第16回 介護支援専門員 実務研修受講試験問題【解答・解説】学校法人 藤仁館学園

保健医療福祉サービス分野(基礎) 一問一答

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問26

血圧に関する次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。

1高齢者の高血圧症では、日内変動が少なく、安定していることが多い。

2脳血栓は、血圧が低下したときに生じやすい。

3触診法による血圧測定は、拡張期血圧のみ測定できる。

4高齢者の入浴に際しては、入浴前後で血圧が変動しやすいので、浴室と脱衣所の温度差を少なくする。

5降圧剤の副作用には、めまいやふらつきがある。

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正解は…2・4・5
  1. 高齢者では、血圧の動揺性が著しいのが特徴である。
  2. 脳血栓は、安静時や血圧が低下したときに生じやすい。
  3. 触診法による血圧測定では、収縮期血圧のみ測定できる。
  4. 入浴時には温度変化や心臓への影響などにより血圧が変動しやすいため、浴室と脱衣所の温度差を少なくするなど、室温に注意が必要となる。
  5. 降圧剤の副作用には、ふらつき、立ちくらみ、めまい、浮腫、動悸などがある。

問27

高齢者に対する検査について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1体重増加は、心不全やネフローゼ症候群などによる浮腫の場合にもみられる。

2在宅療養者が転倒し、四肢の骨折が疑われる場合は、診断や治療方針の確定のためにレントゲン検査を行う。

3認知症は、知能評価スケールによって診断できるため、頭部のCTやMRIなどの画像検査は行わなくてよい。

4通院の検査では、前日や当日の禁飲食の指示の有無及びその遵守状況を確認する。

524時間心電図(ホルター心電図)検査は、医療者による継続的な観察が必要なため、入院して実施しなければならない。

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正解は…1・2・4
  1. 体重増加は、肥満症のほかに心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変などの浮腫性疾患でもみられる。
  2. 骨折の診断には、レントゲン検査が有用である。
  3. 認知症の有無や程度を把握するために簡易知能評価スケールが活用されているが、診断においては、CTやMRIなどの画像検査とあわせて判断する必要がある。
  4. 通院による検査では、禁飲食や遵守状況等について確認する必要がある。
  5. ホルター心電図は、装着したまま通常通り生活することが可能であり、入院して実施する必要はない。

問28

緊急時の対応に関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1意識状態の評価において、呼びかけにより覚醒するのであれば、意識障害はないと判断する。

2心筋梗塞は、激しい前胸部痛が主症状であるが、左肩への放散痛の形をとることもあるので注意する。

3窒息が疑われる場合は、直ちに異物の有無を確認し、あればその除去を試みる。

4在宅療養支援診療所が定期訪問している高齢者であっても、38度の発熱がある場合は、診療所に連絡せずに、救急要請を優先する。

5麻痺や言語障害が出現した場合は、それが一過性であっても、医療機関の受診を検討する。

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正解は…2・3・5
  1. 意識障害の評価において、わが国では3‐3‐9度方式が普及しており、記述はⅡ‐10レベルと考えられる。
  2. 心筋梗塞の典型的な自覚症状は前胸部痛であるが、呼吸困難、左肩から頸部の鈍痛、意識障害などを自覚することもある。
  3. 窒息では数分以内に心肺停止に陥るため、異物除去を試みる必要がある。
  4. 高齢者に急変が生じた場合には、まずかかりつけ医に連絡して指示を仰ぐ。
  5. 麻痺が出現したり、言葉が一時的にもつれた場合、一過性の意識障害があった場合などには、放置せず検査・治療を行う必要がある。

