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健康な歩行を科学する 神奈川県歩け歩け協会

健康な歩行を科学する 神奈川県歩け歩け協会

 「歩くことは人間の基本的な運動であり、健康の源」と掲げるのは、神奈川県で50年以上続くウォーキングクラブ「神奈川県歩け歩け協会」だ。ほぼ毎日、県内名所等を周るウォーキングイベントを開催。60代以上のシニア層を中心に、毎回50〜100人ほどが参加する。

 「初秋の海岸を歩く」「鶴見川流域の古代社会へ」などテーマを設定したウォーキングコースは8〜10㎞。長いときで15㎞歩くイベントもある。会長の前川吉和さんは、コロナ禍の外出自粛で特に高齢者は体力が低下し、改めて運動・食事・社会参加の重要性が浮き彫りになったと強調する。「私達が推進する、地域に密着した健康ウォーキング運動の社会的意義を再確認できました」。歩行姿勢・速度・靴 「健康のためには、ただ歩けばよいというものではありません」と話すのは、同協会加盟団体の一つ、かもめウォーキングアカデミーの副会長を務める土居義彦さん。
「一つは、足のつき方。膝をしっかり伸ばし、踵からついて前で蹴る。高齢者は膝が曲がった状態で歩く人が多い。これだと姿勢が悪くなる上に、腰痛・膝痛の原因になります」。

 坂道や階段は、踵が浮いた状態で歩かないこと。時間はかかるが一歩一歩、脚全体が接地するように歩くことで脚の筋肉をしっかり使うことができるそうだ。
 「かもめ」ではこれら、最適な姿勢で歩行するためのウォーキングアカデミーを横浜・厚木で月2回ずつ開講。ウォーキングイベントをきっかけに、自身の歩き方を見直したいと参加する人も多いそうだ。いちばん最初に教えるのは靴の履き方。「靴ひもの結び方。足首が締まっていないのは靴ズレのもとです」(土居さん)。

 歩くペースは1時間に4〜4・5㎞が適当。「体力が蓄積でき、体幹にも良い」(前川会長)。歩数は1日6000〜7000歩が目安だと話す。より下肢筋力を安定させたい人には「インターバル歩行」がおすすめ。1時間5〜5・5㎞の早足で4㎞ほど歩き、休憩。また歩き、休憩。これを何セットか繰り返すことで、長距離を歩く筋肉がつく。
 土居さんは、ウォーキング前のストレッチも大切だと説明。歩け歩け協会では県立スポーツセンター監修のもと「歩くためのストレッチ」を考案。▽足踏み▽背伸び▽体側伸ばし――など11の体操を準備運動としている。
 「『歩く』は誰もが自然に行ってきたこと。それゆえ自己流であり、他人に教わることは滅多にありません」と前川会長。「未病を改善し、長生きするための歩き方を、客観的に分析してみてはいかがでしょうか」。

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