第15回 介護支援専門員 実務研修受講試験問題【解答・解説】学校法人 藤仁館学園

介護支援分野 一問一答

分野別テスト→

問1

要介護者等を取り巻く状況について正しいものはどれか。3つ選べ。

1国民健康保険中央会発表(平成23年10月分)によると、85歳以上の者のおおむね2人に1人が要支援・要介護認定を受けている。

2国民健康保険中央会発表(平成23年10月分)によると、要支援・要介護認定を受けた者は高齢者人口の17.9%である。

3国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」によると、今後、後期高齢者の増加が著しいと見込まれている。

4国民生活基礎調査(平成22年)によると、要支援者のいる世帯は三世代世帯が最も多い。

5近年の人口の都市集中化現象により、子との同居率は高まっている。

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正解は…1・2・3
  1. 国民健康保険中央会発表(平成23年10月分)によると、要支援・要介護認定を受けた85歳以上は57.7%と2人に1人が日常生活を送るうえで何らかの支援を必要とする状態になっている。
  2. 国民健康保険中央会発表(平成23年10月分)によると、要支援・要介護認定を受けた認定者数は531万人で、高齢者人口の17.9%である。
  3. 平成24年1月に公表した「日本の将来推計人口」によると、2020年3612万人(29.1%)、2030年には3685万人になるものと予測され、なかでも要介護状態となる危険性の高い75歳以上の後期高齢者の増加が著しいのが特徴的である。
  4. 国民生活基礎調査(平成22年)によると、要支援者のいる世帯は単独世帯が最も多い。
  5. 都市部への人口の集中化により家族の形態は多世代が同居する大家族から核家族へと変容した。65歳以上の高齢者の子との同居率は、1980年には69.0%であったが、2006年には43.9%にまで低下し、今後さらに低下すると見込まれている。

問2

介護保険の国の事務について正しいものはどれか。3つ選べ。

1指定居宅介護支援事業の人員・運営基準の設定

2要介護認定不服審査基準の設定

3居宅介護サービス費等種類支給限度基準額の設定

4居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の設定

5第2号被保険者負担率の設定

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正解は…1・4・5

2の要介護認定不服審査は各都道府県に設置される介護保険審査会が行うが、審査会は市町村の行った処分に対する不服申立の審理・裁決という事務を、中立性・公平性に基づき自らの判断と責任において執行するため、職務執行上の独立性において知事の指揮監督を受けるものではないとされる。3の「居宅介護サービス費等種類支給限度基準額の設定」は保険者の責務であり、市町村が条例により規定する。介護保険法(以下、法)第43条第5項等。

問3

保険者における介護保険の会計について正しいものはどれか。3つ選べ。

1介護保険に関する収入及び支出については、特別会計を設けなければならない。

2特別会計は、保険事業勘定と介護サービス事業勘定に区分する。

3特別会計の運営は、介護保険法や地方自治法などの諸規定に従って行う。

4財政安定のため、都道府県に委託して行うことができる。

5町村にあっては、一般会計の中で行うことが認められている。

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正解は…1・2・3
  1. 市町村及び特別区は、介護保険に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。法第3条第2項。
  2. 特別会計は保険事業勘定及び介護サービス事業勘定に区分しなければならない。介護保険法施行令(以下、施行令)第1条。
  3. 特別会計の運営は、介護保険法および関係政省令のほか、地方自治法、地方財政法およびこれらに基づく命令に定める市町村の財務運営に関する諸規定により行われる。
  4. 介護保険の会計は市町村が行うこととなっており、都道府県への委託は認められていない。
  5. 町村にあたっても、一般会計で行うことはなく、特別会計が設けられる。

