第15回 介護支援専門員 実務研修受講試験問題【解答・解説】学校法人 藤仁館学園

保健医療福祉サービス分野(基礎) 一問一答

分野別テスト→

問26

貧血を呈しやすい疾患として、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1脂質異常症

2悪性腫瘍

3関節リウマチ

4糖尿病性腎症

5ビタミンB1欠乏症

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正解は…2・3・4
  1. 自覚症状は一般的にはないが、二次性の脂質異常症として、アルコール多飲、糖尿病、甲状腺機能低下症、腎疾患、薬剤の副作用に伴うものなどがある。
  2. 悪性腫瘍は、さまざまな機序により貧血を引き起こす。代表的なものとして慢性失血(特に消化器系・泌尿器系の癌では、慢性的な腫瘍からの出血)、骨髄における造血能の低下、赤血球寿命の短縮などがある。
  3. 関節リウマチが進行すると特有の関節変形が起き、微熱、食欲不振、貧血などの全身症状が現れる。
  4. 糖尿病性腎症の症状として、貧血(腎性貧血)、蛋白尿、高血圧、浮腫(むくみ)などのネフローゼ症候群がある。糖尿病患者は貧血を合併しやすく、貧血と診断されなくても軽度にヘモグロビン値(Hb値)低下が起こりやすく、その背景には糖尿病性腎症の発症によって腎症貧血をきたすことがある。
  5. 水溶性ビタミンであるビタミンB1の欠乏症は、脚気(かっけ)やウェルニッケ・コルサコフ症候群である。貧血は、ビタミンB12の欠乏により引き起こされる。

問27

疾患と症状の組合せとして、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1緑内障―眼圧低下

2肺気腫―喘鳴(ぜんめい)

3メニエール病―構音障害

4慢性心不全―起坐呼吸

5尿路感染症―頻尿

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正解は…2・4・5
  1. 緑内障は、眼圧上昇により視神経の軸索障害を生じる。
  2. 肺気腫の主症状は、喘鳴、労作時呼吸困難がある。
  3. メニエール病は内耳の病気で、症状は激しい回転性のめまい発作に耳鳴や難聴などの蝸牛症状が随伴し、この発作を反復する。
  4. 心不全による呼吸困難時には仰臥位ではなく、体を起こして座った状態(起座位)にすることで、自覚症状、血行動態の改善が得られる。
  5. 尿路感染症の主症状は、頻尿、排尿時痛、発熱、尿閉などである。

問28

BPSD(認知症の行動・心理症状)について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1BPSDは、認知症が進行し、終末期に向かうほど顕著になる。

2BPSD出現の背景には、便秘や睡眠障害がある場合もある。

3BPSDへの対応には、認知症の人に対するもののほか、介護者(家族)への支援も含まれる。

4BPSDへの対応は、薬物療法を優先して行うべきである。

5家族や福祉施設では対応が困難なBPSDの場合には、老人性認知症疾患療養病棟などへの入院も検討する。

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正解は…2・3・5
  1. 終末期にはBPSDは消滅し、無気力、無言、無動を呈する。
  2. 便秘や下痢、睡眠障害、感染症、脱水といった身体疾患、薬物の副作用、不適切な環境やケアなどがBPSDの誘因になると考えられている。
  3. BPSDは認知症の人の生活の質を低下させるだけでなく、介護者の介護負担を増大させる主たる原因である。また周辺症状も多様で介護者の戸惑いも大きく、心身の負担は非常に大きいといえ、介護者や家族に対するケアも重要といえる。
  4. BPSDの治療には、非薬物療法(個別対応、回想法、音楽療法等)が第一の選択である。非薬物療法の原則は楽しくあり、精神的安定を図ることであって、その結果、BPSDが軽減し、良好な状態をつくることができるといわれている。薬物療法は、BPSDの悪化要因になることもある。
  5. BPSDのために在宅での介護や施設における対応が困難となるとき、特にBPSDが原因でやむを得ず本人の行動を制限しなければならない状態にある場合には、老人性認知症疾患療養病棟(介護療養型医療施設)などへの入院を検討する。

