インタビュー・座談会
「ケアマネジメント、法律、ハラスメント等」の相談体制を整備
本号では新潟県の介護保険を特集している。新潟県介護支援専門員協会の佐々木勝則会長に、新潟県の地域特性や同協会の取組みについて聞いた。
冬場の一時入所「越冬入所」
新潟県は高齢者1人当たりの施設サービス給付費が全国で最も高い県だ。また居宅サービスでもショートステイの利用率が高く、その中ではいわゆる「ロングショート」の利用も少なくない。要因の一つとして、寒冷地ならではの「越冬入所」もある。もちろん地域差はあるが、厳しい寒さや豪雪で高齢者の外出は難しく、買い物やゴミ出しなど、冬場でなければ自立しているIADLも支援が必要になる。施設やショートステイへ冬場を中心に一時入所するサービス利用は特徴的といえるだろう。
こうしたやむを得ないケースもあるので、一概に良い悪いといえないが、何でも安易に「ロングショート」で対応するのはもちろん好ましくない。多くの高齢者が持つ「住み慣れた地域、自宅に住み続けたい」ニーズに応えていくことが大切だ。小規模多機能などのサービスの普及に伴い、減少はしてきたが、われわれ介護支援専門員も引き続き課題として認識し、検討を深めていく必要があると考える。
そのほか新潟県は「医師少数県」で高齢者を受け入れる医療機関が全国的にみて多くない。県平均での第8期介護保険料が全国平均と比べて高いのに対し、後期高齢者1人当たりの医療費は全国で最も低い(2019年時点)というのはそうした背景もあると考える。こうした地域では、医療ニーズを持つ人を介護サービスで受け止める傾向が強くなっていると思う。
こうしたやむを得ないケースもあるので、一概に良い悪いといえないが、何でも安易に「ロングショート」で対応するのはもちろん好ましくない。多くの高齢者が持つ「住み慣れた地域、自宅に住み続けたい」ニーズに応えていくことが大切だ。小規模多機能などのサービスの普及に伴い、減少はしてきたが、われわれ介護支援専門員も引き続き課題として認識し、検討を深めていく必要があると考える。
そのほか新潟県は「医師少数県」で高齢者を受け入れる医療機関が全国的にみて多くない。県平均での第8期介護保険料が全国平均と比べて高いのに対し、後期高齢者1人当たりの医療費は全国で最も低い(2019年時点)というのはそうした背景もあると考える。こうした地域では、医療ニーズを持つ人を介護サービスで受け止める傾向が強くなっていると思う。
介護保険浸透に不可欠だったケアマネ
当協会の会員はおよそ1150人。主要事業として、県内の介護支援専門員の全法定研修について県からの委託を受けて実施している。介護支援専門員の法定研修は新カリキュラムへの見直しが予定されているが、日本総合研究所がとりまとめた案の内容を確認しながら、県や市町村とどのように進めるべきか協議を始めている。介護支援専門員の研鑽と受講負担の両面に目を配りながら、オンライン実施などを含めて、行政と連携し、より良い形を作りたい。
また私が会長に就任してから力を入れてきた取り組みの一つに、他職種・他団体との連携強化がある。しかし、コロナ禍でこの2年半は合同研修や交流会の開催が難しくなっていた。もちろん状況をみながらではあるが、さらなる多職種連携を求められる中で、改めてしっかりと取り組んでいかなければならない。
さらに今年度は会員支援の事業を新たに立ち上げる予定だ。一つはケアマジメント支援。介護保険制度が始まって20年を超え、現役をリタイヤする会員も出始めている。そうしたベテランケアマネの知見を生かし、会員が利用者のケアマネジメントなどで困ったときに相談でき、アドバイスがもらえる体制をつくる。
もう一つが、介護現場での法律、労務、苦情、カスタマーハラスメントなど。今年1月に埼玉県ふじみ野市で医師が患者の家族に殺害されるという凄惨な事件が起こり、不安や対応に困っているという会員の声も出ている。当協会が介護現場に詳しい弁護士と顧問契約を結び、利用者・家族から受けるハラスメントや苦情についての相談窓口をつくる予定だ。
私はよく、「国の政策で、介護保険は国民皆保険制度以来の大ヒット商品だ」と話している。制度が始まって以来、認定者や利用者数の伸びは高齢者の増加率を大きく上回っている。なぜこれだけ普及したか。一つとして、利用者・家族の相談をワンストップで受け止める介護支援専門員の存在が非常に大きかったと思っている。
これからは、高齢要介護者に止まらず、障がい者や生活困窮者なども含めて、地域がワンストップで受け止める体制がさらに求められていく。私が所属する法人でも、通所介護を共生型として提供したり、法人でフードバンクに取り組みだしたりしている。課題は少なくないが、われわれ介護支援専門員もそうした視点を持って向き合っていかなければならない (談)
また私が会長に就任してから力を入れてきた取り組みの一つに、他職種・他団体との連携強化がある。しかし、コロナ禍でこの2年半は合同研修や交流会の開催が難しくなっていた。もちろん状況をみながらではあるが、さらなる多職種連携を求められる中で、改めてしっかりと取り組んでいかなければならない。
さらに今年度は会員支援の事業を新たに立ち上げる予定だ。一つはケアマジメント支援。介護保険制度が始まって20年を超え、現役をリタイヤする会員も出始めている。そうしたベテランケアマネの知見を生かし、会員が利用者のケアマネジメントなどで困ったときに相談でき、アドバイスがもらえる体制をつくる。
もう一つが、介護現場での法律、労務、苦情、カスタマーハラスメントなど。今年1月に埼玉県ふじみ野市で医師が患者の家族に殺害されるという凄惨な事件が起こり、不安や対応に困っているという会員の声も出ている。当協会が介護現場に詳しい弁護士と顧問契約を結び、利用者・家族から受けるハラスメントや苦情についての相談窓口をつくる予定だ。
私はよく、「国の政策で、介護保険は国民皆保険制度以来の大ヒット商品だ」と話している。制度が始まって以来、認定者や利用者数の伸びは高齢者の増加率を大きく上回っている。なぜこれだけ普及したか。一つとして、利用者・家族の相談をワンストップで受け止める介護支援専門員の存在が非常に大きかったと思っている。
これからは、高齢要介護者に止まらず、障がい者や生活困窮者なども含めて、地域がワンストップで受け止める体制がさらに求められていく。私が所属する法人でも、通所介護を共生型として提供したり、法人でフードバンクに取り組みだしたりしている。課題は少なくないが、われわれ介護支援専門員もそうした視点を持って向き合っていかなければならない (談)
(シルバー産業新聞2022年7月10日号)