問4

社会保険について正しいものはどれか。2つ選べ。

1介護保険は、職域保険に位置づけられる。

2厚生年金保険は、被用者保険に位置づけられる。

3労働者災害補償保険は、社会保険ではない。

4医療保険は、業務外の事由による疾病、傷病等を保険事故とする。

5医療保険の被用者保険の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合のみである。

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正解は…2・4
  1. 介護保険は、市町村の区域に着目して区域内の住民を被保険者として市町村を保険者としているため「地域保険」に位置づけられる。
  2. 厚生年金保険は、対象とする被保険者の種類(使用関係の有無)により「被用者保険」に位置づけられる。
  3. 社会保険は労働者災害補償保険、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険に分類される。
  4. 医療保険は業務外の事由による疾病、傷病等を保険事故として、医療の現物給付(医療サービスの提供)を主に行う。
  5. 医療保険の被用者保険の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合以外にも、船員保険や国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合等がある。

問5

定期巡回・随時対応型訪問介護看護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1提供するサービスは、定期巡回サービス、随時対応サービス及び訪問看護サービスの3つである。

2主治の医師が認めた居宅要介護者以外は、給付対象とならない。

3「介護・看護一体型」の場合には、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を事業所に配置することができる。

4訪問看護サービスを行うのは、看護師に限られる。

5入浴の介護も行うことができる。

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正解は…3・5
  1. 提供するサービスは、定期巡回サービス、随時対応サービス、訪問看護サービスと随時訪問サービスの4つである。地域密着型サービス運営基準基本方針第3条の3。
  2. 訪問看護サービス提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならないが、その他のサービスには主治医の規定はない。運営基準第3条の23。
  3. 訪問看護サービスを行う看護師等は、保健師、看護師または准看護師について常勤換算で2.5人以上とされ、うち1人以上は常勤の保健師または看護師で、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士については、実情に応じた適当数と人員基準に規定される。なお、この基準は一体型定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業の場合のみ適用される。
  4. 人員基準により看護師以外にも保健師や准看護師等によりサービスの提供がなされる。
  5. 定期的な巡回または随時通報によりその者の居宅を訪問し、入浴、排泄、食事等の介護、日常生活上の緊急時の対応その他、安心してその居宅において生活ができるようにするための援助を行うと規定されている。基本方針第3条の2。

問6

指定都市・中核市以外の市町村の長が指定する事業者が提供するサービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。

1居宅療養管理指導

2認知症対応型共同生活介護

3地域密着型特定施設入居者生活介護

4福祉用具貸与

5定期巡回・随時対応型訪問介護看護

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正解は…2・3・5

市町村の長が指定する事業者は、指定地域密着型サービス事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者、指定介護予防支援事業者である。このうち2・3・4は指定地域密着型サービス事業者である。なお、1・4は指定居宅サービス事業者であり、都道府県知事の指定が必要である。

問7

介護保険法上の指定申請が必要のない居宅サービスとして正しいものはどれか。2つ選べ。

1診療所が行う訪問介護

2薬局が行う訪問看護

3病院が行う通所介護

4診療所が行う訪問リハビリテーション

5薬局が行う居宅療養管理指導

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正解は…4・5

介護保険上の指定申請の必要がなくサービス提供ができる指定居宅サービス事業者の特例がある。病院、診療所、薬局については、健康保険法による保険医療機関、保険薬局の指定等を受けた場合には、別段の申出のない限り、これらの施設が当然に提供し得る一定の居宅サービス(病院・診療所については居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション、薬局については居宅療養管理指導のみ)につき、指定居宅サービス事業者の指定があったものとみなす。法第71条。

