第18回 介護支援専門員 実務研修受講試験問題【解答・解説】学校法人 藤仁館学園

保健医療福祉サービス分野(基礎) 一問一答

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問26

次の記述について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1CRP(C反応性たんぱく質)は、感染症などによる炎症の程度を示す。

2胸部X線検査は、結核などの呼吸器疾患だけでなく、うっ血性心不全などの心疾患の診断にも有用である。

3ノロウイルス感染症では、下痢などの症状がなくなれば、感染力はない。

4ウイルス感染では、白血球数が上昇する。

5尿検査は、糖尿病や腎臓病だけでなく、尿路感染症の診断にも有用である。

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正解は…1・2・5
  1. 記述の通り。
  2. 記述の通り。高齢者では、結核や肺炎などの感染症も多く、感染拡大や重篤化を防ぐため、年に1回は検査を受けることが望ましいとされている。
  3. ノロウイルス感染症では、症状がなくなってもウイルスが排泄物等に残っていることがあるため注意を要する。
  4. ウイルス感染では、白血球数は正常か減少傾向を示す。
  5. 記述の通り。

問27

低栄養について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1浮腫や腹水がみられる場合には、低栄養も疑われる。

2高齢者の低栄養は、ビタミンとミネラルの摂取不足が主な原因である。

3低栄養は、褥瘡の発生要因の一つである。

4仲間と一緒に食事をすることは、食事以外に関心が向き、食欲を減退させるため、低栄養のリスクを高める。

5上腕や下腿の周囲長は、寝たきりなどで体重測定が難しい場合の低栄養の判定に使われる。

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正解は…1・3・5
  1. 高齢者の場合、浮腫や腹水などにより体重の増加が見られても、低栄養状態であることがあるため注意が必要である。
  2. 高齢者の低栄養状態とは、エネルギー量やたんぱく質の摂取不足が主な原因である。
  3. 記述の通り。褥瘡が見られる場合には、高蛋白・高カロリー・高ビタミンの食事摂取を心がける必要がある。
  4. 食事においては、一緒に食事をしたい人と食事を楽しむという満足感を得ることも必要である。
  5. 記述の通り。

問28

嚥下や口腔ケアについて、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1片麻痺による運動障害や感覚障害がある場合には、麻痺側の口腔内が汚れやすくなる。

2成人の唾液の1日の分泌量は、100~200mLといわれている。

3嚥下機能が低下している場合には、感覚が鈍くなるので、氷などの冷たいものを口に入れることは避ける。

4口腔ケアは、口腔内細菌を減少させるので、誤嚥性肺炎の予防に有効である。

5義歯が本人に合っている場合には、義歯を外さないで口腔ケアを行う。

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正解は…1・4
  1. 片麻痺による運動障害や感覚障害がある場合には、麻痺側の口腔内に食物残渣が残りやすく口腔内が汚れやすいため、十分に口腔ケアを行う必要がある。
  2. 成人の1日の唾液分泌量は、1~1.5Lといわれている。
  3. 氷やアイスクリームなどの冷たい食品は、飲み込みを刺激するため、摂食の始めに用いると効果的である。
  4. 記述の通り。
  5. 取り外せる義歯は1日1回は必ず外し、歯ブラシなどで磨き、流水下でよく洗う必要がある。

問29

薬剤について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1服薬が困難な場合には、貼付剤など他の剤型の薬剤の使用も考慮する。

2腎機能が低下している場合には、血中濃度が下がるため、抗菌薬を使用するときは、適宜増量する。

3BPSD(認知症の行動・心理症状)がある場合には、漢方薬は使用しない。

4飲み忘れを防止するためには、「お薬カレンダー」などを利用する。

5降圧剤を内服中の高齢者は、薬の作用により転倒しやすい。

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正解は…1・4・5
  1. 記述の通り。現在では、貼付剤など様々な剤型の薬剤が開発されており、本人の状態に合わせて選択することが可能となっている。
  2. 腎機能が低下している場合には体内の薬物濃度が増加しやすく、薬の作用が増強しやすいため注意が必要である。
  3. 近年、BPSDへの対応として漢方薬が用いられるようになっており、漢方薬の服用により、興奮が抑制されたり攻撃性が改善するなどの効果が認められている。
  4. 記述の通り。
  5. 降圧剤の副作用として、めまいや立ちくらみをきたすことがあり、高齢者では転倒に至ることもある。

