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介護福祉士有志の会 早急な支援へ署名活動

介護福祉士有志の会 早急な支援へ署名活動

 介護福祉士の有志らは、日本介護福祉士会が国に提出した要望書を受け、インターネットを使った署名活動を始めた。署名はSNSのchange.orgを使い、まずは5月17日までに、賛同者5万人を集めたいとしている。

 日本介護福祉士会(石本淳也会長)は、新型コロナウイルス感染症が広がる中、現場の最前線を担う介護従事者への早急な支援を求め、厚生労働大臣、加藤勝信宛に要望書を提出したが、これを受けて、より広範囲に賛同者を募る目的から、有志らが別に署名活動を始めた。発起人になったのは、東京都、群馬県、神奈川県の介護福祉士ら。

 そのうち、東京都の介護福祉士、金山峰之氏(ケアワーク弥生)と、群馬県高崎市で小規模多機能型居宅介護とデイサービスを運営する小池昭雅氏(アイ・ウィッシュ)に話を聞いた。

 ――要望書をSNSで拡散しようと思った意図は。

 金山 今回、協会から要望書がようやく上って嬉しい。SNSで発信しようと思ったのは、現場で働く介護職と、利用者や家族、世間一般に向けて発信したかった。

 4月に入り、海外の高齢者施設感染死亡者の話題が出始め、これをきっかけに国内でも注目が高まってきたと感じている。福岡市で介護職に特別給付を行うという話や、日本看護協会等が厚労省に要望書を提出した(「新型コロナウイルス感染症対応における訪問看護に関する要望書」など)ことなどもきっかけになった。

 ――要望書の1にある現場での用品の不足について

 金山 東京都内の現場では、医療現場ほど差し迫った欠乏感はまだ表面化してはないと感じている。しかし、消毒の回数は多く、マスクも洗って使っていることもある。利用者によってはマスクを外してしまう方もいて、飛沫が付着してしまうこともある。風邪症状が見られる方もいるのでガウンやエプロンが必要な場合もある。今後を考えると、不足が心配だ。

 小池 群馬県では伊勢崎市の高齢者施設で集団感染が起きた。今、自分の周辺の介護事業所では、マスクやアルコール、体温計が欠乏している。伊勢崎市の集団感染もマスクが足りていたのだろうか?と思ってしまう。ゴーグルなども必要になってくるだろう。

 ――要望書の2にある待遇面について。

 金山 ヘルパーのシフト控えが起きている。高齢のヘルパーは家族から仕事を止められたり、小学校の一斉休校で子育て中のヘルパーが出勤できない事態もある。

 もともと在宅は中小企業が多く、人手不足が課題だった。事業所によっては経営状態が今後厳しくなる可能性がある。利用者の利用控えも売上を下げている。事態の長期化によっては事業を辞めざるを得ない、という声もデイサービスなどからは聞いている。

 施設事業もクラスターの発生などが起きると、利用者や職員の生命はもちろん、事業の存続も危うくなる。こうした実態を知ってもらいたい。

 小池 今回の介護職員の状況においては、危険の要素がある。弊社では職員に危険手当を検討しているが、自社努力だけでは続かない。感染からクラスターが起き、命にもかかわってくる。こうしたストレスはすべて介護職員にのしかかる。待遇も考えて欲しい。

 ――要望書への思いは。

 金山 介護職員へ直接届く給付になることはもちろんだが、今回は雇用している介護事業者も厳しい状況に立たされている。私たちの仕事は、医療と同様、国民のライフライン。働く側も事業者も、現実的に支えられる中身を期待する。

 小池 介護サービスは、医療や生活保障と並ぶ国民の重要なライフライン。しかし、介護現場の声を上げるのに、職能団体だけの力に頼るだけでは微力だと私たちは考えた。

 介護崩壊を防ぎ、介護従事者の安心安全な労働環境を整え、国民が介護サービス利用という権利を行使できるようにするためにも、要望書の趣旨に賛同頂ける声を集めたい。

 そして、日本介護福祉士会への提出を通じて、民意を国政の場へ届けたいと考え、この署名活動を始めた。この問題は、介護業界の問題ではなく、国民一人ひとりの問題だ。自分事として、身近な方に署名をお願いして頂きたい。

 「新型コロナウィルスに伴う介護職への早急な支援を」の署名先
https://qr.paps.jp/LDrHs

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