問8

介護保険施設について正しいものはどれか。3つ選べ。

1介護老人福祉施設の指定を受けるためには、老人福祉法上の特別養護老人ホームの設置認可を別途受けている必要がある。

2介護老人福祉施設は、市町村長への届出により施設の廃止ができる。

3介護老人保健施設は、都道府県知事から開設の許可を受けたものである。

4介護老人保健施設の開設者には、社会福祉法人も含まれる。

5介護老人保健施設の開設許可は、医療法に基づき行われる。

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正解は…1・3・4
  1. 指定介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームとして認可されている施設が都道府県知事に指定申請をし、指定されて初めて指定施設になる。
  2. 指定介護老人福祉施設については、事業の廃止の届出ではなく、1カ月以上の予告期間を設けて、指定の辞退ができることとされている。法第91条。
  3. 介護老人保健施設を開設しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならないと定められている。法第94条第1項。
  4. 介護老人保健施設の開設者は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人、その他厚生労働大臣が定めた者(国、日本赤十字社、健康保険組合、共済組合等)とされている。法第94条第3項第1号。
  5. 介護老人保健施設は、介護保険施設の中で、介護保険法に基づいて設置される唯一の施設である。

問9

介護保険事業計画について正しいものはどれか。3つ選べ。

1計画期間は、5年を1期とする。

2市町村介護保険事業計画では、医療との連携に関する事項を定めるよう努めるものとされている。

3市町村介護保険事業計画は、高齢者居住安定確保計画と一体のものとして作成されなければならない。

4都道府県介護保険事業支援計画では、介護支援専門員の資質の向上に資する事業を定めるよう努めるものとされている。

5都道府県介護保険事業支援計画は、都道府県地域福祉支援計画と調和が保たれたものとして作成されなければならない。

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正解は…2・4・5
  1. 市町村は、国の基本指針に即して、3年を1期とする市町村介護保険事業計画を策定する。法第117条第1項。都道府県は、介護保険給付の円滑な実施を支援するため、市町村と同じく、基本指針に即して、3年を1期とする都道府県介護保険事業支援計画を策定する。法第118条第1項。
  2. 医療との連携に関する事項は、市町村介護保険事業計画において定めるよう努める事項に規定される。法第117条第3項。
  3. 高齢者居住安定確保計画と一体ではなく、調和が保たれたものでなければならないのは、都道府県介護保険事業支援計画である。法118条第6項。
  4. 都道府県介護保険事業支援計画では、介護支援専門員その他の介護給付等対象サービス及び地域支援事業に従事する者の確保または資質の向上に資する事業に関する事項を定めるよう努めるものとする。法第118条第3項第3号。
  5. 都道府県介護保険事業支援計画は、社会福祉法に規定する都道府県地域福祉支援計画と調和が保たれたものでなければならない。法第118条第6項。

問10

国民健康保険団体連合会の行う介護保険関係業務について正しいものはどれか。3つ選べ。

1市町村から委託を受けたときの第三者行為求償事務

2利用者から介護保険サービスに関する苦情があったときの事実関係の調査

3介護サービス事業者に対する監督

4介護給付費審査委員会の設置

5介護給付費交付金の交付

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正解は…1・2・4
  1. 第三者行為求償事務は、具体的には市町村が第三者行為により保険給付を行ったときに第三者に対して取得する損害賠償請求権にかかる損害賠償金の徴収・収納の事務を、市町村から委託を受けて行う。法第176条第2項第1号。
  2. 国民健康保険団体連合会(以下、国保連)は、苦情処理業務として、利用者等からの苦情を受け付けて事実関係の調査を行い、その結果改善の必要が認められる場合には、事業者・施設に対して指導・助言を行う。
  3. 国保連は、介護サービス事業や介護保険施設の運営ができるが、介護サービス事業者に対する監督は行わない。法第176条第2項第2号。
  4. 国保連は、介護給付費請求書の審査を行うため、介護給付費審査委員会を設置する。法第179条。
  5. 介護給付費交付金は、社会保険診療報酬支払基金が医療保険者から納付された納付金から所要額(介護給付費等の第2号被保険者負担割合(平成24年-26年度は29%)分)を、各市町村に交付する。法第125条。

