第22回 介護支援専門員 実務研修受講試験問題(3月実施分)【解答・解説】学校法人 藤仁館学園

保健医療福祉サービス分野(基礎) 一問一答

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問26

高齢者に多い症状・疾患について正しいものはどれか。3つ選べ。

1加齢黄斑変性では、進行すると視力が失われる恐れがある。

2高齢者のめまいは、内耳の障害のほか、血圧のコントロール不良、脳腫瘍などが原因となることがある。

3高齢者の難聴では、感音性難聴が多い。

4心房細動では、心内で形成された血栓による脳梗塞は発症しない。

5服用する薬剤数が多くても、副作用のリスクは増大しない。

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正解は…1・2・3
  1. 高齢者の心房細動では心内血栓が形成されやすく、血栓がはがれて脳血管をふさぐこと(心原性脳塞栓)により、脳梗塞をきたすことが多い。
  2. 高齢者は一人で多くの病気をもっているケースが多いため、服用する薬剤の数も必然的に多くなる。このような状態を多剤併用(ポリファーマシー)という。薬剤の数が多くなればなるほど、有害作用(副作用)の発現する頻度が高くなる。

問27

高齢者のてんかんについて、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1初回発作後の再発率は、低い。

2発作の間は、誤嚥を予防するための対応をする。

3意識障害、しびれ、発汗、けいれんなど多様な症状を呈する。

4最も多い原因は、脳腫瘍である。

5治療は、放射線療法により行う。

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正解は…2・3
  1. 初回発作後の再発率は高い。
  2. 最も多い原因は脳血管障害である。
  3. 治療は抗てんかん薬による治療効果が中心である。薬物療法を受けた患者の80~90%で発作が消失ないし抑制できる。

問28

認知症について適切なものはどれか。2つ選べ。

1中核症状には、記憶障害、見当識障害などがある。

2BPSD(認知症の行動・心理症状)の悪化要因として最も多いのは、家族の不適切な対応である。

3認知症患者の精神科病院への措置入院は、精神保健指定医ではない主事の医師による診断のみでも、緊急時においては可能である。

4若年性認知症患者が入院に依る精神医療を必要とする場合には、自立支援医療の対象となる。

5認知症初期集中支援チームは、認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を複数の専門職が訪問し、アセスメント、家族支援などの初期の支援を包括的、集中的に行う。

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正解は…1・5
  1. BPSDの悪化要因は、薬剤、居住環境、体調、家族の対応、介護サービス、不安・喪失感・心配事など、多様であり、また、本人の個性、脳病変、合併症、地域・文化、ライフヒストリーによっても影響を受ける。したがって、認知症患者を一括りにして、「悪化要因として最も多いもの」を単純に「家族の不適切な対応」とは結論できない。
  2. 措置入院は、精神保健指定医2名以上の診断の結果が一致した場合でなければ行えない。緊急措置入院ならば1名でも可能であるが、その場合も精神保健指定医である必要がある。
  3. 自立支援医療は指定された医療機関での通院が対象になる。

問29

皮膚疾患について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1薬疹は、長期間服用している薬剤により生じることはない。

2寝たきりで関節拘縮のある場合には、特定の部位に圧力が集中して褥瘡が生じやすいので、耐圧分散寝具を使用するのがよい。

3皮脂欠乏症では、患部を清潔に保つことが悪化予防になることから、ナイロンタオルを使ってよく洗う。

4白癬は家族内で感染することはまれであるため、爪切りやスリッパなどは共用しても差し支えない。

5脂漏性湿疹では、患部を清潔に保つほか、抗真菌薬などを使用する。

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正解は…2・5
  1. 長期間服用していた薬剤によっても薬疹は生じる。
  2. 皮脂欠乏症では、皮脂を取り除きすぎないことが重要である。石けんは泡をつけたタオルや手で軽くこするようにし、ナイロンタオルやたわしなどは使わない。
  3. 爪白癬の人の爪を切った爪切りや、素足で履くスリッパ、風呂場の足拭きマットなどは共用しない。