問29

褥瘡について適切なものはどれか。3つ選べ。

1褥瘡がある場合には、出血や感染の危険があるので、入浴は褥瘡が治るまで延期する。

2褥瘡の創面から滲出液などとして栄養分が失われるので、高タンパク質、高カロリーの栄養補給が必要である。

3寝たきりで関節拘縮のある場合や骨の突出部位のある場合には、特定の部位に圧力が集中し褥瘡が生じやすいので、体圧分散寝具を使用するのがよい。

4臀部に発赤ができた場合には、褥瘡と考えられるため、発赤部にマッサージを行い重症化を予防する。

5尿失禁、便失禁は、仙骨部褥瘡の感染のリスクを高め、治癒を妨げるので、汚染時の清潔ケアを欠かすことができない。

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正解は…2・3・5
  1. 褥瘡の改善のためにも、入浴や清拭を行う。
  2. 栄養状態の悪化は、褥瘡発生や悪化の要因となるため、高タンパク、高カロリー、高ビタミンの栄養補給に努める必要がある。
  3. 体圧の分散や、皮膚面の摩擦を和らげたり通気性をよくする目的で、褥瘡予防用具を適切に活用することが重要となる。
  4. マッサージは褥瘡予防に効果的であるが、発赤部のマッサージは避けなければならない。
  5. 尿失禁や便失禁による不潔・湿潤は、褥瘡発生や悪化の要因となるため、通気性のよいおむつを使用したりそのつど清拭するなど、失禁対策が重要である。

問30

むせやすい高齢者の食事介助について適切なものはどれか。3つ選べ。

1食前の深呼吸、口唇や頬の運動は、咀嚼及び嚥下筋群の機能を活性化させる。

2食事をとる姿勢は、咽頭の動きをよくするために、頭部を後屈させ、下顎を挙上させる。

3汁物は、誤嚥しやすいのでとろみをつけて、飲み込みやすくする。

4スプーンはできるだけ大きく深いものとし、1回量を多くすることで食事の所要時間を短くする。

5食後は、食物残渣を除去するなどにより口腔内を清潔にし、誤嚥性肺炎を予防する。

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正解は…1・3・5
  1. いきなり食事を始めるとむせることが多いため、深呼吸、口を動かすなどしてから食べ始めるとよい。
  2. 食事をとる姿勢は、できるだけ椅子に座らせ、頭部と体幹をわずかに前傾させ、あごは必ず引いておく。
  3. ピューレ状や半固形状のものが飲み込みやすいため、液体のものにはとろみをつけるようにする。
  4. 1回量は、ティースプーン1杯程度とする。
  5. 食物残渣により誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、口腔内は清潔にしておく。

問31

次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1高齢者虐待の担当窓口へ通報をする者は、医師、看護師、介護支援専門員の3職種と法定されている。

2認知症がある場合でも、治療や介護についての説明には本人の関与が必要である。

3回想法は、高齢者の思い出話を積極的な意味を持つものとして捉えた援助方法である。

4認知症高齢者では、身体の老化に加え、自分の心身の機能について正確な判断ができないため、転倒や骨折が多くなる。

5認知症高齢者については、表情や動作といった非言語的メッセージではなく、言葉による表現に基づいて対応する。

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正解は…2・3・4
  1. 高齢者虐待防止法第4条においては、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者に通報義務(努力義務)が課せられており、3職種に限られない。
  2. 治療や介護についての説明には、認知症の有無に関わらず、本人の関与が必要である。
  3. アメリカの精神科医バドラーは、高齢者の思い出話を単なる繰り言や病理現象として捉えるのではなく、成長と変化を示唆する積極的なものであると提唱し、回想法を発展させた。
  4. 認知症高齢者では、筋力、敏捷性、平衡感覚の低下などに加え、自分の心身の機能について正確な判断を欠くため、転倒や骨折が多くなる。
  5. 表情や動作といった非言語的メッセージを的確に捉えることが重要である。

問32

高齢者の睡眠障害について適切なものはどれか。3つ選べ。

1睡眠時無呼吸が認められる高齢者では、中途覚醒することがないため、昼間は眠気を感じないことが多い。

2認知症では、夜間の不眠とともに午睡が増え、昼夜逆転をきたしやすい。

3睡眠障害は、集中力や注意力の低下などにより、歩行時の転倒を引き起こしやすい。

4通常、施設入所による環境変化や生活習慣の変化により、睡眠が十分に取れるようになる。

5身体疾患の進行や増悪は睡眠の質に影響を与えるため、それが適切にコントロールされているかを確認する。

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正解は…2・3・5
  1. 睡眠時無呼吸があると中途覚醒することがあり、睡眠が十分にとれないため、昼間に眠気を感じることが多い。
  2. 認知症では、夜間の不眠とともに午睡(昼寝)が増え、不規則な睡眠・覚醒リズムに陥り、昼夜逆転をきたしやすい。
  3. 睡眠障害による集中力や注意力の低下は、転倒事故の誘因となる。
  4.  環境変化や生活習慣の変化は、不眠の原因となることがある。
  5. 身体変化や精神状況は睡眠の質に影響を与えるため、不眠の援助においては、疾病や精神状況を把握することも重要となる。