問30

介護保険施設について適切なものはどれか。3つ選べ。

1老人性認知症疾患療養病棟は、BPSD(認知症の行動・心理症状)のために在宅や他の施設での療養生活が難しい要介護者が入院する施設である。

2介護老人保健施設には、肺炎、尿路感染症又は帯状疱疹について、投薬、検査、注射、処置等を行った場合の加算がある。

3介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す施設であるため、看取りは行わない。

4介護老人保健施設は、地域の住民やボランティア団体等との交流が制限されている。

5介護老人保健施設は、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することが禁止されている。

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正解は…1・2・5
  1. 老人性認知症疾患療養病棟は、BPSDの著しい要介護者等に対し、集中的な医療ケアを提供する施設である。
  2. 肺炎、尿路感染症、帯状疱疹について治療等を行った場合には、所定疾患施設療養費が算定できる。
  3. 介護老人保健施設においても看取りは行われる。また、一定の要件を満たす場合には、ターミナルケア加算が算定できることとなっている。
  4. 介護老人保健施設は、その運営に当たり、地域住民又はその自発的な活動等との連携および協力を行う等の地域との交流に努めなければならないとされている。(介護老人保健施設の運営基準第35条)
  5. 記述の通り。

問31

胃ろうについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1経口摂取に移行しようとする場合には、多職種による経口移行計画を作成して行う。

2半固形栄養剤の使用により、胃食道逆流や下痢を防止できる可能性がある。

3カテーテルが抜けた場合でも、ろう孔から胃の内容物が漏れなければ、医師に報告する必要はない。

4チューブ型カテーテルを固定する際には、体表から1~2cm程度の「あそび」を持たせるように外部ストッパーを調整する。

5胃ろうを造設している場合は、原則として、入浴は禁止されている。

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正解は…1・2・4
  1. 記述の通り。経口摂取に移行する場合には、医師や言語聴覚士等の専門職による評価も行う必要があり、多職種による関わりが重要となる。
  2. 半固形栄養剤のうち、特に粘度が高いものについては、胃食道逆流や下痢を防止できる可能性があるとされている。
  3. カテーテルが抜けた場合には、直ちに医師に報告する必要がある。
  4. 記述の通り。
  5. 胃ろうを造設している場合であっても、入浴は可能である。

問32

次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。

1血圧低下とともに大量の黒色便を認めたが、鮮紅色ではなかったため、問題はないと判断した。

2飲食物を大量に嘔吐したため、側臥位にして、口の中に残った吐物を取り除いた。

3激しい下痢が続いたため、水分摂取を控えさせた。

4一過性ではあったが、明らかな片麻痺を認めたため、医師に報告した。

5転倒により下肢の骨折が疑われたため、下肢を動かさないようにした。

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正解は…2・4・5
  1. 黒色便が見られた場合には、上部消化管出血が疑われるため、受診や医師への報告等が必要である。
  2. 嘔吐が見られた場合には、嘔吐物の誤飲を防止するため、側臥位にし口腔内の異物を除去することが重要である。
  3. 下痢症状が見られる場合には、水分の補給が必要となる。
  4. 記述の通り。
  5. 骨折が疑われる場合には、固定するなど骨折箇所を動かさないことが重要である。

問33

排泄について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1日常生活動作の低下による機能性失禁では、排泄に関する一連の日常生活動作の問題点を見極めることが重要である。