問30

次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。

1喫煙は、皮脂異常症、高血圧症とともに虚血性心疾患のリスクファクターである。

2健康日本21(第二次)では、健康寿命の延伸だけでなく、健康格差の縮小も目標に掲げている。

3老年期うつ病では、対人関係で攻撃性が増すため、自死を図ることは稀である。

4老年発症型のアルコール依存症では、家族歴や遺伝的要因を有することが多い。

5老年期のアルコール依存症では、離脱症状が遷延しやすい。

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正解は…1・2・5
  1. 老年期うつ病では、自死を図ることは稀ではない。例えば、老年期うつ病がひどくなると、不治の病にかかったという内容の妄想(心気妄想)をもち、自死を図ることがある。
  2. 家族歴や遺伝的要因を有することが多いのは若年発症型のアルコール依存症である。高齢発症型のアルコール依存症の発症要因は老化によるアルコール耐性の低下などの生物学的要因が挙げられ、飲酒促進契機として、死別、退職といったライフイベントが契機になりやすい。

問31

検査について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1ヘモグロビンA1cの値は、過去1~2か月の血糖レベルを反映している。

2大動脈疾患や進行した動脈硬化の場合は、左右の上肢で血圧に差がみられることがある。

3ノロウイルス感染症では、下痢などの症状がなくなれば、感染力もなくなる。

4CRP(C反応性たんぱく質)は、感染症以外に、悪性腫瘍や膠原病でも高値になる。

524時間心電図(ホルター心電図)検査は、医療者による継続的な観察が必要な、入院して実施しなければならない。

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正解は…1・2・4
  1. ノロウィルスでは、下痢などの症状回復後でも1週間程度、長い場合は1か月に渡って便中にウイルスが排泄され、感染力が保たれる。
  2. ホルター心電図は、小型の心電図記録装置を身につけて、自宅などで日常生活のなかで心電図を記録し、解析する検査であり、必ずしも入院は必要ない。

問32

薬剤に関する次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。

1パーキンソン病の治療薬であるドーパミン製剤は、服用を突然中止すると、高熱、意識障害、著しい筋固縮などを呈する悪性症候群を生じる恐れがある。

2高齢者は腎機能が低下しているため、薬の副作用が減弱することが多い。

3胃ろうから薬剤を注入する際には、それぞれの薬剤について、錠剤を粉砕したり、微温湯で溶解させたりしてよいか、確認する必要がある。

4口腔内で溶けるOD(Oral Disintegrant)錠は、口腔粘膜からそのまま吸収される薬剤である。

5症状が消失すると内服を自己判断でやめてしまう場合があるため、内服状況を確認する必要がある。

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正解は…1・3・5
  1. 高齢者は腎機能が低下しているため、薬の副作用が増強することが多い。
  2. OD錠は口腔内で水なしで崩壊し、高齢者や嚥下困難な患者が飲みやすい錠剤である。しかし、バッカル錠のように口腔粘膜から吸収される薬剤ではなく、胃や小腸で吸収される。

問33

次の記述について正しいものはどれか。2つ選べ。

1胃ろうがある場合には、原則として、入浴は禁止されている。

2終末期においては、嚥下機能が低下して肺炎を起こしやすいので、口腔ケアは行わない。

3膀胱留置カテーテル使用中は、尿路感染を予防するため、毎日膀胱洗浄を行う。

4糖尿病の内服治療をしている者では、インスリン注射をしていなくても、低血糖の症状に留意する必要がある。

5認知症治療薬には、錠剤以外にも経皮吸収型などがあり、経口内服が困難な高齢者でも使用が可能である。

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正解は…4・5
  1. 胃ろうがあっても入浴は可能である。
  2. 終末期においては、誤嚥性肺炎の予防のため、嚥下状態や口腔内の状況を定期的に観察し、口腔ケアを習慣化する。
  3. 治療上必要な場合以外、膀胱洗浄は避ける。