問33

高齢者の転倒について正しいものはどれか。3つ選べ。

1認知症高齢者は、夜間の排尿行動や不穏状態で転倒することが多い。

2徘徊などで転倒を繰り返す介護施設入所者については、向精神薬などの薬物を用いて歩けないように行動を制限する。

3転倒により頭部を強く打った場合には、数時間様子をみて、意識障害などがなければ、それ以上の経過観察は要らない。

4高齢女性は、骨粗鬆症が多いので、転倒により容易に骨折を起こしやすい。

5要介護高齢者が短期間に複数回転倒した場合には、再度転倒する可能性が高いため、総合的にアセスメントを行い、対策を検討する必要がある。

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正解は…1・4・5
  1. 認知症高齢者は、夜間の排尿行為や不穏状態により転倒する危険性が増大する。
  2. 薬物を用いて歩けないように行動を制限する行為は身体拘束に該当し、介護保険施設では原則として禁止されている。
  3. 転倒により頭部を強く打った場合には、転倒後、1~2カ月は経過観察が必要である。
  4. 高齢女性は骨粗鬆症に罹患しやすく、骨折しやすいため、日頃から骨密度測定などにより骨粗鬆症の評価を行い、転倒を予防することが重要である。
  5. 短期間に複数回転倒する要介護高齢者については、アセスメントを十分に行い、転倒予防対策を検討する必要がある。

問34

在宅医療について適切なものはどれか。2つ選べ。

1人工呼吸器を装着して外出する場合には、外部バッテリーやアンビューバッグなどのチェックを行い、緊急の連絡先などを確認する。

2在宅酸素療法として、高圧ガスボンベを使用する場合には、2m以上火気から離し火気厳禁とするが、酸素濃縮器を使用する場合には、そばで火気を使用することができる。

3在宅人工呼吸療法を導入する場合には、気管切開が必須となる。

4在宅自己腹膜灌流(CAPD)をしている場合には、週1回以上は医療機関を訪問する必要がある。

5胃ろうの管が皮膚から抜けてしまった場合には、穴が塞がってしまうので、すぐに新しいものと交換するなどの対応が必要である。

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正解は…1・5
  1. 人工呼吸器は生命維持装置であるため、その観察ポイントや異常の発見、アンビューバッグの使い方、緊急時の連絡先などについて患者・家族が理解し、急変やトラブルに対応できるようにしなければならない。
  2. 酸素は燃えやすいため、火気厳禁である。
  3. 在宅人工呼吸療法の導入にあたり、必ず気管切開をしなければならないわけではない。
  4. 在宅自己腹膜灌流を実施している場合には、月1~2回程度の通院が必要である。
  5. 胃ろうの管が抜けた際には、すぐに代用の管を入れないと閉塞してしまうため、注意が必要である。

問35

次の疾患のうち、ウイルスや細菌との関係が深いとされるものはどれか。3つ選べ。

1肺がん

2子宮体がん

3胃がん

4成人T細胞性白血病(ATL)

5肝細胞がん

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正解は…3・4・5
  1. 肺がんは、喫煙と関係が深いとされている。
  2. 子宮体がんは、女性ホルモンとの関係が深い。
  3. 胃の粘膜に存在するヘリコバクターピロリ菌が炎症の原因となり、やがては胃潰瘍や胃がんに発展する可能性がある。
  4. 成人T細胞性白血病は、ヒトレトロウイルスHTLV‐1を原因として発症する。
  5. わが国ではB型・C型肝炎ウイルス感染が原因で生じる肝細胞がんが90%を占めている。

問36

高齢者の医療について適切なものはどれか。2つ選べ。

1経管栄養の場合には、錠剤の内服薬は投与できないので、点滴治療となる。

2がんの疼痛管理において、頻回の痛みの訴えのある場合には、睡眠導入剤を用いて睡眠時間を増やすことを最初に検討する。

3慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合には、呼吸機能が低下しているため、肺炎球菌ワクチンの接種は禁忌である。