問29

高齢者が服用することが多い薬剤と副作用の組合せとして、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1鉄剤―消化器症状

2降圧剤―起立性低血圧

3利尿薬―唾液分泌過剰

4抗不安薬―便秘

5非ステロイド性消炎鎮痛薬―低血糖

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正解は…1・2・4
  1. 鉄剤で最も多い副作用は、胃や腸などの消化器の症状で、具体的には、胃がムカムカしたり、吐き気がすることが多く、さらに便秘や下痢といった腸の症状も見られる。
  2. 降圧薬には、α1遮断薬、α、β遮断薬、末梢性交感神経抑制薬、中枢性交感神経抑制薬があり、副作用として低血圧症を起こすおそれがある。
  3. 降圧剤、抗うつ剤、鎮痛剤、利尿剤、抗パーキンソン剤などの多くの薬物の副作用として唾液分泌の低下がある。
  4. 抗不安薬には、ねむけ、ふらつきの副作用があり、薬によっては、食欲不振、便秘、口の渇きがでるものもある。
  5. 非ステロイド性消炎鎮痛剤の副作用は、胃腸炎などの消化器障害が最も多い。一方、長期にわたりステロイド薬を服用し、服用を急にやめてしまうことにより、低血糖の症状を起こすことがある。

問30

感染症について適切なものはどれか。3つ選べ。

1介護サービス利用者が肺結核で排菌していることが判明した場合、その感染リスクに応じて、介護者など接触者に対する健診が実施される。

2高齢者の下痢では、緩下剤による可能性もあるので、服薬状況などを確認する。

3ノロウイルス感染者の便の処理の際は、マスクや手袋の装着の必要はないが、処理後にアルコールで手指をよく拭いておく。

4高齢者への肺炎球菌ワクチンは、接種後5年を経過しないと再接種できない。

5肝がんの90%以上は、アルコール性肝炎から進展する。

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正解は…1・2・4
  1. 介護サービス利用者が発病・排菌中の場合、住所を管轄する保険者が、利用者の症状確認、接触者等の年齢、接触状況などを考え、介護者など接触者に対して健診を計画し、実施する。
  2. 緩下剤の代表として、酸化マグネシウムがある。酸化マグネシウムは大腸における水分の吸収を抑制、つまり便に含まれる水分が多くなるため、便を軟らかくする作用がある。便通に効果を発揮する薬であるが、下痢の際には服薬状況を確認する必要がある。
  3. 処理の際には、マスクと手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないように、便をペーパータオル等で静かに拭き取り。その後、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように床を拭き取り、そして水拭きをする。おむつ等は、速やかに閉じて便等を包み込み、ビニール袋に密閉して廃棄する。
  4. 日本では2009年に再接種が認可され、再接種の条件として高齢者においては、初回接種から5年以上経過した肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険性が極めて高い者及び肺炎球菌特異抗体濃度が急激に低下する可能性のある者として、65歳以上の高齢者等が対象となっている。
  5. わが国ではB型・C型肝炎ウイルス感染が原因で生じる肝がん(肝細胞癌)が90%を占めており、特に最近では全体の70%はC型肝炎ウイルス感染がその原因となっている。その他、アルコール性肝障害や非アルコール性脂肪性肝炎が原因のものもある。

問31

高齢者の医療について適切なものはどれか。3つ選べ。

1認知症治療薬には、錠剤以外にも経皮吸収型製剤や内服ゼリー剤があり、経口内服が困難な高齢者でも使用が可能である。

2がんの疼痛管理では、麻薬は習慣性があり、幻覚等の症状もきたすため、可能な限り痛みは我慢してもらう。

3慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合には、インフルエンザワクチンは禁忌であり、接種できない。