問34

在宅医療について正しいものはどれか。2つ選べ。

1インスリンの自己注射の効果は、体調不良時(シックデイ)には強く出ることもある。

2悪性腫瘍の疼痛管理のための麻薬の投与経路には、経口、経皮、経腸、注射がある。

3人工透析を行っている場合には、シャント側で血圧測定を行う。

4侵襲的陽圧換気法(IPPV)による人工呼吸は、マスクを装着して行われる。

5酸素マスクによる在宅酸素療法は、鼻カニューレによるものに比べて、食事や会話がしやすいのが特微である。

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正解は…1・4
  1. シャント側の腕で血圧を測らないよう注意しなければならない。
  2. 侵襲的陽圧換気法(IPPV)は一般的に気管切開を伴う。マスクを装着する人工呼吸療法は、非侵襲的陽圧換気法(NPPV)である。
  3. 酸素マスクによる在宅酸素療法は、鼻から口にかけて、マスクで覆われるので、食事や会話はしにくい。むしろ、鼻カニューレによる酸素療法の方が、食事や会話はしやすい。

問35

次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。

1自己腹膜灌流法(CAPD)による人工透析は、血液透析に比べて、通院回数が少なくて済む。

2終末期にある者には、効果が期待できないため、リハビリテーションは実施されない。

3気管切開をしている場合でも、スピーチカニューレの使用により発生は可能である。

4慢性閉塞性肺疾患(COPD)により呼吸機能が低下している場合でも、インフルエンザワクチンの接種は推奨される。

5在宅酸素療法は、入院しなければ導入できない。

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正解は…1・3・4
  1. リハビリテーションの流れのなかに、終末期リハビリテーションがある。終末期リハビリテーションの目的として、利用者に最後まで自分の人生を全うしてもらうために行われ、生活の質の維持、肉体的・心理的苦痛の軽減、精神的効能などの効果が挙げられる。
  2. 入院して導入する方法もあるが、外来通院中に導入することも可能である。

問36

高齢者の転倒について適切なものはどれか。3つ選べ。

1要介護高齢者が短期間に複数回転倒した場合には、再度転倒する可能性が高いため、総合的にアセスメントを行い、対策を検討する必要がある。

2転倒を繰り返す介護施設入所者については、向精神薬などの薬物を用いて動けないように行動を制限する。

3転倒により頭部を強く打った場合には、数時間様子をみて、意識障害などがなければ、それ以上の経過観察は要らない。

4高齢の女性は、骨粗鬆症が多いので、転倒により骨折を起こしやすい。

5夜間の排尿行動や不穏状態で転倒することが多い。

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正解は…1・4・5
  1. 介護保険施設では、身体拘束が禁止されている。向精神薬を用いて行動を抑制・制限することは身体拘束に該当する。
  2. 頭部を強く打った場合、確かに最初の6時間に変化が起こる場合が多い。しかし、12時間後、24時間後、時には2、3日後に変化が起こる場合もあるので経過観察が必要である。また、高齢者は頭部を打ったあと、慢性硬膜下血腫を発症する頻度が小児・若年者に比べ高いので、やはり経過観察が必要である。

問37

リハビリテーションについて適切なものはどれか。3つ選べ。

1通所リハビリテーション計画は、主治の医師が作成しなければならない。

2回復期リハビリテーションでは、機能回復、ADLの向上及び早期の社会復帰を目指す。

3指定訪問リハビリテーションとは、病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院から理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が居宅を訪問して行うリハビリテーションをいう。

4変形性膝関節症の発症リスクは、減量をしたり、大腿四頭筋等の筋力を鍛えたりしても、低下しない。

5左片麻痺でみられる半側空間失認に対しては、失認空間に注意を向けるリハビリテーションを行う。

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正解は…2・3・5
  1. 「医師及び理学療法士、作業療法士その他専ら指定通所リハビリテーションの提供に当たる通所リハビリテーション従業者は、共同して、通所リハビリテーション計画を作成しなければならない」(居宅サービス等の運営基準 第115条第1項)
  2. 変形性膝関節症の発症リスクは、食事改善による減量や大腿四頭筋を強化する運動によって低下する。

