっとボランティア)が人気です。庭の芝生の手入れや話し相手などができることから、ひとり暮らしへの支援をすることで「お互いさま」の関係が、自分が介護と向き合う学びにもなります。
服部万里子さん
NPO渋谷介護サポートセンター 事務局長
(プロフィール)
1946年生まれ。国際医療福祉大学大学院博士課程修了。日本ケアマネジメント学会副理事長。大学卒業後に一般企業で勤務し、病院に勤務しながら看護師資格取得。10年間勤務した後89年に服部メディカ
ル研究所を設立。2000年より渋谷介護サポートセンターで居宅介護支援事業開始、現在もケアマネジャーとして活動。
NPO渋谷介護サポートセンター 事務局長
(プロフィール)
1946年生まれ。国際医療福祉大学大学院博士課程修了。日本ケアマネジメント学会副理事長。大学卒業後に一般企業で勤務し、病院に勤務しながら看護師資格取得。10年間勤務した後89年に服部メディカ
ル研究所を設立。2000年より渋谷介護サポートセンターで居宅介護支援事業開始、現在もケアマネジャーとして活動。
(介護の日しんぶん2016年11月11日)