問11

地域支援事業の包括的支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。

1定期巡回・随時対応型訪問介護看護を行う。

2介護給付及び予防給付に係る費用の適正化を図る。

3被保険者を対象に総合相談支援を行う。

4被保険者を対象に虐待の防止及び早期発見を行う。

5家族に対して介護方法の指導を行う。

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正解は…3・4
  1. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、地域密着型サービスに該当し、保険給付される。
  2. 介護給付等に要する費用の適正化のための事業は、任意事業に位置づけられる。法第115条の45第3項第1号。
  3. 包括的支援事業において、(1)介護予防ケアマネジメント業務、(2)総合相談支援業務、(3)権利擁護業務、(4)包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の4つの業務を地域において一体的に実施する役割を担う中核的拠点として設置されたのが地域包括支援センターである。法第115条の45第1項。
  4. 高齢者虐待の対応は、包括的支援事業のひとつである権利擁護業務である。
  5. 介護方法の指導その他の要介護被保険者を現に介護する者の支援のための必要な事業は、任意事業に位置づけられる。法第115条の45第3項第2号。

問12

介護サービス情報の公表制度について正しいものはどれか。2つ選べ。

1指定情報公表センターの指定は、市町村が行う。

2公表する介護サービス情報には、事業所の運営方針が含まれる。

3介護サービス事業者は、介護サービスの提供を開始するときは、介護サービス情報を都道府県知事に報告しなければならない。

4市町村長は、介護サービス情報の報告に係る調査事務を指定調査機関に行わせることができる。

5介護サービス事業者が個人情報保護のために講じている措置は、公表すべき事項に含まれない。

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正解は…2・3
  1. 指定情報公表センターの指定は、都道府県の区域ごとに、その指定を受けようとする者の申請により、当該都道府県知事が行う。法第115条の42第2項。
  2. 事業所の運営方針のほか、事業者及び事業所の名称やサービス従業者に関する情報、介護サービスの内容・提供実績、苦情対応窓口の状況、利用料等に関する事項などが公表すべき情報とされる。施行規則第140条の45。
  3. 介護サービスを行う事業者・施設(介護サービス事業者)は、介護サービスの提供を開始するとき、その他厚生労働省令で定めるときは、介護サービス情報を都道府県知事に報告しなければならない。法第115条の35第1項。
  4. 都道府県知事は、介護サービス情報の報告の調査について、調査事務を都道府県ごとに指定する指定調査機関に行わせることができる。法第115条の36第1項第2項。
  5. 公表すべき事項として、情報管理・個人情報保護のために講じている措置も含まれている。施行規則第140条の45。

問13

要介護認定について正しいものはどれか。3つ選べ。

1要介護状態とは、基本的な日常生活動作について介護を要する状態が3カ月以上継続すると見込まれる場合をいう。

2介護保険の被保険者証が未交付の第2号被保険者は、医療保険の被保険者証等を提示して申請する。

3要介護認定の効力は申請のあった日にさかのぼって生ずる。

4認定又は非該当の決定等は、申請日から60日以内に行わなければならない。

5有効期間満了前でも、要介護状態区分の変更の認定の申請を行うことができる。

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正解は…2・3・5
  1. 厚生労働省令で定める期間は6カ月であり、継続して常時介護を要すると見込まれる状態である。法第7条。
  2. 第2号被保険者で認定申請時までに被保険者証の交付を受けていないもの(被保険者証未交付第2号被保険者)については、医療保険の被保険者証等を提示して申請を行う。施行規則第35条第1項、第2項。
  3. 認定の遡及効。したがって、認定申請時点からサービスの利用がなされていた場合についても保険給付の対象となり得る。法第27条第8項。
  4. 認定申請に対する処分(認定・不認定の決定等)は、申請のあった日から原則として30日以内に行わなければならない。法第27条第11項。
  5. 要介護状態の程度が大きく変化し、介護の必要の程度が現に受けている要介護認定にかかる要介護状態区分(要介護度)以外の区分に該当するようになったと認められるときには、市町村に対し、要介護状態区分の変更の認定申請をすることができる。法第29条。

