第22回 介護支援専門員 実務研修受講試験問題【解答・解説】学校法人 藤仁館学園

保健医療福祉サービス分野(基礎) 一問一答

分野別テスト→

問26

呼吸について適切なものはどれか。2つ選べ。

1高齢者は一般に、若年者と比べ、1回換気量は低下する。

2頻呼吸は、発熱や心不全でもみられる。

3心不全による呼吸困難は、起座位又は半座位で増強し、臥位で軽減する。

4下顎呼吸は、慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者でよくみられる。

5チェーンストークス呼吸では、小さい呼吸から徐々に大きい呼吸となり、その後徐々に小さい呼吸となって、一時的な呼吸停止を伴う呼吸状態を繰り返す。

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正解は…2・5
  1. 高齢者でも1回の換気量は一般成人と比べて違いはない。それに対し、残気量が増えるため、肺活量は低下する。
  2. 左心不全の主要徴候である呼吸困難は、問題文とは逆で、臥位で増強し、起座位又は半座位となると軽減する。
  3. 下顎呼吸は亡くなる前に出る呼吸で、努力呼吸(安静時の呼吸では使用されない呼吸筋も用いて行う呼吸)の一つ。呼吸のたびに喘ぐような呼吸である。下顎呼吸が始まると1 ~ 2時間で亡くなることが多いといわれている。慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者でよくみられるのは、口すぼめ呼吸である。
  4. チェーンストークス呼吸は、脳血管障害、心不全など重症の疾患時にみられる。

問27

食事について適切なものはどれか。2つ選べ。

1摂食・嚥下プロセスの先行期(認知期)は、食べ物を咀嚼する段階である。

2摂食・嚥下プロセスの咽頭期の障害では、胃からの逆流がみられる。

3食事の介護のアセスメントには、福祉用具専門相談員が関わることもある。

4食事の介護のアセスメントには、利用者が調理を行っているかどうかの確認は含まれない。

5食事の介護のアセスメントには、利用者の負担の活動性や睡眠状況も確認する。

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正解は…3・5
  1. 摂食・嚥下のプロセスは、①先行期(認知期)②準備期③口腔期④咽頭期⑤食道期――がある。このとき、食べ物を咀嚼する段階は②準備期である。
  2. 胃からの逆流がみられるのは、⑤食道期の障害である。④咽頭期の障害は、咽頭に食塊が残りやすくなることである。
  3. 食事は「つかむ」「持つ」「運ぶ」といった動作を複雑に繰り返すため、アセスメントには、医師、看護師等、さらに福祉用具専門相談員が関わることがある。
  4. 食事の介護のアセスメントには、①食事のセッティングと摂食動作②調理③食事摂取――がある。したがって、調理を行っているかどうかの確認も含まれる。

問28

睡眠について正しいものはどれか。3つ選べ。

1床に就いてもなかなか眠れないことを、熟眠障害という。

2眠りが浅く、すっきりと目覚められないことを、早期覚醒という。

3かゆみによって睡眠障害が生じることがある。

4薬の副作用によって、夜間に興奮又は覚醒し、不眠になることがある。

5起床時の覚醒水準を高めるケアを行うことで、規則的な排便リズムへの効果が期待できる。

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正解は…3・4・5
  1. 床に就いても、なかなか眠れないのは入眠困難である。
  2. 眠りが浅く、すっきりと目覚められないことを熟眠障害という。
  3. 起床時に就寝中に失われた水分を補給し、洗顔をすることで、覚醒水準を高め、規則的な排便リズムをつくり出す効果も期待できる。

問29

口腔機能や口腔ケアについて正しいものはどれか。3つ選べ。

1摂食・嚥下は、中枢神経と末梢神経により制御されている。

2嚥下反射により、食物が気道に入らないよう気管の入り口が閉鎖される。

3すべての歯を喪失しても、咀嚼能力は低下しない。

4脱落した粘膜上皮細胞も、口臭の原因となる。

5口腔内を清掃する際は、義歯は外さない。

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正解は…1・2・4
  1. すべての歯を喪失することは、咀嚼能力の低下を招き、運動能力の低下にもつながる。
  2. まず義歯を外し、歯が残っている場合は歯ブラシを使用してブラッシングをするなどの口腔ケアを行う。