2便失禁は、すべて医学的治療を要する。

3ポータブルトイレやおむつについては、理学療法士等の多職種と連携し、日常生活動作に適合したものを選択する。

4切迫性尿失禁には、膀胱訓練よりも骨盤底筋訓練が有効である。

5排便コントロールには、排便間隔を把握し、食生活や身体活動等を含めた生活リズムを整えることが大切である。

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正解は…1・3・5
  1. 機能性尿失禁とは、排泄機能に問題はないが、手足の障害や認知症などのためにトイレに間に合わないことにより生じるものであり、記述の対応は適切である。
  2. 便失禁がすべて医学的治療を必要とするわけではない。
  3. 福祉用具やおむつは、使用する本人の状態にあったものを選択する必要があり、専門職の意見を参考にするとよい。
  4. 切迫性尿失禁には、骨盤底筋訓練よりも膀胱訓練が有効とされている。骨盤底筋訓練は、腹圧性尿失禁に有効とされる。
  5. 記述の通り。

問34

終末期のケアについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1呼吸困難や疼痛に対しては、投薬のほか、安楽な体位やマッサージなどで苦痛の緩和を図る。

2食事については、楽しみや満足感よりも、摂取量や栄養バランスを優先する。

3緩和ケアは、在宅では行われない。

4要介護認定の前でも、保険者が必要があると認めた場合には、暫定ケアプランを作成して介護サービスを利用することができる。

5臨死期において、肩や顎だけが動き、喘いでいるように見えるのは、呼吸停止に至る一連の動きである。

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正解は…1・4・5
  1. 記述の通り。
  2. 食事においては、摂取量や栄養バランスも大切であるが、終末期のケアにおいてはQOLの向上という点においても食事の楽しみや満足感を大切にすることが重要である。
  3. 緩和ケアは、在宅で行われる場合もある。
  4. 要介護認定申請を行っていれば、決定された認定は申請日に遡って有効となるため暫定プランを作成した上でサービスを利用することは可能である。
  5. 死が近づくと、口をあけ喘ぐような呼吸(下顎呼吸)が起こり、浅くゆっくりとした呼吸と早く深い呼吸を繰り返し、呼吸が浅くなった時点で呼吸停止を挟む呼吸(チェーンストークス呼吸)となり、最終的に呼吸停止に至る。

問35

次の記述について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1せん妄は、さまざまな全身疾患に伴う非特異的な症状として出現する。

2夜間にせん妄が増悪する場合には、昼間に適度な刺激と散歩などの活動の機会をつくり、夜間に睡眠できるよう配慮する。

3せん妄は感覚の遮断で改善するので、静かな環境を整備し、眼鏡や補聴器の装着を避ける。

4アルコール依存症のケアでは、飲酒以外に楽しみのある生活ができるまでは、安易に断酒会には参加させない。

5うつ症状には、降圧剤などの薬剤に起因するものもある。

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正解は…1・2・5
  1. 記述の通り。
  2. 夜間せん妄に対しては、日中の活動量を確保し昼夜逆転を予防することが重要である。
  3. せん妄の改善には原因疾患等の改善が必要であり、眼鏡や補聴器の装着を避けることにより改善されるものではない。
  4. アルコール依存症の治療においては、まず断酒をすすめることが優先であり、断酒会への参加は有効である。
  5. 記述の通り。

問36

次の記述について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1パーキンソン病では、安静時の振戦やあらゆる動作が乏しくなる無動、仮面様顔貌などもみられる。

2慢性硬膜下血腫は、血腫除去術の治療を行っても、ほとんどもとの認知機能レベルには戻らない。

3閉塞性動脈硬化症では、歩行時に下肢痛が出現し、立ち止まって休んでも痛みが軽減せず持続する。

4脊髄損傷では、痛みや温度感覚が失われることもあるため、低温熱傷や擦過傷等に注意する。

5帯状疱疹は、早期に治療を始めると、帯状疱疹後神経痛などの後遺症が少なくなる。

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正解は…1・4・5
  1. パーキンソン病の特徴として、安静時振戦、小刻み歩行、筋固縮、仮面様顔貌などがあげられる。
  2. 慢性硬膜下血腫では、血腫除去術を行うと認知機能レベルはもとの状態に戻る。
  3. 閉塞性動脈硬化症では、歩行時に下肢痛が出現し、立ち止まって休むと痛みが軽減し、また歩行できるようになる間欠性跛行が特徴である。
  4. 記述の通り。
  5. 帯状疱疹は、治療が遅れることにより神経痛などの後遺症が残ることがある。