問14

要介護認定の手続について正しいものはどれか。2つ選べ。

1指定居宅介護支援事業者は、申請を代行できない。

2被保険者に主治の医師がないときは、市町村が指定する医師又は市町村の職員である医師の診断を受けることができる。

3認定調査の結果及び主治の医師の意見書は、介護認定審査会に通知される。

4介護認定審査会は、審査・判定を行った結果を申請者に通知する。

5認定に不服がある場合には、介護保険審査会が審査及び要介護認定を行う。

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正解は…2・3
  1. 被保険者は、指定居宅介護支援事業者・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設のうち厚生労働省令で定めるもの、または地域包括支援センターに申請手続きを代行させることができる。法第27条第1項。
  2. 主治医がいない場合には、市町村の指定する医師またはその市町村の職員である医師の診断を受けなければならない。法第27条第3項。
  3. 市町村は、認定調査の結果(一次判定結果)や主治医の意見書等を介護認定審査会に通知する。法第27条第4項。
  4. 介護認定審査会は、市町村の求めに応じて、国(厚生労働大臣)が作成した全国一律の客観的な判定基準に従って審査・判定を行い、その結果を市町村に通知する。法第27条第5項。
  5. 認定に不服がある場合には、介護保険審査会が不服申立の審理・裁決の事務を行う。

問15

要介護認定の仕組みについて正しいものはどれか。2つ選べ。

1判定は、市町村が定める客観的基準に基づき行われる。

2被保険者が住所を移転した場合には、14日以内に判定をし直す。

3職権による要介護状態区分の変更認定に必要な主治医意見書のための診断命令に被保険者が正当な理由なく従わないときは、認定を取り消すことができる。

4介護保険審査会は、市町村に設置される。

5介護認定審査会は、市町村に設置される。

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正解は…3・5
  1. 判定は厚生労働大臣が定める全国一律の客観的な基準に基づき行われる。法第27条第5項、法第32条第4項。
  2. 転居前の市町村から発行された認定に係る事項を証明する書面を添えて、14日以内に転入先の市町村に認定申請を行った場合には、審査・判定を経ることなく認定が受けられる。法第36条。
  3. 有効期間満了前であってもその認定を取り消すことができる。この場合には、市町村はその被保険者に対し被保険者証の提出を求め、認定にかかる記載を消除したうえで返済する。法第31条。
  4. 介護保険審査会は、各都道府県にそれぞれ1つずつ、知事の附属機関として設置され、その都道府県の区域内に所在する市町村の行った処分に対する審査請求の事件を管轄する。法第184条。
  5. 認定にかかる審査・判定を行う機関である介護認定審査会は、市町村の附属機関として設置される。法第14条、第15条第2項。

問16

ケアマネジメントの基本理念について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1利用者本位を徹底するため、要介護者等から要望のあったサービスは、すべてケアプランに盛り込む。

2自立支援とは、最終的にADLの自立を目指すことである。

3ケアチームの構成員には、インフォーマルサポートの提供者は該当しない。

4サービス優先アプローチではなく、ニーズ優先アプローチを行う。

5要介護者等の自己決定に介護支援専門員が同意できない場合は、合意が得られるよう努力する。

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正解は…4・5
  1. 介護保険制度は「利用者本位」の介護サービスの提供を基本理念とし、高齢者が自己決定・自己選択できるように支援していくことである。要望のあったサービスをすべてケアプランに盛り込むことではない。
  2. 自立には(1)ADLなどの身辺自立、(2)経済面での扶養等の経済的自立、(3)自分のことを自分で決めていく人格的自立がある。高齢者ケアでは、これらの3つの側面について自立の支援を行うが、自立の最終的な目的は人格的自立にあり、主体的に生きることを支援するものであり、高齢者の尊厳を支援することである。
  3. 要介護者等は、インフォーマルサポートとフォーマルサービスを合わせて両者を利用することで質の高い生活が確保でき、両者を結びつけるチームアプローチの重要性が増している。
  4. 介護保険制度でのケアマネジメントは、要介護者等に対してニーズをもとに相談に乗り、ニーズを社会資源に結びつけていくことが可能とされるニーズ優先アプローチを行う。
  5. 介護支援専門員は、高齢者の自己決定と一致させていく過程のなかで、高齢者との信頼関係を深めることで、その解決の糸口を見出していく。

