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LIFE様式はケアプラン改善の重要ツール 三重県鈴鹿市 「鈴鹿グリーンホーム」

LIFE様式はケアプラン改善の重要ツール 三重県鈴鹿市 「鈴鹿グリーンホーム」

 三重県鈴鹿市の「鈴鹿グリーンホーム」(社会福祉法人鈴鹿福祉会)は、定員80人、全室個室のユニット型特養。科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ提出は、昨年4月から取り組んでいる。得られるフィードバック情報は暫定版だが、同施設ではその情報を自施設の状況と比較することで、ケアの現状把握や改善につなげるための基礎データとしている。また、心身状態の改善だけを目指すのではなく、本人が望む生活の実現を同時に図り、自立支援とQOLの両立を目指している。

 施設のある地域は、市内でも特に少子高齢化が進み、介護人材の確保が一層厳しい状況だ。そこで、LIFEの取り組みやICT・介護ロボットの活用などで、人材不足への対処とケアの質向上を図っている。

 同施設では、LIFEが始まる5年ほど前から、施設ケアの評価指標を想定し準備を進めてきた。CHASEの運用が始まった際に、提出データが含まれる計画書など様式作成を担う看護師や管理栄養士、ケアマネジャーを採用し、業務記録システムのベンダーに協力を得て、データ入力・提出がしやすいシステムの開発にも取り組んだ。今では、専門職がLIFEの様式を作り、フロア職員が夜勤帯のすきま時間にLIFEのデータ入力を行っている。

各居室のシルエットセンサーで起き上がりや離床などを検知。
記録システムと連動させ、管理できる

暫定版データもしっかり活用

 LIFEの暫定版フィードバックには、現場から落胆の声も少なくない。しかしグリーンホームでは、各項目の該当割合を全国と自施設で比較して、ケアの現状把握と改善に取り組んでいる。

 例えば、昨年10月サービス分フィードバックのADL関連項目で、「排便コントロール」と「排尿コントロール」を見ると、全国平均では両項目とも「全介助」59%「一部介助」30~31%、「自立」10%と内訳が同じだった。一方、同施設では排便の全介助は43%、排尿の全介助は55%などと、排便・排尿で自立度が異なっていた。全国平均では、排便・排尿それぞれ個別の状態把握や支援に課題がある可能性も考えられる一方で、「当施設の職員は、ご利用者の排便・排尿それぞれの機能を把握し、個別に支援できていることがわかった」と服部昭博施設長は話す。

生活ベースの支援を重視

 服部施設長は「自分は管理栄養士なので、まず利用者の口腔・栄養機能の維持・向上などに意識が向く。しかし、この施設は生活の場であり、人生の最晩年に、ご本人に負担をかける場合もある状態改善を推進するだけではなく、その方らしい生活を実現するための支援も図り、自立支援とQOL向上の両立を目指している」と話す。

 その方針でケア改善をするため、各利用者のケアプランに位置づけられた支援方針を、「興味・関心チェックシート」「自立支援促進に関する評価・支援計画書」などのLIFEのデータ提出様式などと照らし合わせながら、見直していく。

 例えば、興味・関心チェックシートで、本人が「していること」「してみたい/興味がある」生活行為に対する支援が、ケアプランに位置づけられているか確認する。「できていないことへの支援は位置づけられていても、今できること・したいことについては、実際は支援していても、ケアプランに書かれていない場合もある」と原田施設長。これを明示化することで、よりその人のQOL向上につながるケアを目指す。

利用者の状況と支援方針を合致

 同施設では、利用者への排泄ケアが、それぞれの身体状況に合っているか確認するため、科学的介護推進体制加算の様式に記載の各人のADL各項目を参照した。すると、移乗と歩行が全介助の人はおむつかパッドでの対応、一部介助の人は日中トイレ使用など、ほぼADLに沿った支援ができていることがわかった。

 さらに、パッド使用でトイレが使えていないある利用者では、歩行は全介助だが食事と移乗、整容が一部介助だった。そこから握力や上肢の可動域などに残存能力があり、ここを補えればトイレへ誘導し排泄できる可能性があると判断し、排せつ支援加算Ⅱ・Ⅲの算定へ向け、トイレ介助に向けた支援を検討した。ただし、「その利用者の『興味・関心チェックシート』には、『自分でトイレに行く』の項目にチェックがなかったため、無理強いはせず、職員が『トイレを使ってみませんか?』などと呼びかけ、意思確認しながら支援することにした」と生活相談員の原田崇史さんは話す。

 「LIFE関連の様式の内容を確認すれば、口腔・栄養状態、ADL、褥そう、排泄など、利用者一人ひとりの心身状況をしっかり把握でき、ケアプランの改善に繋げられ、強固なアセスメントツールになる」と原田施設長は話す。同施設では、人員要件を満たせず現状算定できない加算でも様式の作成を行い、いつでも算定可能できるようにすると同時に、ケア見直しの基礎データとしても活用している。

ICTも有効活用

 同施設では、様々な介護ロボットやICT機器も積極的に活用する。あるユニットでは、各居室にシルエットセンサーを設置、起き上がりや端座位、立ち上がりを検知すると、職員のスマホに報知し、ベッド上の動きを確認できる。同時に、離床やベッド上での体動などを検知するシート型センサーも使う。このセンサーには、ナースコール機能が付属していて、安価にコール装置を導入できることから、シルエットセンサーと併用している。同施設では、各機器の特長をうまく組み合わせて、機能を最大限に活用している。
(シルバー産業新聞2022年4月10日号)

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