4非ステロイド性消炎鎮痛薬を内服している場合には、腎機能障害や上部消化管出血のおそれもあるので、乏尿やタール便などの出現の有無を確認する。

5高齢者のめまいについては、起立性低血圧、不整脈などの全身性疾患や内服薬が原因となることもあるため、丁寧な問診が不可欠である。

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正解は…1・4・5
  1. 認知症治療薬のフィルムコート錠、細粒剤、口腔内崩壊錠、内服ゼリーという複数の剤形に加え、経皮吸収型製剤(貼付剤)は、食事や消化管、代謝等の影響を受けにくく、嚥下機能の低下や経口剤を苦手とする高齢者でも容易に使用することができ、服薬コンプライアンスの改善のみならず、介護する家族や介護職の服薬介助時の負担軽減が期待できる。
  2. がんの疼痛管理は、1993年WHOで「患者には痛みをコントロールするために必要な鎮痛薬を要求する権利があり、医師にはそれを投与する義務がある。痛みから解放されることは、すべてのがん患者の権利とみなすべきである」と提唱されており、痛みの緩和が重要である。
  3. 高齢者で慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合には、インフルエンザへの感染が生命にも関わってくるため、インフルエンザワクチン接種が推奨されている。
  4. 特に高齢者で長期服用している場合には、腎機能障害や上部消化管出血を誘発しやすいため、乏尿やタール便などの出現の有無を確認する。
  5. 高齢者のめまいには様々な原因が考えられる為、丁寧な問診が不可欠である。

問32

褥瘡について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1エアーマット等除圧効果のある予防用具を用いた場合には、体位変換を行う必要はない。

2在宅の要介護者で真皮を越える深さの褥瘡がある場合には、介護保険の訪問看護における特別管理加算の対象となる。

3褥瘡がある場合には、入浴により末梢血流量が増加し、症状が悪化するため、入浴は避ける。

4感覚障害を有する者は、褥瘡が生じやすい。

5浮腫がある場合は、皮膚が引き伸ばされて薄くなるため傷つきやすくなり、褥瘡のリスクが高くなる。

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正解は…2・4・5
  1. 体重による圧迫を除去するために、寝ている場合は原則として2時間ごとに体位交換を行う。併せて、除圧効果のある予防用具(エアーマット、スポンジマットレスなど)を使用する。
  2. 真皮を越える褥瘡は訪問看護の特別管理加算が算定できる。ただし医療保険で算定する場合は算定できない。
  3. 入浴は、可能である。入浴は皮膚を清潔にし、血液の循環をよくするので褥瘡の治療や予防に効果的である。
  4. 麻痺などのため自分で寝返りができない人、腰を上げられない人、動かせない人など感覚障害を有する者は、同じところに一定以上の圧力が持続的に加わるため、褥瘡が生じやすい。
  5. 皮膚が弱くなっていると、少しの圧迫やズレでも褥瘡を容易に発生する。浮腫は皮膚の耐久性が低下し、炎症や循環障害により発生する浮腫によっても皮膚組織は薄くなり、傷ができやすくなり、褥瘡のリスクが高くなる。

問33

高齢者の栄養について正しいものはどれか。3つ選べ。

1高齢者の低栄養では、血清アルブミン値なども参考にし、多職種が共同して栄養状態の改善を図る。

2栄養障害に伴う皮膚・粘膜の症状は、ビタミンK欠乏が原因である。

3食事バランスガイドは、食事摂取基準に基づき、実際の食事の際に、何をどのくらい摂取すればよいかを示したものである。

4身体の成分組成は、水分、タンパク質、脂肪、ミネラルで組成され、高齢者では、若年者に比較して、脂肪の構成割合が低下する。

5高齢者の栄養状態は、摂取栄養量と栄養必要量とを比較して評価する。

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正解は…1・3・5
  1. 常に体重の変化や食事量の把握などを行い、低栄養状態にならないように留意する。栄養状態の改善および食生活の支援を適切に行うために、管理栄養士、医師、保健師、薬剤師等の各専門職種が相互に情報交換を行う必要がある。
  2. 皮膚・粘膜の症状は、ビタミンA、ビタミンB2などの欠乏が原因である。ビタミンK欠乏は出血傾向を呈する。
  3. 食事バランスガイドは、「食事摂取基準」で示された科学的根拠に基づいた数値を基に、「食生活指針」で示された改善目標が容易に実践できるように工夫されている。
  4. 高齢者では、若年者に比較して、脂肪の構成割合が増加する。
  5. 食物摂取状況調査には、一般に思い出し法や記録法が用いられ、記録された内容から食事内容を分析して食品成分表を用いて栄養計算をする。算出された摂取栄養量は栄養必要量と比較し、評価する。