問17

指定居宅介護支援事業者の業務について正しいものはどれか。3つ選べ。

1事業所の現員では利用申込に応じきれない場合には、サービス提供を拒むことができる。

2利用者からの苦情に係る改善内容は、その都度、国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。

3指定居宅介護支援の提供を原因とする損害賠償を行う場合には、予め地域包括支援センターの許可を得る。

4利用者の選定により通常の事業実施地域以外の地域で指定居宅介護支援を行う場合には、交通費を利用者に請求できる。

5償還払いとなる利用者には、指定居宅介護支援提供証明書を交付する。

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正解は…1・4・5
  1. 指定居宅介護支援事業者は、正当な理由なく指定居宅介護支援の提供を拒んではならないが、当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合は、正当な理由にあたる。基準第5条。
  2. 国保連からの求めがあった場合には、利用者の苦情に係る改善の内容を国保連に報告しなければならない。基準第6条。
  3. 利用者に対する指定居宅介護支援の提供により賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければならないが、地域包括支援センターの許可を得る必要はない。基準第27条第3項。
  4. 利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅を訪問して指定居宅介護支援を行う場合には、それに要した交通費の支払いを利用者から受けることができる。基準第10条第2項。
  5. 償還払いとなる利用者には、当該利用料の額等を記載した指定居宅介護支援提供証明書を交付しなければならない。

問18

指定居宅介護支援事業者が市町村に通知ないし報告しなければならない場合又は事項として正しいものはどれか。3つ選べ。

1利用者がサービス利用に対する指示に従わず、要介護状態の程度を増進させたと認められる場合

2所属する介護支援専門員の基礎資格

3指定居宅介護支援の提供により利用者に事故が発生した場合

4居宅サービス計画に位置づけた法定代理受領サービスに関する情報を記載した文書

5居宅介護支援台帳を作成した場合

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正解は…1・3・4
  1. 指示に従わず、要介護状態の程度を増進させたと認められる場合、遅延なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければならない。基準第16条。
  2. 人員基準において介護支援専門員の配置は必要とされるが、その基礎資格を市町村へ通知や報告をする必要はない。
  3. 利用者に事故が発生した場合は、速やかに市町村、利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。基準第27条。
  4. 毎日、市町村(または国保連)に対し、居宅サービス計画において位置づけたものに関する情報を記載した文書を提出しなければならない。基準第14条第1項。
  5. 個々の利用者ごとの居宅介護支援台帳は、事業所として記録の整備をしなければならないが、これに市町村への通知や報告についての規定はない。基準第29条第2項。

問19

指定居宅介護支援について正しいものはどれか。3つ選べ。

1サービス担当者会議において利用者の家族の個人情報を用いる場合は、その家族の同意を文書で得ておかなければならない。

2居宅サービス計画に認知症対応型通所介護を位置づける場合は、利用者の主治の医師等の意見を求めなければならない。

3居宅サービス計画に短期入所生活介護を位置づける場合は、原則として利用する日数が要介護認定有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない。

4居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置づける場合は、当該計画にそれが必要な理由を記載しなければならない。

5特定福祉用具の給付は、居宅サービス計画に位置づけなくてもよい。

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正解は…1・3・4
  1. サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。基準第23条。
  2. 介護支援専門員は、利用者が医療サービスの利用を希望している場合、その他必要な場合には、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならないが、認知症対応型通所介護は、地域密着型サービスのため、これに該当しない。基準第13条。
  3. 利用日数にかかる目安については、機械的な適用を求めるものでないため、この目安を超えて利用が特に必要と認められる場合には、これを上回る日数を計画に位置づけることも可能である。
  4. その利用の妥当性を検討し、必要な理由を記載するとともに、必要に応じて随時、サービス担当者会議を開催しなければならない。
  5. その利用の妥当性を検討し、居宅サービス計画に特定福祉用具販売が必要な理由を記載しなければならない。基準第13条第22号。