問30

認知症について正しいものはどれか。3つ選べ。

1抗精神薬が過量だと、意欲や自発性などの低下(アパシー)をきたす場合がある。

2若年性認知症支援コーディネーターは、すべての市町村に配置されている。

3認知症の評価として、長谷川式認知症スケールが用いられている。

4認知症の評価として、Mini-Mental State Examination(MMSE)が用いられている。

5レビー小体型認知症では、幻視はみられない。

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正解は…1・3・4
  1. 認知症治療薬のメマンチン(メマリー)や抗精神病薬が、過量だとアパシーになる場合があり(過鎮静)、薬剤を減量すれば活動性が戻る。
  2. 2016年度から若年性認知症コーディネーターが都道府県に配置された。
  3. 10分程度で検査でき、20点以下で認知症を疑う。
  4. 長谷川式認知症スケールと同様、10分程度で検査でき、23点以下で認知症を疑う。
  5. 最新のレビー小体型認知症の診断基準2017では、①症状の変動②リアルな幻視③パーキソニズム④レム睡眠行動障害――が中核臨床像となっている。

問31

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

1フレイルとは、健康な状態と介護を要する状態の中間的な状態である。

2高次脳機能障害の主な症状には、失行や失認が含まれる。

3心筋梗塞は、冠動脈が破裂して起こる疾患である。

4糖尿病は、肝臓で作られるインスリンの不足によるものである。

5高齢者に多い骨折部位には、大腿骨頸部や胸腰椎が含まれる。

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正解は…1・2・5
  1. 心筋梗塞は、冠動脈の動脈硬化病変の粥種(アテローム)が破綻することにより血管を閉塞して、その結果心筋が壊死し、心臓のポンプ機能が低下する病態である。
  2. インスリンは膵臓で作られる。

問32

次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1自治体によっては、救急車を呼ぶべきかどうかの相談に対応する窓口がある。

2介護保険施設の介護職員であれば、研修を受けなくても、喀痰吸引を行える。

3高齢者によくみられる疾患には、日常の生活機能に障害を引き起こすものが多くある。

4高齢者は、加齢により生体機能が低下しているため、薬剤の副作用が出やすい。

5一次救命処置とは、医師の指示のもとに救急隊員が行う応急処置のことである。

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正解は…1・3・4
  1. 救急受診すべきかどうか迷うようなときには、一般救急相談センター、救急安心センター、救急医療情報センターと呼ばれる自治体が設置しているセンターに電話で相談することができる。
  2. 喀痰吸引は、医行為に該当し、従来は医師法により原則、医師・看護師のみ実施可能だった。2011年に社会福祉士及び介護福祉士法が一部改正され、2012年度からは「一定の研修を受けた」介護職員等が、医療や看護との連携による安全確保が図られていることなどの一定の条件のもとで、喀痰の吸引等の行為を実施できることになった。
  3. 一次救命処置とは、急に異常を起こして倒れたり、けがをしたり、窒息などを起こした人に対して、その場に居合わせた人が、救急隊や医師に引き継ぐまでの間に行う応急手当のことをいう。

問33

高齢者の急変時の対応について適切なものはどれか。 3つ選べ。

1心肺蘇生時の胸骨圧迫は、仰臥位で行う。

2出血量が多い場合は、傷口を清潔なタオルなどで圧迫し、出血部位を心臓の位置より低くする。

3両手足に力が入らず、頸椎損傷が疑われる場合には、極力身体を動かさないようにする。

4服の下をやけどしたときは、服を脱がせて流水で冷やす。

5食物で窒息したときは、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行うこともある。

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正解は…1・3・5
  1. 出血量が多い場合は、出血部位を心臓より高くすると、出血量を減らすことができる。
  2. 服の下をやけどしたときは、皮膚が衣服に貼りついていることがあるので、脱がさず衣服の上から流水を当てて冷やす。

問34

在宅医療管理について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1腹膜透析は、血液透析に比べて食事内容の制限が多い。

2人工的に造設した便や尿の排泄口のことを、ストーマという。

3在宅経管栄養法で栄養剤を注入する際の体位は、座位又は半座位が望ましい。

4在宅酸素療法の利用者が呼吸苦を訴えた場合は、ただちに酸素流量を増やす。

5在宅中心静脈栄養法を実施している利用者が入浴する場合は、特別な配慮が必要である。

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正解は…2・3・5
  1. 腹膜透析のメリットとしては、食事内容の制限が血液透析に比べて緩いことがある。
  2. 酸素流量は、医師の指示で決めるものであり、医師の指示内容の数値を超えて酸素流量を上げてはならない。

問35

老年期うつ病について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1めまい、便秘などの自律神経症状が目立つ。

2脳の器質的疾患は、原因とはならない。

3家族、友人などの喪失体験も発症のきっかけとなる。

4自殺企図の危険性は低い。

5認知症を合併することがある。

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正解は…1・3・5
  1. 老年期うつ病の発症要因として、脳内神経伝達物質の異常、脳の血流障害などがあげられ、脳の器質的疾患も原因となる。
  2. 自殺企図の危険性は高い。
  3. 老年期うつ病の一部は、認知症に移行・合併することがある。