問34

終末期のケアに関連する内容について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1終末期医療では、医師等の医療従事者による適切な情報提供と説明が求められるが、この適切な情報には、療養場所やこれからの過ごし方の選択肢も含まれる。

2末期がん療養者は、退院時に起居動作ができたとしても、短期間でADLの低下など状態の悪化が予測されるため、介護ベッドの早期導入を計画する。

3終末期にある療養者の家族に対する予期悲嘆への援助では、積極的に励ます必要がある。

4末期がん療養者やその家族が在宅での看取りを決断した場合には、入院という選択肢を情報提供する必要はない。

5終末期においてリハビリテーションを行うことは、療養者のADLの維持、改善により、可能な限り高いQOLを保つとともに、痛みや苦痛を和らげることにもつながる。

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正解は…1・2・5
  1. 終末期医療では、医療面の支援だけでなく、生活を支えるケアも必要がある。
  2. 介護保険では、病状の進行が早い末期がん患者に配慮する必要があると判断し、短期間のうちに起きあがりや寝返りが困難になるとみられる対象者について、医師らが必要と判断した場合は、要介護度に関係なく(軽度者であっても利用制限なく)、市町村の判断で福祉用具貸与サービスを利用できる。
  3. 家族の予期悲嘆への援助では、家族の感情表出を傾聴し、共感することが大切である。様々な感情を受け止めつつ、家族が少しずつ死を受け止めていけるよう、見守り続けることも重要である。
  4. 在宅での症状緩和が難しい場合には、在宅ケアに固執することなく、一時的に施設への入院も検討するため、情報提供は必要である。
  5. 終末期におけるリハビリテーションでは、苦痛を取り除きながら、最後まで人間らしくあるよう人格を尊重したケアを行う。

問35

次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1胃ろう部にスキントラブルのない療養者は、胃ろう部をドレッシング材で被わずに、胃ろう周囲を石けんで洗うことも、浴槽に入ることもできる。

2嚥下障害の初期症状を認めたら、誤嚥性肺炎や低栄養を予防するため、直ちに経管栄養チューブや胃ろうに切り替え、必要栄養摂取量の確保を行う。

3胃ろうから栄養補給している療養者でも、摂食・嚥下機能をアセスメントして経口摂取が可能な場合には、経口移行計画を作成し、それに基づき経口摂取をすすめる。

4尿道留置カテーテルによる尿路感染を予防するため、日常的に膀胱洗浄を行う。

5尿道留置カテーテルの蓄尿バッグについては、移乗時に勝胱より高い位置になって逆流が起こらないよう留意しなければならない。

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正解は…1・3・5
  1. 瘻孔部から湯が体内に入ることはないので、瘻孔部分はビニールやフィルムドレッシング材で保護せず、皮膚を露出した状態で入浴が可能である。瘻孔周囲の皮膚を石鹸で丁寧に洗い、シャワーでよく流し、浴槽に入ることもできる。
  2. 嚥下障害の初期症状が認められたら、誤嚥を予防できるように、スプーンの大きさや、食べ物の形態、食べる時の姿勢などに配慮しながら、経口摂取の継続を支援する。
  3. 介護保険施設において、医師の指示で、医師・歯科医師・管理栄養士・ケアマネージャー等が共同して、これを実施した場合、経口移行加算を算定できる。
  4. 厚生労働省の「改正医療法・感染症法を考慮した院内感染防止ガイドライン」では、膀胱洗浄の適応と方法において、治療上必要な場合以外は膀胱洗浄を避ける(III症例集積研究や単なる専門家の意見 A:強く推奨する)とされている。
  5. 逆流を防ぐために、蓄尿バッグは常に膀胱よりも低い位置に保つことが必要である。

問36

痰の吸引について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1長期療養で気管切開や気管挿管を受けている者では、自力で気道内の分泌物を喀出できない場合も多いので、気道確保のために吸引が必要である。