問20

定期巡回・随時対応型訪問介護看護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1サービス提供の日時は、居宅サービス計画にかかわらず、当該事業所の計画作成責任者が決定できる。

2計画作成責任者は、介護支援専門員でなければならない。

3計画作成責任者が、居宅サービス計画も作成する。

4要介護者の居宅サービス計画に盛り込むことができる。

5定額給付であるため、居宅サービス計画に盛り込んだ場合、他のサービスは保険給付とならない。

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正解は…1・4
  1. すでに居宅サービス計画が作成されている場合は、その計画の内容に沿って作成する。ただし、提供する日時等は、居宅サービス計画に定められた提供日時等にかかわらず利用者の日常生活全般の状況および希望を踏まえ、計画作成責任者が決定できる。基準第3条の24。
  2. 計画作成責任者は、当該従業者であって、看護師、介護福祉士等(医師、保健師、准看護師、社会福祉士、介護支援専門員)のうち1人以上としなければならない。基準第3条の4第11項。
  3. 計画作成責任者は居宅サービス計画の作成ではなく、すでに居宅サービス計画が作成されている場合は、その計画の内容に沿って定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画を作成する。
  4. 要介護者が対象のサービスであるため、居宅サービス計画に盛り込む。
  5. 介護報酬請求における制限のあるサービスを除いて、他のサービスとの組み合わせ利用は可能である。

問21

地域包括支援センターと指定介護予防支援事業者について正しいものはどれか。3つ選べ。

1地域包括支援センターは、包括支援事業を行う施設である。

2地域包括支援センターは、居宅サービス計画の検証を行う。

3地域包括支援センターは、施設サービス計画の検証を行う。

4介護予防支援事業者の指定は、都道府県知事が行う。

5介護予防支援事業者の指定を受ける者は、非営利法人に限られる。

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正解は…1・2・3
  1. 地域包括支援センターは、包括支援事業を行う施設である。法第115条の46。
  2. ケアプラン内容の点検及び指導を行うケアプラン点検は、介護給付等費用適正化事業であり、地域支援事業の任意事業として委託を受けた地域包括支援センターが行うことができる。
  3. ケアプラン内容の点検及び指導を行うケアプラン点検は、介護給付等費用適正化事業であり、地域支援事業の任意事業として委託を受けた地域包括支援センターが行うことができる。
  4. 介護予防支援事業者の指定は、市町村が行う。
  5. 申請者が法人でないものは指定を受けることができないが、営利・非営利は問われない。法第115条の22第2項第1号。

問22

介護予防支援業務に係る関連様式について正しいものはどれか。3つ選べ。

1介護予防サービス・支援計画書には、「本人のセルフケア」が設定されていない。

2介護予防サービス・支援計画書には、「家族の支援」が設定されていない。

3介護予防サービス・支援計画書には、「問題行動」が設定されていない。

4利用者基本情報には、認知症高齢者の日常生活自立度を記載する。

5利用者基本情報には、生活保護受給の有無を記載する。

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正解は…3・4・5
  1. 計画書において、支援計画の中で「本人等のセルフケア」が設定されている。
  2. 計画書において、支援計画の中で「家族の支援」が設定されている。
  3. 計画書において、「問題行動」は設定されていない。
  4. 利用者基本情報の日常生活自立度において、障害高齢者とともに認知症高齢者の日常生活自立度の記載欄がある。
  5. 利用者基本情報の経済状況において、生活保護の有無の記載欄がある。