問36

バイタルサインについて、より適切なものはどれ。3つ選べ。

1やせているため体温計を腋窩部に密着できない場合には、腋窩部では正確に体温を測定できない。

2脈の結滞(拍動が欠けること)は、健常高齢者でもよくみられる。

3大動脈疾患の患者の血圧測定は、左右両方の腕で行う。

4呼吸数は、聴診器がないと計測できない。

5パルスオキシメーターは、指先から血液を針で採取して測定する。

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正解は…1・2・3
  1. 呼吸数は1分間の呼吸をカウントすることで計測できる。呼吸による動きは、胸郭、鎖骨、鼻翼などで観察・カウントできる。
  2. パルスオキシメーターは、皮膚の表面から動脈血液の酸素飽和度(SpO2)を測定するためのモニター機器で、採血の必要はない。

問37

検査について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1血清グロブリンは、栄養状態をみる指標として最も有用である。

2脊椎の圧迫骨折で身長が低くなると、BMI(Body MassIndex)は、骨折前と比較して高くなる。

3血中尿素窒素(BUN)は、肥満の程度を示す。

424時間心電図(ホルター心電図)の検査中は、臥床している必要がある。

5C反応性たんぱく質(CRP)は、感染症で高値になることが多い。

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正解は…2・5
  1. 栄養状態をみる指標は、血清アルブミンである。血清グロブリンは、「総蛋白-血清アルブミン」の計算式で算出される。異常値の場合、免疫不全症などが疑われる。
  2. 血中尿素窒素(BUN)は、肥満の程度を示すのではなく、腎機能が悪くなると高値になる。
  3. 臥床する必要はない。心電図記録器装着後は普段通りの生活ができる。

問38

次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1インフォームド・コンセントは、治療に関わるものなので、検査には必要とされない。

2認知機能が低下している場合には、本人への治療方法の説明は省略する。

3指定居宅介護支援事業所は、あらかじめ、利用者又はその家族に対し、入院する場合には、担当の介護支援専門員の氏名及び連絡先を入院先に伝えるよう求めなければならない。

4認知症高齢者では、生活や療養の場所が変わることが心身の状況に悪影響を及ぼすおそれがある。

5入院時情報連携加算は、指定居宅介護支援事業者が、その利用者が入院した医療機関に対し、ファックス等で情報提供した場合でも算定することができる。

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正解は…3・4・5
  1. 患者は検査によって生じる利益と不利益をしっかり理解したうえで、検査を受けるか否かを決定する権利がある。そのため、検査前に患者に対する検査の必要性の説明と同意の取得(インフォームド・コンセント)は必須である。
  2. インフォームド・コンセントに基づく治療を行う必要がある。認知機能が低下している高齢者では、治療がどのようなものであるか、どのような努力や我慢が必要となるのかなど、より具体的に説明して理解を助ける必要がある。
  3. 2017年改正で位置づけられた。
  4. リロケーション・ダメージといわれる。

問39

感染症について適切なものはどれか。2つ選べ。

1標準予防策(スタンダード・プリコーション)は、全ての人の体液や排泄物等に感染性があると考えて取り扱うことである。

2インフルエンザに罹患した者が職場に復帰する場合は、治癒証明書を提出する法的な義務がある。

3ウイルス性肝炎は、飛沫感染する。

4ノロウイルス感染者の便や吐物には、ノロウイルスが排出される。

5高齢者は、肺炎球菌ワクチンを毎年摂種しなければならない。

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正解は…1・4
  1. 法的な義務はない。また、以下のような指針が厚生労働省より出ている。「診断や治癒の判断は、診察に当たった医師が身体症状や検査結果等を総合して医学的知見に基づいて行うものである。インフルエンザの陰性を証明することが一般的に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくない」(厚生労働省「季節性インフルエンザの対策について」2018年)
  2. 飛沫感染するウイルス性肝炎はない。
  3. 予防接種法政省令の改正により、肺炎球菌ワクチンは2014年から定期接種に導入された。ただし、現在のところ、一人につき、1回のみの接種となっている。

問40

高齢者の疾患の特徴として、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1慢性の疾患が多い。

2加齢に伴う個人差は少ない。

3一人で多くの疾患を併せもっている。

4予後は社会的要因に影響されない。

5症状は非定型的であることが多い。

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正解は…1・3・5
  1. 個人差は大きい。
  2. 高齢者の予後は医療のみならず社会的要因により大きく影響される。
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