2意識のある療養者では、吸引は激しい咳嗽(がいそう)反射を起こし、負担がかかるので、吸引は慎む。

3口腔・鼻腔吸引及び気管内吸引が必要な療養者では、カテーテルを介した感染の危険性があるので、口腔・鼻腔用と気管内用のカテーテルは別にする。

4療養者の退院に当たっては、その家族が日常的に吸引の操作を行うことができるように、トレーニングを受けることが望ましい。

5吸引に際しては、事前に体位ドレナージを行うと喀痰が移動してしまうので、有効な排痰ができなくなる。

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正解は…1・3・4
  1. 気管切開、気管挿管などの人工気道を用いている者、自力で効果的な気道内分泌物の喀出ができない場合などが吸引の適応となる。
  2. 意識のある療養者でも、適応の場合には吸引を実施する。
  3. 口腔・鼻腔用と気管内用のカテーテルは別にし、1回使用するごとに交換する。
  4. 在宅時の管理について、家族に吸引の操作を指導し、緊急時の対応、連絡方法などを確認・指導しておくのがよい。
  5. 吸引に際して、痰の出を良くするために必要に応じて体位ドレナージを行うことは有効である。

問37

次の記述のうち適切なものはどれか。2つ選べ。

1屋内での歩行が安定して自立している要介護高齢者については、屋外での歩行も同様に安定して自立するため、転倒のリスクを検討する必要はない。

2失語症とは、発語に関係する筋に異常がなく、知能低下もないが、言語による表現や文字の理解ができなくなることであり、その原因は主に聴力障害である。

3片麻痺がある場合の車の乗降は、健側から乗り、降りる場合は逆の順序で行うとよい。

4重度の片麻痺の場合には、肩の亜脱臼を合併しやすいので、日常生活動作の介助において、麻痺側の上肢の位置などに配慮する必要がある。

5廃用による筋力低下の予防のためには、日常生活動作の励行やレクリエーション活動等の継続は効果がない。

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正解は…3・4
  1. 屋内での歩行が安定して自立していても、屋外での歩行が安定して自立するとは限らないため、転倒のリスクは十分に検討する必要がある。
  2. 失語症は、脳卒中の右片麻痺に合併することが多く、言葉を話したり、聞いて理解したり、文字を書いたり、読んで理解するなどの能力が障害される。
  3. 片麻痺がある場合の車の乗降で、乗る場合は、(1)健側から乗る(2)健側上肢で窓ふちなどをつかむ(3)臀部をシートに下ろす(4)健側下肢を中に入れる⑤患側下肢を中に入れる、の順序で行い、降りる場合は逆の順序で行う。
  4. 重度の片麻痺の場合、介助時の麻痺側の上肢の位置の配慮や、肩の亜脱臼の予防として、三角巾やスリングの使用を検討することもある。
  5. 筋力低下の予防のためには、日常生活動作の励行やレクリエーション活動等の継続は効果が期待される。

問38

介護老人保健施設が提供するサービスについて適切なものはどれか。3つ選べ。

1特別療養費は、入所者に対して指導管理等のうち日常的に必要な医療行為として行った場合に算定できる。

2経口維持加算は、医師等の指示に基づき、管理栄養士その他の職種が共同して計画を作成し、継続して経口摂取を進めるための特別な管理を行った場合に算定できる。

3栄養マネジメント加算は、常勤の管理栄養士又は経験のある栄養士を配置している場合に月単位で算定できる。

4ターミナルケア加算は、突然死の場合には、本人の了解が得られていなくても、その後のケアが必要なため算定できる。

5認知症専門ケア加算は、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して専門的な認知症ケアを行った場合に1日単位で算定できる。

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正解は…1・2・5
  1. 特別療養費には、感染対策指導管理や薬剤管理指導、リハビリテーション指導管理などがある。
  2. 経口維持加算は、当該計画が作成された日から起算して180日以内の期間に限り算定できる。
  3. 栄養マネジメント加算は、常勤の管理栄養士を1人以上配置していることが算定要件のひとつである。
  4. ターミナルケア加算は、医師・看護師・介護職員等が共同して、入所者の状態・家族の求め等に応じ、随時本人・家族への説明を行い、同意を得て、ターミナルケアを実施することが算定要件のひとつである。
  5. 認知症専門ケア加算は、その他要件を満たす施設・事業所内の認知症日常生活自立度Ⅲ以上の者1人1日当たりにつき算定できる。

