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クラスター発生で医療班派遣 要請から24時間以内に

クラスター発生で医療班派遣 要請から24時間以内に

 想定を超える新型コロナウイルスオミクロン株の感染拡大を受けて、厚労省は全都道府県でクラスターが発生した高齢者施設へ医療チームを派遣する。4月4日、入所者にコロナ陽性者が発生した高齢者施設から依頼を受けて、24時間以内に医療チームの派遣を行うなどの医療支援体制づくりを都道府県に要請した。同時に、高齢感染者の受入れを一定の感染管理が可能な地域包括ケア病棟や慢性期病棟にも拡げる。

 高齢者施設の陽性者は原則入院が基本だが、要介護者を受け入れるコロナ対応病床の確保不足から、高齢者施設の陽性者は施設での療養を余儀なくされてきた。大阪府では、第6波(昨年12月~4月)には600施設を超える高齢者施設でクラスターが発生し、入院調整ができず、適切なコロナ対応ができる医療機関の受診がない中で高リスクの高齢者が死亡に至る状況になり、施設では見守るしかない状況にあった。

 3月21日にはまん延防止等重点措置の全面解除があり、厚労省は直前の3月18日に、感染制御・業務継続支援チームの派遣とともに、コロナ対応医療機関の拡大や転院先の確保によるコロナ対応病棟の回転率の向上を図るなど、クラスターが相次ぐ高齢者施設などへの保健医療体制の徹底・強化を図るよう求めた。

 今回、感染力が強いオミクロン株にはより早期の対応が望ましいとして、24時間以内の派遣をめざす。大阪府の調べでは、オミクロン株になって、発症後4日目の死亡者が最も多く、また早期の治療薬投与の効果が高いとされた。

 4月4日の国の事務連絡は、再度徹底を図るもので、4月22日までに都道府県等に取組内容の国への報告を求めている。国は5月初めにも報告を集約して都道府県の取組状況を公表する見込み。

医療支援チームの派遣

 陽性者が発生した高齢者施設への医療班の派遣については、都道府県等が高齢者施設からの派遣要請を受け24時間以内(遅くとも一両日中)に医療支援チームを派遣する体制を構築する。

 発生届の提出があるにも関わらず施設からの派遣要請がない場合には、行政側から速やかに連絡して拡大防止策を施設と協議する。

 対象の施設は、介護保険施設(特養・老健・介護医療院)だけではなく、特定施設入居者生活介護、グループホーム、養護・軽費老人ホームのほか、有料老人ホーム、サ高住におよぶ。都道府県に専用相談窓口を設置し、各施設に個別に周知を行う。

 高齢者施設への医療チームの派遣が先行している沖縄県では、陽性者があった施設の6割に派遣(国の発表)されている。

 派遣される医療チームは、必要に応じて、施設においてPPE(個人用防護具)の着脱指導や感染者発生時の対応などの研修なども行う。

往診要請できる協力医療機関の確保

 同時に、全ての施設において、医師・看護師の往診・派遣を要請できる医療機関を事前に確保するよう求めた。都道府県は全ての施設に、①協力医療機関を事前に確保。コロナ対応できる嘱託医がいる場合を含む②各自治体が指定する医療機関や医療チームの往診派遣ができる――のいずれに該当するかの回答を求めるよう要請した。

 国は、圏域や地域ごとに往診・派遣できる協力機関を指定・登録する仕組みを構築するよう都道府県に促している。

 また、都道府県内の医療部局と介護関係部局の密接な連携や、地域の医療関係者・施設関係者や市町村の福祉部局との協議を行うことを求めた。

コロナ対応病床のさらなる確保

 一方で、コロナ対応の医療機関を確保するために、臨時の医療施設の確保や要介護者に対応した人員配置(介護職、リハビリ職など)や環境整備を行うこと、介護の体制がある地域包括ケア病棟や慢性期病棟への感染中の高齢者の転院や積極的な受け入れを要請した。

 コロナ対応以外の医療機関についても、後方支援医療機関として療養解除後の高齢患者の受入れを積極的に働きかける。

 また、厚労省は4月8日、陽性者の施設内療養を行う施設などを対象とする補助制度を拡充する事務連絡を発出。今年7月までは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施地域に限らず、療養者1人につき最大30万円の補助が受けられるようになった。

(シルバー産業新聞2022年5月10日号)

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