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医療法人社団やまと 在宅生活に不可欠な診療アシスタント

医療法人社団やまと 在宅生活に不可欠な診療アシスタント

 医療法人社団やまと(田上佑輔理事長)が運営するやまと在宅診療所は2013年に登米市で開院。現在県内6カ所・岩手1カ所・神奈川2カ所・高知1カ所で運営する。地域住民や行政、多様な担い手を巻き込み、在宅患者を面で支える全員参加型医療「オープン・メディカル・コミュニティ」を掲げる。

 その特徴の一つが診療アシスタントの存在。訪問診療時には医師、看護師と同行し、物品管理等の業務に加え、患者・家族との対話を通じて生活の目標や課題を見つける重要なポジションだ。資格は不問で、地元の出身者を積極的に採用。ケアマネジャーや介護現場の経験者もいれば、地元の郵便局員や飲食店のオーナーだった人もいる。

 患者約400人を支える登米診療所の佐藤和輝医師は「方言や風土感など、患者に最も近い存在。本人がどう過ごしたいかを汲み取る、ナラティブな役割を担う」と説明。在宅医療に最も大切な、自宅で過ごす環境を整えるために欠かせない存在だと話す。

 同診療所の患者のうち、自宅での看取りは8割以上。「診療アシスタントが在宅医療の普及・啓発に努めてきた結果でもある。地域のケアマネジャーなどと顔見知りの関係も強く、勉強会・意見交換会の発案も積極的。在宅医療という選択肢が根付いてきている」(佐藤氏)

「循環型医療」で新しい働き方

 やまと在宅診療所では「持続可能な医療」として、都市部からでも地域医療に携わる「循環型医療」に取組んでいる。具体的には、診療所を新幹線の駅からアクセスしやすい場所に立地。仙台や東京からの通勤を可能にすることで、地域の医師不足への一策としている。
佐藤和輝医師

佐藤和輝医師

 佐藤氏も仙台から片道1時間の通勤。患者等の情報はモバイル端末で常時共有しているため、緊急時の連絡も受けやすい。平日は現地に泊まり、週末は東京の自宅に帰る医師もいるそうだ。「大学卒業・研修後は、多くは都市部の大学病院または大病院で約4年間、専門性を磨く。一人前になる30歳頃には結婚し、その地で生活基盤を築くと、そこから移住するのはハードルが高い」と佐藤氏。「地域医療に興味を持つ医師は増えてきている。病院勤務で週1日だけこちらへ研修に来るといった働き方も可能になる」と述べる。

(シルバー産業新聞2024年3月10日号)

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