問39

訪問看護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1訪問看護開始時における主治の医師の指示書のとおりにサービスを提供していれば、訪問看護報告書を主治医に定期的に提出する必要はない。

2末期の悪性腫瘍は、医療保険による訪問看護の対象となる「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する。

3要介護者に対して医療保険と介護保険の両方から給付が可能な場合には、医療保険を優先して適用する。

4訪問介護事業所の利用者に対し、喀痰吸引等に係る特定行為業務を円滑に行うための支援を行った場合には、看護・介護職員連携強化加算を算定できる。

5訪問看護ステーションは、緊急時24時間連絡体制を義務づけられている。

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正解は…2・4
  1. 訪問看護を実施した結果を訪問看護報告書として作成することが義務付けられている。またこれを主治医に定期的に提出する。当該事業所が保険医療機関である場合には、診療録および診療記録の保存でも差し支えないこととされる。居宅基準第70条。
  2. 末期の悪性腫瘍は、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当し、医療保険による訪問看護の対象となる。これ以外に利用者が急性増悪したとき等特別訪問看護指示書がある場合の看護(14日限度)も対象。さらに2012(平成24)年度より、特別訪問看護指示書の対象に病院からの退院直後が要件に加わった。
  3. 医療保険と介護保険の両方から給付が可能な場合には、介護保険を優先して適用する。
  4. 当該加算を算定する際には、都道府県の登録を受けた指定訪問介護事業所との連携が必要である。
  5. 義務付けられていないが、緊急時24時間連絡体制等の一定の要件を満たせば、緊急時訪問看護加算として算定可能である。

問40

医療と介護の連携について適切なものはどれか。3つ選べ。

1訪問介護事業所のサービス提供責任者が、通所リハビリテーション事業所の理学療法士等に同行し、利用者宅を訪問した場合には、連携に関する介護報酬を算定できる。

2併設医療機関ではない在宅療養支援診療所は、介護老人福祉施設への往診料を算定できる。

3在宅療養支援歯科診療所は、介護支援専門員の指示により、歯科訪問診療を実施する。

4介護老人保健施設が地域連携診療計画に係る医療機関から利用者を受け入れ、当該計画の診療報酬を算定している病院に対して文書により情報提供をした場合には、情報提供に係る加算を算定できる。

5介護保険と医療保険の利用者負担の合計額が世帯で一定額を超えた場合には、介護保険と医療保険から、高額医療合算介護(予防)サービス費と高額介護合算療養費がそれぞれ支給される。

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正解は…2・4・5
  1. 訪問介護事業所のサービス提供責任者が訪問リハビリテーション事業所の理学療法士等と利用者宅を訪問し、両者の協働による訪問介護計画作成とサービス提供を実施した場合、生活機能向上連携加算を算定できる。
  2. 病院又は診療所と介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が併設されている場合の当該病院又は診療所は、それぞれの配置されている施設に入所している患者に対して行った診療(特別の必要があって行う診療を除く)については、介護報酬、自立支援給付、措置費等の他給付において評価されているため、往診料を算定できない。よって併設医療機関でない場合には、往診料を算定できる。
  3. 在宅療養支援歯科診療所の実施にあたっては、介護支援専門員の指示は必要なく、利用者・家族の希望により実施される。
  4. 介護老人保健施設は、これを地域連携診療計画情報提供加算として算定できる。
  5. 医療保険各制度(健康保険その他の被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)の世帯内に介護保険からのサービスを受ける者がいる場合であって、1年間(前年8月から当年7月)の介護保険における利用者負担(高額介護サービス費等が支給される場合はそれを除いた額)と医療保険の患者負担(高額療養費が支給される場合はそれを除いた額)の合計額が政令で定める一定額(所得段階別に区分)を超えるときは、被保険者からの申請に基づき、その超えた額を医療保険と介護保険それぞれの自己負担額の比率に応じて按分して、各保険の保険者が支給する仕組みである。
分野別テスト→