4糖尿病の内服治療をしている高齢者では、インスリン注射をしていなくても、低血糖の症状に留意する必要がある。

5高齢者の口腔乾燥は、唾液腺疾患のみでなく、利尿薬や抗うつ薬などが原因になることもある。

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正解は…4・5
  1. 錠剤やカプセル剤を粉砕したり、そのままお湯に入れて溶かし、栄養剤と一緒に投与する方法がある。
  2. 睡眠導入剤により睡眠時間を増やす方法は、最終手段とする。
  3. 慢性閉塞性肺疾患の場合には、肺炎球菌ワクチンの摂取が推奨されている。
  4. 高齢者は、低血糖症状が非特異的で症状が出にくいため、内服治療の場合であっても、低血糖症状には注意が必要である。
  5. 高齢者の口腔乾燥は、薬剤が原因で起こる場合もある。

問37

次の記述のうち適切なものはどれか。2つ選べ。

1指定介護療養型医療施設における短期入所療養介護では、あらかじめ短期入所用のベッドを指定し、確保しておかなければならない。

2在宅療養支援診療所においては、介護老人保健施設の入所者に対する医療保険の在宅患者訪問診療料は算定できない。

3居宅療養管理指導は、区分支給限度基準額の対象となる。

4医療保険と介護保険の両方から給付が可能なサービスについては、支払額の少ない方を適用する。

5サービス担当者会議は、医師・歯科医師の訪問に合わせて自宅で開催することもできる。

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正解は…2・5
  1. 指定介護療養型医療施設における短期入所療養介護は、介護療養型医療施設の定員の範囲内で行うことができ、短期入所用のベッドを確保しておかなければならないわけではない。
  2. 在宅療養支援診療所は、介護老人保健施設の入所者に対する在宅患者訪問診療料は算定できない。(医療保険と介護保険の相互に関する事項等について 厚生労働省通知)
  3. 居宅療養管理指導は、区分支給限度基準額の対象外である。(介護保険法施行規則第66条)
  4. 医療保険と介護保険の両方からの給付が可能な場合には、介護保険からの給付が優先される。(健康保険法第55条)
  5. サービス担当者会議は、医師・歯科医師の訪問にあわせて開催することが認められている。

問38

高齢者のてんかんについて、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1最も多い原因は、脳腫瘍である。

2初回発作後の再発率は低い。

3痙攣、意識障害、しびれ、発汗など多様な症状がある。

4発作の間は、首周囲の衣服を緩め、誤嚥予防の措置を行う。

5治療は、放射線療法により行う。

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正解は…3・4
  1. 高齢者のてんかんの原因は、主に脳血管障害か頭部外傷の後遺症である。
  2. 高齢者の初回発作後の再発率は、66~90%と高い数値が示されている。
  3. いずれもてんかんの症状に含まれる。その他、上腹部不快感、嘔気、嘔吐、立毛、頻脈、徐脈などがみられることもある。
  4. 発作時は、安静に寝かせて刺激を少なくし、衣類のボタンなどを緩め、誤嚥防止のため顔は横向きにする。
  5. てんかんの主な治療法は、薬物療法である。

問39

高齢者の薬物療法について適切なものはどれか。3つ選べ。

1薬剤によっては同時に摂取しないようがよい食品があるので、食事内容についても情報を得る。

2腎機能障害があると薬剤の効果が現れにくいので、投与量を増やす。

3認知症高齢者については、自分で剥がしてしまうため、原則として、経皮吸収型貼付剤(パッチ剤)は用いない。

4症状が消失すると内服を自分でやめてしまう場合があるため、内服状況を確認する。

5定期的に緩下剤を服用している者が頻回の下痢をしている場合には、主治医と薬用量について相談する。

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正解は…1・4・5
  1. 薬剤の中には、食品との相互作用に注意を要するものがあるため、食事内容についての情報も得ておく必要がある。
  2. 腎機能障害がある場合には、薬の排泄が遅くなり、薬の作用が増強される。
  3. 薬剤管理が困難である認知症高齢者の場合には、パッチ剤が有効とされる。
  4. 症状が消失しても、服薬を継続する必要がある薬剤もあるため、服薬状況の確認は重要である。
  5. 服用している薬剤の作用増強や副作用などが認められる場合には、自己判断せずに医師への相談が必要となる。

問40

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の高齢者の特徴として正しいものはどれか。3つ選べ。

1栄養障害

2ばね指

3口すぼめ呼吸

4上肢の浮腫

5喘鳴

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正解は…1・3・5

慢性閉塞性肺疾患では、呼吸困難、咳、喀痰といった症状がみられることが多く、呼吸効率の低下によるエネルギー消費亢進などによる栄養障害を起こすこともある。2と4は慢性閉塞性肺疾患の症状には該当しない。

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