問37

難病について適切なものはどれか。 3つ選べ。

1進行性核上麻痺では、早期から眼球運動障害や認知機能の低下が認められる。

2脊髄小脳変性症では、運動能力を維持するリハビリテーションや環境整備により、ADLを維持することが重要である。

3潰瘍性大腸炎は、発症時に重症であっても、経過観察で完治する。

4後縦靭帯骨化症では、首を強く後ろに反らすことにより症状が悪化する場合があるので、そのような動作は避ける。

5筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、症状は進行性で、数年で四肢麻痺、摂食障害、呼吸麻痺となり、痛みなどの知覚や記憶力も失う。

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正解は…1・2・4
  1. 記述の通り。
  2. 脊髄小脳変性症は運動失調を特徴とする疾患であり、運動能力の維持や環境整備がADLの維持に有効である。
  3. 潰瘍性大腸炎は、発症時に重症である場合には、入院の上で貧血や栄養障害などに対する治療・管理が必要となる。経過観察で完治するものではない。
  4. 記述の通り。
  5. 筋萎縮性側索硬化症は、徐々に全身の筋力が萎縮し、数年で摂食障害や呼吸障害まで進行する疾患であるが、眼球運動や肛門括約筋、知覚や記憶力は保たれる。

問38

次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。

1喀痰の吸引に必要な吸引器は、介護保険により給付される。

2膀胱留置カテーテルを留置している場合には、蓄尿バッグは、膀胱より低い位置に置く。

3人工呼吸療法には、気管切開により行う場合や、口や鼻からマスクにより行う場合などがある。

4インスリンの自己注射を行っている場合には、低血糖による意識レベルの変化に注意する。

5人工透析を行っている場合には、シャント側で血圧測定を行う。

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正解は…2・3・4
  1. 吸引器は、介護保険の給付対象とならない。
  2. 膀胱留置カテーテルを留置している場合には、感染予防のため、蓄尿バッグが膀胱より高い位置になって逆流が起きないように注意が必要である。
  3. 記述の通り。
  4. 記述の通り。
  5. 血圧測定はシャントと反対側で行う。

問39

感染予防について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1手洗いでは、指先、指の間、親指、手首を洗い忘れないようにすることが基本となる。

2手指消毒の方法としては、流水、石けん、アルコール製剤等によるものがある。

3あらゆる人の血液、体液、分泌物、創傷のある皮膚、粘膜には感染性があると考えて取り扱うのが、標準予防策の基本である。

4ノロウイルス感染者の嘔吐物の処理の際は、汚染した場所をアルコールで消毒すればよい。

5手袋の使用後は、手指の消毒の必要はない。

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正解は…1・2・3
  1. 記述の通り。
  2. 記述の通り。
  3. 記述の通り。
  4. ノロウイルス感染者の嘔吐物の処理の際には、汚染した場所を次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
  5. 手袋を使用した場合であっても、手指を消毒する必要がある。

問40

短期入所療養介護について正しいものはどれか。2つ選べ。(注)選択肢2、3及び5は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)の定める内容による。

1療養病床を有する診療所では、提供できない。

2入所が4日以上になる場合は、居宅サービス計画に沿って短期入所療養介護計画を作成しなければならない。

3利用者には、検査、投薬、注射、処置等の診療を行ってはならない。

4居宅サービス計画にない場合でも、緊急時の利用は可能である。

5あらかじめ、短期入所用のベッドを確保しておかなければならない。

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正解は…2・4
  1. 療養病床を有する診療所でも、短期入所療養介護の提供は可能である。(居宅サービス等の運営基準第143条第1項)
  2. 記述の通り。(同基準147条第1項)
  3. 短期入所療養介護事業者は、検査、投薬、注射、処置等を利用者の病状に照らして妥当適切に行うこととされている。(同基準148条第1項)
  4. 居宅サービス計画にない場合であっても、緊急時の利用が可能である。また、この場合には緊急短期入所受入加算が算定できる。
  5. 短期入所療養介護は、基本的には老人保健施設や医療機関の空床を利用して行われるサービスである。
分野別テスト→