問38

排泄について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1腹圧性尿失禁には、骨盤底筋訓練よりも膀胱訓練が有効である。

2便失禁は、全て医学的治療を要する。

3ポータブルトイレについては、理学療法士等の多職種と連携し、日常生活動作に適合したものを選択する。

4日常生活動作の低下による機能性失禁では、排泄に関する一連の日常生活動作の問題点を見極めることが重要である。

5排便コントロールには、排便間隔を把握し、食生活や身体活動等を含めた生活リズムを整えることが大切である。

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正解は…3・4・5
  1. 腹圧性尿失禁には骨盤底筋訓練など骨盤底筋群の筋力を高めることが有効である。膀胱訓練は切迫性尿失禁に有効。
  2. 医学的治療と、食事・生活・排便習慣指導がある。食事・生活・排便習慣指導では、食物繊維をとることで便の状態をよくする、アルコールやカフェインなど下痢の原因となる飲み物を控える、外出前や就寝前などに排便しておくなどが挙げられる。

問39

災害対応について適切なものはどれか。2つ選べ。

1福祉避難所の対象は、高齢者や障害者など避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者であり、その家族は含まない。

2災害時においても、個人情報保護の観点から、要援護者の個人情報の提供及び共有は、行うことができない。

3災害時の課題である生活不活発病は、活動低下により身体機能が低下した状態をいい、要介護者のみに生じる。

4深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)を予防するためには、定期的に体を動かし、十分に水分を摂るようにする。

5人工呼吸器等電源を必要とする医療機器使用者の停電時の対応については、平時より、主治の医師等と話し合い、対応を決めておく。

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正解は…4・5
  1. 福祉避難所の対象者は、高齢者や障害者など、避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者だけでなく、その家族も含まれる。
  2. 「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取扱方針(内閣府:2013年8月)」で、避難行動支援者名簿登録を推奨し、専門職のみならず、地域住民とも個人情報を共有することとしている。また、平常時から名簿情報を広く支援関係者に提供することを説明し、意思確認を行うことも必要である。
  3. 災害時の新たな課題である生活不活発病は、動かない(生活が不活発な)状態が続くことにより、心身の機能が低下して動けなくなることをいう。要介護者に限らず高齢者は、環境の変化により動きにくくなり、動かないことでますます生活不活発病を進行させてしまうため、早期に対応することが大切である。

問40

次の記述について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1がんの発症頻度は、年齢とともに高くなる傾向になる。

2臨死期には、死前喘鳴がみられることがあるが、首を横に向ける姿勢の工夫で軽減することもある。

3臨死期には、顎だけで呼吸する下顎呼吸状態となる場合があるが、しばらくすると正常な呼吸に戻る。

4呼吸困難や疼痛に対しては、到着のほか、安楽な体位やマッサージなどで苦痛の緩和を図る。

5高齢者のがんに対しては、侵襲性の高い手術療法は行うべきではない。

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正解は…1・2・4
  1. 死前喘鳴のときは、首が横に向く姿勢だと、ゴロゴロという音が減ることがある。
  2. 下顎呼吸とは、呼吸の際に胸部や腹部を動かす力が失われ、肩や顎だけが動くようになることである。最終的には、顎だけが弱々しく動く呼吸になる。下顎呼吸は呼吸が止まる間際のものであり、臨終が近く、正常な呼吸には戻らない。
  3. 高齢者のがんでは身体機能の個人差が大きいため、外科手術のように人体に大きな影響を与える侵襲性の高い治療を行う場合には慎重に選択する必要がある。しかし、高齢者のがんにおいて、手術療法を完全に否定するものではない。
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