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在宅生活を支える医師/長尾和宏さん【在宅のスペシャリスト 2】

在宅生活を支える医師/長尾和宏さん【在宅のスペシャリスト 2】

 「自宅で暮らしたい」という思いを叶えるには、どのような助けが必要でしょうか? 在宅生活を支える【医療・介護のスペシャリストたち】を紹介します。このページに登場するのは、医療面から在宅生活を支える長尾和宏さんです。

■長尾 和宏 さん(60)

 長尾クリニック(兵庫県尼崎市) 医師歴34年

「本人が望む医療を提供したい」

①医師になった理由は?

 医大生の頃から無医地区の支援をさせてもらうなど、医療が受けられずに困っている人を助けたいという思いからです。医師の子息でもないので、苦学生をしながら医師になりました。
 もともとは教員志望で、医大生の頃は塾講師をしていましたし、現在でも介護事業者や医師を対象にした「私塾」(勉強会)を多く主宰しています。
 転機は1995年の阪神淡路大震災で、84年に大阪大学病院の医局に勤務医として勤めて以来、11年目にして長尾クリニックを開設。外来と在宅医療などを軸とした取り組みをはじめました。

②仕事のやりがいは?

 私は医師ですから、外来であっても、在宅であっても、望むべき場所で本人の望む医療を提供することがやり甲斐です。

③一番気をつけていることは?

 原則としてクリニックのある兵庫県尼崎市の患者さんを診ていますが、周辺地域でも、経済的・社会的など様々な理由から、医療が受けられない患者であれば、できる限り診るようにしています。「全人的医療」を提供したいという思いからです。
 クリニック開設以降も、外来も、在宅も取り組むのは、この全人的医療のためです。担当患者数も、毎日おおよそ在宅・外来を半々ずつ診ています。

④利用者へ一言

 釈尊が入滅後、正しい仏法が伝わらなくなる末法思想のように、私は「末法医療」の時代になってきたことを感じています。
 本人の意思が尊重されるのは言うまでもないですが、超高齢社会の日本では、本人の望まない薬漬けの医療や、過剰な医療ではなく、その人らしい医療がうけられるようにあるべきです。
 在宅であっても望む医療が受けられるべきで、在宅医療に取り組む医師を増やしていくことも、私の仕事であると感じています。もちろん医師(看護師)だけで完結できるものではありませんから、ケアマネジャーや介護事業者との連携を図りながら、患者さんのために取り組んでいきたいと考えています。
【長尾さんの一日】
 9~11時        在宅診療
 11~12時    外来診療
 13~18時    在宅診療
 18~19時    外来診療
 ※深夜含め、年中無休で緊急時対応
 ※ほかに▽国や県、尼崎市などの各種委員▽主宰する私塾での講演▽マスコミ対応▽新聞雑誌連載執筆――など。
※在宅診療医の仕事
 患者宅等に定期的に訪問して診察する医師。年齢や病気の制限はなく、通院が困難な患者が対象で、計画的に健康管理を行います。緊急時には365日×24時間体制で対応し、必要に応じて臨時往診や入院先の手配などを行います。高齢者などには、病気の治療の周辺の「転倒や寝たきりの予防」「肺炎や褥瘡などの予防」「栄養状態の管理」なども重要な役割です。

(介護の日しんぶん2018年11月11日)

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