問23

指定介護予防支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。

1指定介護予防支援事業所の管理者は、非常勤でもよい。

2指定介護予防支援事業者が指定介護予防支援の一部を委託する場合には、都道府県に届け出る。

3指定介護予防支援の担当者は、介護支援専門員でなくてよい。

4目標志向型の介護予防サービス計画を策定しなければならない。

5介護予防サービス計画は医師の指示で作成されることを利用者に説明する。

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正解は…3・4
  1. 指定介護予防支援事業所ごとに常勤の管理者を置かなければならない。基準第3条。
  2. 指定介護予防支援事業者は、指定介護予防支援の一部を委託する場合には、地域包括支援センター運営協議会の議を経なければならない。基準第12条。
  3. 保健師その他の介護予防支援に関する知識を有する職員(以下、担当職員)を必要数配置しなければならない。担当職員は保健師、介護支援専門員、社会福祉士、経験のある看護師等であり、介護支援専門員に限られない。基準第2条。
  4. 介護予防の効果を最大限に発揮し、利用者が生活機能の改善を実現するための適切なサービスを選択できるよう、目標志向型の介護予防サービス計画を策定しなければならない。基準第29条。
  5. 計画作成の開始に当たっては、利用者自身が主体的に意欲をもって介護予防に取り組むことを基本に支援を行うため、医師の指示で作成されることはない。

問24

意思疎通が難しくなった認知症のAさん(75歳)は、夫(80歳)と二人で暮らしている。子供も親族もなく、妻の介護は夫一人で行っている。夫なりに工夫して介護しているが、おむつ交換や食事の介助がうまく行えていない。Aさんは最近寝ていることが多くなり、痩せてきている。夫は「妻の介護はできているから、今までどおり介護ベッドを借りるだけでいい」と頑なである。介護支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1現在の居宅サービス計画を継続して、夫が危機を自ら発見し、相談に来るまで待つ。

2夫に妻が最近痩せてきているという観察結果を伝え、まずは、その原因を明らかにするための受診を勧める。

3夫の努力を高く評価していることを伝えてねぎらうとともに、一人で頑張らず外部サービスの利用も考えるよう働きかけを行う。

4今後の生活をどのように考えているのか、夫婦二人の考えを聞く。

5受けるべき支援が受けられていない状況は虐待に当たるので、地域包括支援センターに通報する。

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正解は…2・3・4
  1. 機関側から援助の手を差し伸べるアウトリーチが必要な場合もあり、相談に来るまで待つのは適切ではない。
  2. 栄養状態の確認のためにも医療機関への受診を勧めることは適切である。
  3. 夫へのねぎらいは、信頼関係が構築される糸口でもあり適切である。
  4. 利用者と家族の意向を確認することは、利用者本位の理念に基づくため適切である。
  5. この時点での状況は虐待と判断するのは性急であり、通報するのは適切ではない。

問25

Aさん(85歳・男性)は、居宅介護サービスの利用や近隣の見守りによって一人暮らしを継続しているが、最近は虚弱が増し、寂しいと娘に電話をするようになっている。他県に住む娘は、同居は難しいが、一人暮らしは心配なので、施設入所を勧めている。介護支援専門員にもそのことを説得してほしいと依頼してきた。しかし、Aさんは、「死んでもこの家から動かない」と言っている。介護支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1Aさんに対して施設入所の説得に努める。

2Aさんの寂しさや不安感に共感する。

3一人暮らしが心配であれば同居をするよう娘を説得する。

4Aさんの自宅での生活に対するこだわりを理解し、それを大切にすることも大事だと娘に伝える。

5Aさんの希望を尊重し、可能な限り在宅生活が継続できるよう支援する。

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正解は…2・4・5
  1. Aさんは在宅生活を希望しているため、施設入所の説得は適切ではない。
  2. 相談援助において受容と共感の姿勢は重要であり、適切である。
  3. 介護支援専門員は利用者(Aさん)と家族(娘)の一方を支援するものではないため、娘を説得するのは適切ではない。
  4. 利用者(Aさん)と家族の間の意見や考えの違いを調整していくことも介護支援専門員の役割であり、適切である。
  5. 利用者本位の基本理念から、本人の希望を尊重し支援していくことは適切である。
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