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【15年改定検証】定期巡回・随時対応型訪問介護看護

【15年改定検証】定期巡回・随時対応型訪問介護看護

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は16年4月審査分の費用額が22.4億円。報酬改定前の前年同月比49.8%増と、伸び率は全サービス中、看多機に次いで2番目に高い。1人あたり費用額は16万2400円で前年同月比9.7%増。利用者は1万3900人。また16年4月の事業所数は869事業所(一体型335、連携型534)で、前年同月と比べ188事業所増となっている。

 15年改定では総合マネジメント体制強化加算(月1000単位)の新設のほか、通所介護などのサービス利用時の減算額を軽減、オペレーターの配置基準などが緩和された。一方で、同一建物利用者へのサービス提供は減算が適用されるよう見直されている。

 24時間在宅ケア研究会(冨永健司理事長)が昨年度、全684事業所を対象に行った悉皆調査(回答率29.7%)では、定期巡回サービス事業所の平均利用者数は16.6人(15年10月末時点)。要介護度別では要介護1が最も多く25.3%と4分の1を占め、要介護2までで半数近くを占める。利用者世帯状況は7割近くが独居だった。

 事業所を類型別にみると全利用者が集合住宅以外に居住する「地域型」は43.5%、全利用者が併設の集合住宅に居住する「集合住宅(併設)型」が21.5%。利用者1人に対する定期訪問回数は地域型が1日2.0回に対し、併設型は5.9回。1人当たり随時訪問回数も地域型1日0.1回に対し、併設型0.5回とそれぞれ訪問回数は併設型が上回っている。

 利用者からのコールを受けるオペレーターの保有資格を複数回答で尋ねたところ96.5%が介護福祉士資格の保有者で、看護師・准看護師38.5%、ケアマネジャー34.5%と続く。また15年改定では複数の事業所のオペレーター機能を集約し、通報を受け付ける業務形態が認められるようになった。法人内の事業所で集約している割合は39.0%。他法人の事業所と集約していると答えた事業所も1.5%あった。

利用者の変化に応じてサービスを切り替え

 同調査では、営業利益率5%以上の事業所は15.5%、0%以上5%未満が29.0%。一方、0%未満は40.5%で赤字経営になっている事業者も4割ある。さらに類型別とのクロス集計でみると、営業利益率0%未満は併設型30.6%、地域型44.4%と、地域型がより厳しい経営状況にあることがうかがえる。

 しかし、同研究会理事で、定期巡回事業所を運営する志真会(天笠寛理事長)の理事長補佐を務める津金澤寛氏は「実態としては、1事業所で定期巡回以外に訪問介護、さらに夜間対応型訪問介護の指定を受けているケースもある」と説明する。つまり単独サービスでみれば赤字でも、事業所として収支があえばよいという考え方だ。「兼務で人員を効率的に配置できるため、特に地域型の定期巡回事業所では安定経営のための定石といっていい」と津金澤氏は指摘する。
 志真会でも同一事業所で定期巡回、訪問介護、夜間対応型訪問介護の3サービスの指定を受け、それぞれのサービスを提供している。定期巡回の利用者は30人前後。

 例えば従来の訪問介護の利用者が、何らかの事情で独居になってしまい、夜間対応のニーズが出てくれば夜間対応型訪問介護を組み合わせる。さらに日中も万が一に備えたいなら、夜間対応型の「24時間通報対応加算」で緊急時に駆け付けることができる。重度化が進み、いよいよ出来高サービスでは対応が困難ということであれば、定額報酬の定期巡回サービスに切り替える。

 逆に退院直後の利用者には定期巡回サービスからスタートし、サービス量を確保。安定してきたら訪問介護などに切り替えるケースもある。「利用者の生活や状態に合わせて、サービスを適宜切り替え、在宅生活を支え続けることができる」と津金澤氏。複数の指定を受けることが経営面だけでなく、利用者本位の柔軟なサービスに繋がっていると強調する。

(シルバー産業新聞2016年8月10日号)

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