ニュース

パラマウントベッド×陽と人 働く更年期女性の7割が不眠症状

パラマウントベッド×陽と人 働く更年期女性の7割が不眠症状

 パラマウントベッド(東京都江東区、木村友彦社長)と「陽と人」(ひとびと)(福島県国見町、小林味愛社長)は2月1日、2023年度経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の採択事業で協業実施した「働く更年期女性の不調改善と職場での男性のサポート体制構築実証事業」の研究結果を発表した。

 更年期症状の実態について、両社は働く40~59歳の女性200人にアテネ不眠尺度を用いて不眠度を調査したところ、約7割が不眠症の可能性があることが判明。うち医師の診察が必要とされる「更年期症状が重い人」の全員が「寝つきが悪い、または眠りが浅い」「疲れやすい」といった症状を持っていた。

 また、更年期の症状がある人でセルフケアをしている人ほど、更年期や不眠症状の理解度も高いとの結果に。パラマウントベッド睡眠研究所の塩貝有里氏は「更年期や不眠の症状を把握するだけでは改善にはならない。具体的なソリューションを提供することが大切」と強調する。

 実証事業では更年期の不調を抱えながら働く女性(40~59歳)30人へ「更年期不調改善プログラム」を提供。①動画視聴による更年期の学習②睡眠計測③更年期・睡眠カウンセリング(各2回)④カウンセラーと相談し、セルフケアの実施――について、①・②のみ取組むA群、①~④に取組むB群に分け、セルフマネジメント力の効果を測定した。

 睡眠計測にはパラマウンドベッドのシート型睡眠計測センサーを活用。最低1週間の睡眠データをもとに、カウンセリングで睡眠、生活習慣の改善に向けたリラックス法や運動、睡眠リズムの整え方等を伝える。

 結果は、B群の93%が更年期の不調について「改善効果があった」と回答。セルフマネジメント力や不眠についてもB群の改善傾向が高かった。睡眠に関してはカウンセリング実施後に中途覚醒や離床が減少するほか、起床時間が一定になるなど、睡眠の効率が高くなった事例も。

 一方で、多くの女性が「セルフケアをする時間や余裕が不足している」とし、課題も浮かび上がった。

 同事業でカウンセリングを務めた更年期カウンセラーの吉川千明氏は「私自身、中途覚醒や首・肩こり、腰痛、指の痛み、精神面の不安定などの症状があった。仕事も生活も本当につらかった。いろんな病院に行っても解決せず、最終的に産婦人科でホルモンの影響による更年期症状だと分かった」と自身の経験も踏まえ、周りの多くの人に、つらさを伝えていくことも大切だと話す。
 パラマウントベッド経営企画本部事業戦略部の大槻朋子マネージャーは「来期以降も研究を続け、健やかに安心して暮らせるプログラムを作っていく。多くの企業や自治体と一緒に取り組みたい」と呼びかけた。22年の総務省労働力調査によると、日本の働く女性(約3000万人)のうち45~54歳の更年期世代が占める割合は4分の1。また、「更年期と仕事に関する調査2021」(NPO法人POSSE)では、更年期症状が仕事に影響したという女性は推計75.3万人にのぼる。

 さらに、日本の女性管理職比率は13.2%とアメリカ41.1%、イギリス36.8%、シンガポール38.9%など他国よりも低い(内閣府調べ)。陽と人の小林社長は「更年期の不調が、女性が仕事などで活躍するときの障害にならないよう、課題解決に取り組んでいく」と述べた。
(シルバー産業新聞2024年3月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル