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第23回 介護支援専門員 実務研修受講試験問題【解答・解説】学校法人 藤仁館学園
介護支援分野 一問一答
問1
2017(平成29)年度末における全国の要介護(要支援)認定者数の状況として正しいものはどれか。2つ選べ。
1要介護(要支援)認定者のうち、約1割が第2号被保険者である。
2女性の要介護(要支援)認定者数は、男性の認定者数の約2倍である。
3要介護(要支援)認定者数は、前年度末に比べ、第1号被保険者、第2号被保険者ともに増加している。
4要介護(要支援)状態区分別でみると、認定者数が最も多いのは、要介護1である。
5第1号被保険者に占める要介護(要支援)認定者の割合は、25%を超えている。
問2
要支援者が利用できるサービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。
1認知症対応型共同生活介護
2認知症対応型通所介護
3看護小規模多機能型居宅介護
4地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
5小規模多機能型居宅介護
問3
近年の高齢者や介護に関する状況の説明として適切なものはどれか。3つ選べ。
1介護を要する高齢者を高齢者が介護する「老老介護」が増加している。
280代の親と50代の子が、ひきこもりなどの困難を抱えつつ社会的に孤立している「8050問題」が顕在化している。
3育児と介護を同時に行う、いわゆる「ダブルケア」が問題となっている。
4介護職員の離職率の増加が、「介護離職」として問題となっている。
5人口の半数以上を55歳以上の者が占める集落を「限界集落」という。
問4
介護保険制度における都道府県の事務として正しいものはどれか。2つ選べ。
1財政安定化基金の設置
2地域支援事業支援交付金の交付
3第2号被保険者負担率の設定
4介護保険審査会の設置
5介護給付費等審査委員会の設置
問5
2017(平成29)年の介護保険制度改正について正しいものはどれか。3つ選べ。
1改正の趣旨は、地域包括ケアシステムの強化である。
2共生型居宅介護支援を創設した。
3市町村介護保険事業計画に、自立支援、介護予防・重度化防止等への取組を記載することとした。
4施設サービスとして、介護医療院サービスを追加した。
5第1号被保険者の保険料に総報酬割を導入した。
問6
介護保険法第2条に示されている保険給付の基本的考え方として正しいものはどれか。3つ選べ。
1要介護状態等の維持又は悪化の予防に資するよう行われる。
2被保険者の選択に基づく。
3総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行わなければならない。
4快適な日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
5被保険者の要介護状態等に関し、必要な保険給付を行う。
問7
介護サービスに係る利用者負担が高額となった場合の取扱いについて正しいものはどれか。3つ選べ。
1高額介護サービス費の負担上限額は、被保険者の家計に与える影響を考慮して、段階的に設定されている。
2高額介護サービス費の負担上限額を超えた利用料は、常に現物給付となるため、利用者が直接事業者に支払う必要はない。
3高額介護サービス費は、世帯単位で算定される。
4施設介護サービス費に係る利用者負担は、高額介護サービス費の対象となる。
5高額医療合算介護サービス費は、医療保険から支給される。
問8
特定入所者介護サービス費の支給について正しいものはどれか。3つ選べ。
1対象となる費用は、食費と居住費(滞在費)である。
2負担限度額は、所得の状況その他の事情を勘案して設定される。
3対象となるサービスには、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は含まれない。
4対象となるサービスには、特定施設入居者生活介護は含まれない。
5対象者には、生活保護受給者は含まれない。
問9
定率の利用者負担を市町村が減免する場合として正しいものはどれか。2つ選べ。
1要介護被保険者の要介護度が著しく悪化した場合
2要介護被保険者の属する世帯が住民税非課税世帯になった場合
3要介護被保険者が災害により住宅に著しい損害を受けた場合
4要介護被保険者と同居する家族が心身に重大な障害を受けた場合
5要介護被保険者の属する世帯の生計維持者の収入が冷害による農作物の不作により著しく減少した場合
問10
通所によるサービスについて正しいものはどれか。3つ選べ。
1指定地域密着型通所介護では、機能訓練を行う必要はない。
2指定介護予防通所リハビリテーションでは、医師等の従業者により介護予防通所リハビリテーション計画の実施状況の把握が行わなければならない。
3介護予防・日常生活支援総合事業における通所型サービスは、市町村の保健・医療専門職による運動器の機能向上に限定して実施される。
4共用型指定認知症対応型通所介護は、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間や食堂を活用して行うことが認められている。
5指定療養通所介護は、難病等を有する重度要介護者又はがん末期の者のうち、常時看護師による観察が必要な者を対象者とする。
正解は…2・4・5
- 地域密着型通所介護の定義について、「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと」と定められており、機能訓練を行うことは必須である(法第8条第17項)
- 「医師等の従業者は、介護予防通所リハビリテーション計画に基づくサービスの提供の開始時から、少なくとも1月に1回は、当該介護予防通所リハビリテーション計画に係る利用者の状態、当該利用者に対するサービスの提供状況等について、当該サービスの提供に係る介護予防サービス計画を作成した指定介護予防支援事業者に報告するとともに、当該介護予防通所リハビリテーション計画に記載したサービスの提供を行う期間が満了するまでに、少なくとも1回は、当該介護予防通所リハビリテーション計画の実施状況の把握を行うものとする」(介護保険法に基づき指定介護予防サービスの事業の設備及び運営に関する基準等を定める条例第124条10)
- 問題文は通所型サービスC(専門職による短期集中予防サービス)。ほかに通所型サービスは、通所介護(介護予防通所介護と同様のサービス)、通所型サービスA(緩和した基準によるサービス)、通所型サービスB(住民主体による支援)などがある
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第45条第1項等
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第38条
問11
介護保険料について正しいものはどれか。2つ選べ。
1普通徴収による第1号被保険者の保険料については、その配偶者に連帯納付義務がある。
2第1号被保険者の保険料に係る特別徴収は、社会保険診療報酬支払基金が行う。
3国民健康保険に加入する第2号被保険者の保険料は、都道府県が徴収する。
4所得段階別定額保険料の所得区分は原則として9段階であるが、市町村の条例でさらに細分化することができる。
5第2号被保険者負担率は、市町村が条例で定める。
問12
介護給付及び予防給付に要する費用について正しいものはどれか。3つ選べ。
1国の負担分は、すべての市町村について同率である。
2費用の総額は、公費と保険料によりそれぞれ50%ずつ賄われる。
3市町村の一般会計における負担分は、すべての市町村において同率である。
4第2号被保険者の保険料負担分は、各医療保険者から各市町村に交付される。
5保険料負担分の総額は、すべての市町村に係る第1号被保険者と第2号被保険者のそれぞれの見込数の総数の割合で按分される。
問13
介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針について正しいものはどれか。3つ選べ。
1地域支援事業の実施に関する基本的事項を定める。
2都道府県知事が定める。
3変更に当たっては、市町村長と協議しなければならない。
4地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する総合確保方針に即して定める。
5介護給付等対象サービスを提供する体制の確保に関する基本的事項を定める。
問14
地域支援事業の任意事業として正しいものはどれか。2つ選べ。
1地域リハビリテーション活動支援事業
2家族介護支援事業
3在宅医療・介護連携推進事業
4地域ケア会議推進事業
5介護給付等費用適正化事業
問15
介護保険審査会への審査請求が認められるものとして正しいものはどれか。2つ選べ。
1要介護認定に関する処分について不服がある被保険者
2介護報酬の審査・支払について不服がある介護サービス事業者
3保険料の滞納処分について不服がある被保険者
4財政安定化基金拠出金への拠出額について不服がある市町村
5居宅介護支援事業者から支払われる給与について不服がある介護支援専門員
問16
介護保険に関して市町村が有する権限について正しいものはどれか。3つ選べ。
1被保険者の保険料に関し、被保険者の収入について調査する。
2住宅改修を行う者に対し、文書の提出を求める。
3介護給付費・地域支援事業支援納付金の算定のために、医療保険者から報告を徴収する。
4被保険者に対する老齢等年金給付の支給状況について、年金保険者に対し資料の提供を求める。
5介護サービス情報について、指定居宅サービス事業者を調査する。
問17
被保険者の要介護認定を市町村が取り消すことができる場合として正しいものはどれか。2つ選べ。
1正当な理由なしに、介護給付等対象サービスの利用に関する指示に従わないことにより、要介護状態の程度を増進させたとき
2要介護者に該当しなくなったと認めるとき
3正当な理由なしに、市町村による文書の提出の求めに応じないとき
4災害などの特別の事情がある場合を除き、1年間介護保険料を納付しないとき
5正当な理由なしに、職権による要介護状態区分の変更認定を行うための市町村による調査に応じないとき
問18
介護認定審査会について正しいものはどれか。3つ選べ。
1審査及び判定の結果を申請者に通知する。
2委員は、要介護者等の保健、医療又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから任命される。
3要介護認定の有効期間を定める。
4必要があると認めるときは、主治の医師の意見を聴くことができる。
5委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
問19
要介護認定に係る主治医意見書について正しいものはどれか。3つ選べ。
1主治医意見書の項目には、社会生活への適応が含まれる。
2主治医意見書の項目には、認知症の中核症状が含まれる。
3主治医意見書の項目には、サービス利用による生活機能の維持・改善の見通しが含まれる。
4介護認定審査会に通知される。
5要介護認定を受けようとする被保険者は、申請書に添付しなければならない。
問20
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条の具体的取扱方針のうち介護支援専門員に係るものとして正いものはどれか。3つ選べ。
1要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けたときは、指定介護予防支援事業者と当該利用者に係る必要な情報を提供する等の連携を図るものとする。
2被保険者証に認定審査会意見の記載があるときは、利用者の理解を得た上で、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。
3継続して居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付けるときは、貸与が必要な理由を記載しなくてもよい。
4居宅サービス計画に地域ケア会議で定めた回数以上の訪問介護を位置付けるときは、それが必要な理由を居宅サービス計画に記載しなければならない。
5利用者が通所リハビリテーションの利用を希望しているときは、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
問21
指定居宅介護支援事業者について正しいものはどれか。3つ選べ。
1指定居宅介護支援の提供に際し、複数の指定居宅サービス事業者を必ず紹介しなければならない。
2指定居宅介護支援の提供の開始に際し、利用者に入院する必要が生じたときは、介護支援専門員の氏名と連絡先を入院先の病院又は診療所に伝えるよう、あらかじめ利用者や家族に求めなければならない。
3指定居宅介護支援の提供の開始に際し、要介護認定申請が行われていない場合は、利用申込者の意思にかかわらず、速やかに申請が行われるよう援助を行わなければならない。
4通常の事業の実施地域等を勘案し、自ら適切な指定居宅介護支援を提供することが困難なときは、他の指定居宅介護支援事業者を紹介するなど必要な措置を講じなければならない。
5利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域で指定居宅介護支援を行うときは、要した交通費の支払を利用者から受けることができる。
正解は…2・4・5
- 「介護支援専門員は、利用者から居宅サービス計画案の作成にあたって複数の指定居宅サービス事業者等の紹介の求めがあった場合には誠実に対応するとともに、居宅サービス計画案を利用者に提示する際には、当該利用者が居住する地域の指定居宅サービスの内容、利用料等の情報を適正に利用者又はその家族に対して提供するものとする」(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条5)したがって、問題文のように、「必ず紹介しなければならない」とまでは規定されていない。
- ○
- 要介護認定の申請については、利用者の意思を踏まえ、必要な協力を行わなければならない(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第8条)
- ○
- ○
問22
指定居宅介護支援におけるサービス担当者会議について適切なものはどれか。3つ選べ。
1家庭内暴力がある場合には、必ずしも利用者や家族の参加を求めるものではない。
2開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により参加が得られなかったときは、サービス担当者への照会等により意見を求めることができる。
3末期の悪性腫瘍の利用者について、日常生活上の障害が1カ月以内に出現すると主治の医師が判断した場合には、その助言を得た上で、サービス担当者への照会等により意見を求めることができる。
4サービス担当者会議の記録は、要介護認定の有効期間に合わせて最長3年間保存しなければならない。
5要介護更新認定の結果、要介護状態区分に変更がなかった場合には、サービス担当者会議を開催する必要はない。
問23
介護予防サービス・支援計画書について適切なものはどれか。2つ選べ。
1「課題に対する目標と具体策の提案」欄には、利用者や家族の意向を踏まえた目標と具体策を記載する。
2「【本来行うべき支援ができない場合】妥当な支援の実施に向けた方針」は、利用者と家族の考え方の違いが大きい場合には記載しない。
3「目標とする生活」の「1年」欄には、利用者とともに、生きがいや楽しみを話し合い、今後の生活で達成したい目標を設定する。
4「期間」は、常に利用者の要支援認定の有効期間と同じ期間にする。
5「本人等のセルフケアや家族の支援、インフォーマルサービス」欄には、地域のボランティアや近隣住民の協力なども記載する。
問24
特別養護老人ホーム入所中のAさん(98歳、助成)は、食事摂取量が激減し、全身衰弱が進行している。発語も困難で、意思疎通も難しい。嘱託医の判断では、Aさんはターミナル期の状態であるとのことであった。Aさん及びその家族の入所時の意思は、「最期まで施設で暮らしたい」とのことであった。この場合の対応として、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1看護職員が作成した看取り介護計画があるため、施設サービス計画は作成しない。
2Aさんと家族の意向は明らかなので、改めて面接をせずに、介護支援専門員が単独でターミナル期の施設サービス計画を作成する。
3看取りに対する家族の意思を確認するため、介護支援専門員がAさんの家族、嘱託医、生活相談員等との面談の日程調整を行う。
4Aさんの意思を尊重し、最期まで介護職員が単独で看取りの介護を行った場合は、看取り介護加算を算定できる。
5終末期の身体症状の変化や介護の状況等を記録し、医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員等による情報の共有に努める。
正解は…3・5
- 施設サービス計画は必ず作成する。
- Aさんと家族の意向が明らかだからと言って、面接を行わない理由にはならない。ターミナル期のAさんも、それを支える家族も不安はある。また、ターミナル期はAさんや家族の意向(リビング・ウィル)も変化することが多い。面接はすべきである。また、介護支援専門員はターミナル期の施設サービス計画を、単独ではなく、多職種連携のもと、立案しなくてはいけない。
- ○
- 問題文の場合、特別養護老人ホームでは、看取り介護加算は算定できない。看取り介護加算は、常勤の看護師により24時間連絡体制を確保し、医師等が共同して入所者等に対して十分な説明を行って同意を得ること等をしながら、看取り介護を行った場合、算定できる。
- ○
問25
Aさん(80歳、女性、要介護2)は、長女(51歳)、長女の夫(50歳)、孫(17歳、女性、高校生)と同居しており、通所介護を週3回利用している。長女及び長女の夫はフルタイムで働いており、平日は孫が介護を担っている。長女から、「最近娘の学校の成績が下がってきたが、介護が負担なのではないか」との相談を受けた。介護支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1長女に対し、仕事を辞めて介護や家事に専念すべきであると説得する。
2家族と介護支援専門員で、家事や介護の家庭内での分担及び介護サービス利用の見直しについて話し合う場を設ける。
3長女及び長女の夫に勤務先の介護に関する支援制度を確認するよう依頼する。
4孫のため、直ちにAさんの短期入所生活介護の手配をする。
5孫の話を傾聴し、必要に応じて若年介護者(ヤングケアラー)としての悩みを持つ者同士の懇談会などに関する情報を提供する。
正解は…2・3・5
- 介護支援専門員に社会が期待していることであり、政府の方針として、介護離職(家族の介護を理由として、仕事を辞める)を減らし、またはゼロにすることを目指している。それに逆行する言動は慎むべきである。
- ○
- ○
- 問題文の解決法には2つ問題がある。1点目として、「直ちに」短期入所生活介護の利用を行うと、急激な環境の変化によって、リロケーションダメージの危険性があり、要介護度が悪化する可能性がある。短期入所生活介護の利用を検討するなら、リロケーションダメージに配慮し、十分な準備の下行うべきである。2点目として、短期入所生活介護は、長くても30日後には、Aさんは自宅に戻ってくるのであり、根本的な解決に至っていない。この事例の最も重要な問題はヤングケアラーとなってしまっている孫の現状を少しでも良い方向へ繋げていくことである。したがって、選択肢3の長女及び長女の夫がAさんの介護のための短時間労働などを検討し、孫の負担の軽減を図ることの方が適切であると考える。
- ○

正解は…2・4